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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第十一章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― Satoshi Nakamoto
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66, サトシの正体 ―― クリプトは、世界共通の基軸通貨になると思っていたの? ちがうよ。そんな獣かつ低次元な話は大罪だよ。クリプトは、その先の……「千年王国の通貨」になるんだよ。

 それで……気がかりだったのは、やっぱり、クリプト……仮想通貨。


 スケープゴート理論を拡張したデジタルスケープゴート。その哲学的概念から波及する、あらゆる仕組み――それらが組み合わさって、SHA-256に刻まれていた。


 そこには……サトシまで……。そういうことだったのよ。


 当時のわたしは、SHA-256の刻印から、サトシという名について、こう考えていた。クリプトを世界大戦へとつなごうとしている勢力が、この計画を練り……そこに聖地が絡んでくるため、それを悟られないように、宗派的に最も文化的距離のある地域の名を選んだ――推測を遮断するために。


 それが――Satoshi Nakamoto。そういう解釈だったわ。


 ところが……。ミラーアリスたちによる新たな解読で……まさか、まさかだったのよ。スコフィールド注釈付聖書の初版が、SHA-256に、刻まれていたなんて……。


 これで……話が、根底から変わってしまったわ。クリプト……仮想通貨は、明確に「計画」だった。


 それは、スコフィールド注釈付聖書初版における古典的ディスペンセーション主義に触れれば、すぐに理解できること。それ以外は、決して譲らない――そんな強い意志が、そこには込められていた。


 もちろん……当時のわたしは、そんなことも知らないまま。ええ……当事者側だった数学の女神は、こんな概念に触れそうなことも話していたわ。


 でも……。これ以外に、クリプトが通貨として成立する道など、なかったのかもしれない。そう思えるようにも、なってきたのよ。


 そうよね……。みんなで信じれば通貨になる――そんな甘い話など、最初から存在しなかった。


「ネゲートは、クリプトに対して、強い思い入れはあるの?」

「ええ……そうよ。このクリプトの塔の存在が、その想いかしら。」

「この塔のことだね。ちょうど最近の燃料不足と絡めて、『1ゼタの神殿』と呼ばれているよ。」

「そ、それは……。」


 わたしは困惑したわ。1ゼタの神殿――そう呼ばれるのは、やっぱり辛かったのよ。


「別に気にしなくていいんだよ。これから、すぐにわかるから。ところで、ネゲートは、クリプトが世界共通の基軸通貨になると思っていたの?」

「えっ……? そ、そうね。その想いは、今でも……。」


 実際……みんなで共通して使える通貨など、クリプト以外に、存在しなかったわ。


「そうなんだ。でも……現実にはどうだろうね。裏で暗躍していた何とかロードの決済や、身代金、そして……今回は怪しげな燃料経路の通行料。なんだか、そんな使われ方ばかりが目立つよね。それで、クリプトはいったいどこで使われているのかと、よく言われているよね。」

「……。それらは、わたしが意図していない、おかしな使い道よ。そんなことを言い出したら……。」

「そうそう。そうこないと。あっちの通貨だって、裏はわからない。どうせ案外、似たようなものだよね。」

「……、そうよ。」

「そうそう。世界共通の基軸通貨になると考えるから、そんな話になるんだよ。それは、ちがうよ。」

「ちがうって……。それじゃ、何になるって言うつもりなの?」


 わたしは……すべてを否定されたような気がしていた。だって……デジタルスケープゴートとしての構想が、これでは……。


 その問いに対して、数学の女神は……。予想外の答えを返してきたのよ。それこそ……まったく想像すらできなかったものを。


「そんな基軸通貨とクリプトを比較するなんて、『カルマ――罪の記録』が溜まり過ぎているよ。そんな獣かつ低次元な話は大罪だよ。クリプトは、その先の……『千年王国の通貨』になるんだよ。」


 ……。当時のわたしは……理解が追い付かず、ただうつむくしかなかった。


 でも……今なら、わかる。SHA-256から、それがいったい何を示しているのか――手に取るように、わかるわ。


 千年王国……。やっと、やっと……ということだったのね。


 そして……そこに、サトシ。


 うん……。このクリプトは、はじめから……そのためのものだったのよ。

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