52, クリプト……仮想通貨を破壊することで、すべての矛先が、そこへ集中する。そして――秩序の再構築という世界大戦は、終戦した。
いま……こうしてミラーアリスと一緒に、平和に過ごせているのは――。秩序の再構築というあの世界大戦が、きちんと終戦したからよ。
もし、あのままだったら……。本当に、石器時代に逆戻り。
……ええ。普通に考えれば、あの炎が意味するものは、それしかない。起きてしまえば、文明はすべて失われる。
「女神様。クリプトは……平和な未来を創るものではなかったのでしょうか?」
……。今でも、わたしの心に深く突き刺さる言葉よ。
聖霊様とやらが仕組んだ罠だったとしても――。あまりにも、残酷だった。ゼータの雷光で、結果として平和にはなった。
でも――。
平和を「創った」とは、とても言えない。……たまたま、そうなっただけ。
そうよ。
絶対に負けられない相手に、アタックしたSegWit。最初は――順調だった。
すぐに勝てる。この作戦こそが、平和と繁栄への近道。そんな言葉ばかりが、並んでいた。
でも……。時間が経つにつれて、戦況は変わっていった。
当然よ。
相手は――燃料を仕切れる立場だった。その弱点を、少しずつ突かれていく。
まず、燃料を封鎖される。それにより、膨大なエネルギーを消費することでしか防御壁を構築できない「1ゼタの神殿」が、エネルギー的に追い込まれる。SegWitにとって、クリプトは、重要な政でもあった。当然、最優先で狙われたわ。
そこへ――。SegWitとAggWitの両方に迫る「民の審判」という、時間制限。……それが決定的だった。
でも――。今になって考えると。これ、やっぱり不自然なのよ。出来過ぎているわ。
燃料に弱いこと。長期戦に持ち込まれたら負けること。
そんなの――。秩序の再構築を始める前から、わかりきっていた話。それでも始めた。
……これ。作り話だと疑われても、反論できないくらい、出来過ぎていたわ。本当に……シナリオ通り。
そうよ。聖霊様の筋書き通り。そして――。
SegWitに現れた、あの焦燥。あれは、そう……。少しずつ、確実に追い込まれていった。
いつもなら、ファイトファイトと強気な演説をするはずなのに。そこに陰りが見え始める。……あの崩れ方。
あれすらも。計算されていたのよね。
この状況で、そこまで追い込めば。次に、どんな行動を取るか。すべて読める。
ふたりの証人を完全に掌握した存在が――。計算通りに、駒を進めていた。……ぞっとする話よ。
でも――。追い込み過ぎると、壊れてしまう。そこも、わかっていた。
だから――。逃げ道が用意されていたのね。……そう、それが……。
スケープゴート理論。それこそが、わたしが女神――「最高の駒」として実行させられた「デジタルスケープゴート」よ。
その理論に従い、適度に「カルマ――罪の記録」を蓄積させ。標的として成立するよう、世論を誘導する。文明を維持しながら――確実に機能する「出口」を用意した。
それが――、クリプト……仮想通貨を破壊することで、すべての矛先が、そこへ集中する。
そして――秩序の再構築という世界大戦は、終戦した。……つまり。
これで、成就。スコフィールド的な解釈としては――そういうことになっていたなんて。




