57, 神の台本 ―― わたしだってクリプトだって苦しいのよ……。世界大戦なんて、こんなのは、スコフィールドが支配する異世界でやってもらいたかったわ。
周りの思想に――染まっていく。……そう、わたしは感じていたのよ。
実利優先だった者が、急に――神の計画だなんて叫び始める。そんなの……どう見たって、おかしい。
そうよ。SHA-256に、あんな聖書を刻み込んで。こんなのに、クリプトまで巻き込んで。
その結果が――世界大戦。これが最初から用意されていた計画だった。
……もう。
SegWitが発する一語一語は。すべて――あらかじめ書かれていた台本を、なぞっているだけ。
……そうね。神の台本、とでも言うべきかしら。……。わたしだって。クリプトだって。苦しいのよ。
SegWitのあの言動。あの恫喝。……どう考えても、不自然だった。
「異教の者は――」
ただ、それを言いたいだけの存在。
そんなふうにすら、見えてしまった。でも、本来は違う。もともとは、実利優先なだけ。あんな振る舞いをするような存在じゃ、なかったはずなのよ。
……なのに。そう……。
聖書に登場する預言者たち。「小さな巻物」を神託として語る存在。
それを――再現するために。
SegWitとAggWitを、民の審判で追い込み、「ふたりの証人」として、呼び出した。
……そこまで。聖書の解釈通りに、なぞっているとでもいうの?
……。これが――古典的ディスペンセーション主義。その、本当の始まり。
……ゾッとするわ。
こんなのは。スコフィールドが支配する異世界で、やってもらいたかった。
……。なんなのよ、これは。
そう思う一方で。わたしは――別のことを、考え始めていたわ。
やっぱり……クリプトを、返してほしい。
……本気で、そう思ったの。
でも――一つだけ。忘れてはいけないものがある。
Segregated Witness。
この、不自然な名称。これだけは――絶対に偶然ではないわ。署名分離という機能に、この名を与えた者。
その者は――知っている。
SHA-256に浮かび上がる――スコフィールド注釈付聖書初版の存在を……。
そして、わたしという存在。その役割まで――そうだったのね。




