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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第九章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 預言者を異端とした悪徳王妃
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54, SHA-256のデプロイから約三か月後に発生した、ある同時多発テロ。摩天楼に、空を飛ぶ乗り物がそのまま突っ込む。あまりにも凄惨で、現実離れした出来事。さて、本当の理由は何かしら?

 好奇心旺盛なミラーアリス。フィーの影響で数に関する見識は深く、さらに――歴史。それもまた、彼女の大きな関心領域だった。読み漁っていた、という表現がしっくりくるほどに。


 そこへ――SHA-256から浮かび上がる刻印。これが加われば、興味の対象になるのは必然だったわ。


 もちろん……今だから、そう言えるのだけれど。あのシーザー暗号のように、語り継がれる存在へと変わっていた。


「大精霊ネゲート様。これ……見てください。徐々に解明されつつある、SHA-256に関する事実です。」

「事実って……?」


 妙に、引っかかったわ。それは――シィーも同じだった。ミラーアリスが歴史の中から引き出してきた、その内容。それは……。SHA-256のデプロイ時期に関する、ある考察だった。


「時期が……近すぎます。」


 そう言って示されたのは――SHA-256のデプロイから約三か月後に発生した、ある同時多発テロ。摩天楼に、空を飛ぶ乗り物がそのまま突っ込む。あまりにも凄惨で、現実離れした出来事。


 その衝撃は――当時、「何かの映像作品ではないのか」と疑われるほどだったと記録されている。


 炎を上げ、崩れていく光景。……。そして、その理由。表向きには、さまざまな動機が語られていた。


 西への敵対思想。異教。そして……政。


 ……でも。それらで、あの行動に至るのか。どうしても、納得しきれない。どこか、消化不良。


 ……そういう感覚が、どこかに残るのよ。


「大精霊ネゲート様。ここで重要なのが……SHA-256に浮かび上がる刻印の内容です。」


 ミラーアリスは、静かに続ける。


「デプロイ時期と、その出来事を並べて解析すると……構造的な一致が、あまりにも綺麗に揃うのです。固有値が一致する、とでも言うべき関係が見えてきます。」

「……固有値……。」

「はい。そして重要なのは、SHA-256の方が先に完成している点です。つまり……その後に起きた出来事に合わせて、中身を変更することはできません。」


 たしかに――。ハッシュ関数は、後から内部を変えれば、すべての出力が変わってしまうわ。


「そこで……逆に考えるのです。」


 少しだけ、声のトーンが落ちる。


「刻印として埋め込まれていた構造に対して……現実の出来事が、近づいていったのではないか、と。」

「……。」

「もちろん、直接的な因果を断定するものではありません。でも……少なくとも、そのような構造に『接続しやすい話題……スコフィールド注釈付聖書初版からつながる……聖地が絡む出来事』が、SHA-256のデプロイ以前から存在していた可能性は否定できません。それで、強い意志で、SHA-256に刻まれた。そう考えます。」


 それ……新発見よ。その、ミラーアリスの言葉。


 でも――。それ以上に残ったのは。違和感。そんな昔から――。すでに、何かが定まっていた。そう感じてしまう構造。


 ……。わたしも、気になってきた。そして――。シィーもまた、同じだった。


 さて、本当の理由は何かしら?

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