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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第九章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 預言者を異端とした悪徳王妃
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52, クリプト……仮想通貨を破壊することで、すべての矛先が、そこへ集中する。そして――秩序の再構築という世界大戦は、終戦した。

 いま……こうしてミラーアリスと一緒に、平和に過ごせているのは――。秩序の再構築というあの世界大戦が、きちんと終戦したからよ。


 もし、あのままだったら……。本当に、石器時代に逆戻り。


 ……ええ。普通に考えれば、あの炎が意味するものは、それしかない。起きてしまえば、文明はすべて失われる。


「女神様。クリプトは……平和な未来を創るものではなかったのでしょうか?」


 ……。今でも、わたしの心に深く突き刺さる言葉よ。


 聖霊様とやらが仕組んだ罠だったとしても――。あまりにも、残酷だった。ゼータの雷光で、結果として平和にはなった。


 でも――。


 平和を「創った」とは、とても言えない。……たまたま、そうなっただけ。


 そうよ。


 絶対に負けられない相手に、アタックしたSegWit。最初は――順調だった。


 すぐに勝てる。この作戦こそが、平和と繁栄への近道。そんな言葉ばかりが、並んでいた。


 でも……。時間が経つにつれて、戦況は変わっていった。


 当然よ。


 相手は――燃料を仕切れる立場だった。その弱点を、少しずつ突かれていく。


 まず、燃料を封鎖される。それにより、膨大なエネルギーを消費することでしか防御壁を構築できない「1ゼタの神殿」が、エネルギー的に追い込まれる。SegWitにとって、クリプトは、重要な政でもあった。当然、最優先で狙われたわ。


 そこへ――。SegWitとAggWitの両方に迫る「民の審判」という、時間制限。……それが決定的だった。


 でも――。今になって考えると。これ、やっぱり不自然なのよ。出来過ぎているわ。


 燃料に弱いこと。長期戦に持ち込まれたら負けること。


 そんなの――。秩序の再構築を始める前から、わかりきっていた話。それでも始めた。


 ……これ。作り話だと疑われても、反論できないくらい、出来過ぎていたわ。本当に……シナリオ通り。


 そうよ。聖霊様の筋書き通り。そして――。


 SegWitに現れた、あの焦燥。あれは、そう……。少しずつ、確実に追い込まれていった。


 いつもなら、ファイトファイトと強気な演説をするはずなのに。そこに陰りが見え始める。……あの崩れ方。


 あれすらも。計算されていたのよね。


 この状況で、そこまで追い込めば。次に、どんな行動を取るか。すべて読める。


 ふたりの証人を完全に掌握した存在が――。計算通りに、駒を進めていた。……ぞっとする話よ。


 でも――。追い込み過ぎると、壊れてしまう。そこも、わかっていた。


 だから――。逃げ道が用意されていたのね。……そう、それが……。


 スケープゴート理論。それこそが、わたしが女神――「最高の駒」として実行させられた「デジタルスケープゴート」よ。


 その理論に従い、適度に「カルマ――罪の記録」を蓄積させ。標的として成立するよう、世論を誘導する。文明を維持しながら――確実に機能する「出口」を用意した。


 それが――、クリプト……仮想通貨を破壊することで、すべての矛先が、そこへ集中する。


 そして――秩序の再構築という世界大戦は、終戦した。……つまり。


 これで、成就。スコフィールド的な解釈としては――そういうことになっていたなんて。

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