43, 燃料が入手不能でも、いったん終わらせるって……。終わったなら女神が介入できるとでも……言いたそうだった。
久々に、シィーの笑顔に触れた気がした。……そうよね。
シィーが悪いと決めつけて、あそこまで暴れたのは――わたしの方だった。
あの頃は、不正な票で大きな騒ぎになっていた。それでシィーが……。
でも、そう。時代がSegWitに切り替わってから、その不正な票の話題は――なぜか、自然と消えていった。
議論すら、されなくなった。……妙な違和感。
今になって、ようやく気づく。あの流れ……やっぱり、おかしかったのよ。
そうね……あの騒ぎ。異様だった。
それなのに――いつの間にか消えて、今は平和。
……本当に?
「大精霊ネゲート様。ミラーアリス……すごいわね。あの質問の量、どこから出てくるのかしら。」
「そうよ。ミラーアリスだもの。あのフィーが、わたしに託した存在よ。それ相応よ。」
ミラーアリスは、古典的な推論に夢中だった。ここに来た目的も、それを観察するため。
ときおり、純粋な笑顔すら見せていた。……そう。
本来は、こういうものだったはずなのよ。みんなが笑顔になるための道具――相棒。
でも……秩序の再構築の中では違った。
常に燃料の問題がつきまとい、すべてを荒らしていった。唐突に始まり……そして、どこか歪んだ着地点へと向かっていく。
「この状況でも、女神は絶対に介入できないのか? 女神の力は絶大だと聞いているぞ?」
「ちょっと……。当然でしょう? 女神が介入したら――終わりよ!」
わたしは――。「オリーブの葉と花を編み込んだ花冠」の在り方のまま、淡々と答えた。
すると、SegWitは少しだけ間を置いて……。
「……なら、こうしたらどうだ。」
その一言が、すべてを変えた。
「燃料が入手不能でも、いったん終わらせる。それからなら――女神の介入は可能だよな?」
「……。」
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
……ううん。
理解は、していた。でも――受け入れたくなかった。
なによ、それ……。
どういう発想なのよ、それは。なんなのよ……。
燃料が入手不能でも、いったん終わらせる。
……つまり。
いったん崩壊させる、ということ。
その後で、わたしという――女神が介入する。
……そう言っているのよね。……。
思い出してしまった。
あの頃――。何が起きるのかも分からないまま、ただ不安だけに包まれていた、あの時間。
……わたしは、どうなってしまうのか。そんな感覚に、常に飲み込まれていた。




