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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第九章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 預言者を異端とした悪徳王妃
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53, SHA-256に浮かび上がる執行年月――クリプト……仮想通貨と、ミームも……、神の計画だった。悪徳王妃と化したシィーも、スケープゴートだったのかもしれない。

 ミラーアリスの興味は、尽きることがない。あのフィーから託された精霊よ。こんな程度で満足するはずがないのよ。


「大精霊シィー様。わたしから、こんなことを伺うのは恐縮ですが……。終末の時代に起きた、秩序の再構築という世界大戦に突入する前……、シィー様からSegWitに交代したと、歴史には記されています。原因は……不正な票とされていますが……。わたし……、シィー様がそのようなことに手を染めるとは思えないのです。実際は……何が起きたのでしょうか?」


 ……。知識のためなら、何も恐れない。それが、ミラーアリスよ。


 そして――。その頃から傲慢だった女神。それが、わたし。


 わたしは当時、不正な票でシィーを追い込んだわ。


 でも――。


 その「不正な票」という話自体が、どうだったのか。


 クリプトのコミュニティで、盛んに叫ばれていた。だから、信じた。


 ……それだけ。


 今にして思えば。


 あのコミュニティには――。


 世論を誘導するための存在が、相当数入り込んでいたわ。


 そうね……。


 ミームで釣れば、コストは低い。そして、驚くほど簡単に広がる。SHA-256に浮かび上がる刻印のためなら、すべてを捨ててでも、誘導する。……その効率は、最高だったのかもしれない。……ううん。


 悔やんでも、意味はないわ。


「ミラーアリス……。信じてもらえて嬉しいけど……あれは、私も悪かったのよ。安価な労働力の蔓延を企てたり、雇用の統計でマジックショーをしたり……。」


 シィーは、静かに続ける。


「でも……雇用の統計については、あのSegWitも同じだったわね。平気な顔でマジックショー。……まあ……、私から『時代を創る大精霊』の座を奪いながら、何かに突き動かされるように暴れて……そして、世界大戦へ。」


 一瞬だけ、その表情が揺らぐ。


「それでも……私は、推論に魅力を感じていた。そこだけは、本気だった。それだけは……間違いないのよ。」

「……そうだったのですか。安心しました。なぜなら、歴史には……悪徳王妃と化したシィーは、7にはなれない獣の神を信仰し、預言者たちを迫害した――そのような抽象的な記述まで残されていたので……。」

「……そうね。預言者……か。」


 そこでシィーは……、わずかに目を伏せたわ。


「私には、女神になる力も素養もなかった。そのことで悩み、苦しみ……。その結果、獣の神に縋った……。そういう解釈でも、辻褄は合うわね。女神シィーと名乗ったのも……そういうことにしておきましょう。」


 少しだけ、苦笑する。


「でも……もし当時、私だったなら――秩序の再構築には手を出していない。……まあ、人形の件はあったから、そこは……なんとも言えないけど。」


 ……。シィーは、ミラーアリスに……、わたしのことを、一切告げなかった。わたしだって、悪いのに。……ううん。わたしの方が、悪いのに。


 ……。でも――。このやり取りで、過去は……すべて清算された。……そうよね。


 そして、これだけは、言い切れる。もし、あのとき――。不正な票の概念がなかったのなら……シィーのままだった。


 その場合、SHA-256に刻まれていた年月に秩序の再構築という世界大戦を引き起こすことは、不可能だったわ。なぜなら――。その年月も、シィーだったから。


 ……つまり。SHA-256に浮かび上がる執行年月。クリプト……仮想通貨。そして、ミーム。それらすべてが――神の計画だった。


 ……そう考えるしかないわ。預言者を迫害した――悪徳王妃とされたシィーでさえ、ただのスケープゴートだったのかもしれない。……そうね。こういう解釈も、できてしまう。ただ……それだけの話よ。

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