表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第九章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 預言者を異端とした悪徳王妃
57/93

56, 世界大戦。「底知れぬ所からのぼって来る獣」によって、滅ぼされる。……そのために、あえて嫌われるように振る舞わされていたのだとしたら……SegWitは……最初から、そういう役だったの?

 採掘の量子問題から始まり――SHA-256に浮かび上がる刻印。そして……。


 まだ10年以上は大丈夫と見積もっていたECDSAすら、この有り様……甘かったわ。


 原因は、はっきりしている。暗号が――古典で即座に検証可能であるという、この性質。これを、軽く見ていたのよ。


 この性質が意味するもの。それは――。僅かでも当たりを引ける確率振幅を用意できれば、答えに到達できるということ。……決定的だった。


 もし、これが創薬のような問題なら、得られた解が正しいかどうかは、古典では即座に検証できない。そのため、確率振幅を最大限まで高める必要がある。


 その分、量子リソースも要求される。でも――暗号は違うわ。一度でも当たれば、それで終わり。しかも、その正しさは、古典で即座に検証できる。


 ……つまり。確率振幅は、僅かでいい。あとは――独立試行の回数を増やせばいい。それだけで、十分に成立してしまう。


 ……。


 そんなことは――本当は、わかっていたはずなのに。それでもわたしは、クリプトの可能性を選んだ。


 ……結果は、これ。想像以上に、量子の進化が速すぎた。追われるように――気づいたときには、ここまで来ていた。


 ……。


 当然よね。その進化の中で、最初に喰われるのは、軽めの最適化問題と――暗号よ。それだけだった。創薬のような、はるかに難易度の高い問題に向かうための量子。


 その過程で。暗号なんて――ただの通過点。……今になって、ようやく理解したわ。


 そして――SegWit。


 ……もう、なんと言えばいいのか。時々――やめたいような仕草を見せるようになっていた。


 でも、それすら許されない。強い力で、押さえ込まれている。


 そんな空気が――もはや隠されることもなく、漂っていた。


 ……なによ、これ。気づいたときには。SegWitも、わたしも――囲まれていた。


 どこにも、逃げ場がない。そこにあるのは――。ただの駒。そして……最高の駒。


 それを、動かす存在……それだけ。


 その繰り返しの中でSegWitは――その名前を見ただけで、嫌悪感を抱かせる存在へと変わっていった。


 それは……まるで。黙示録を、そのまま再現するかのように。


 そうね……。今なら、わかる。これこそが――クリプトの暗号SHA-256に浮かび上がる「スコフィールド注釈付聖書初版」という古典的ディスペンセーション主義。


 証言を終えるまでは、生かされる。でも――その役目を終えた瞬間。


 世界大戦。「底知れぬ所からのぼって来る獣」によって、滅ぼされる。……そのために、あえて嫌われるように振る舞わされていたのだとしたら……SegWitは……最初から、そういう役だったの?


 うん……そういう存在だったのね。……結局、答えは、これだけ。


 わたしは騙されたの。……おそらく、SegWitだって、同じ。気づいたときには――何もかも、囲まれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ