41, 古典的ディスペンセーション主義 ―― SegWitは、異教の地から燃料を奪いに行く……。
そうね……。ゼータの雷光。あれから半世紀も経てば、わたしのことを知る者も、ずいぶん少なくなってきたわ。もちろん、それは寿命を持つ民に限った話で――精霊のような存在には、強烈な記憶として刻まれているから、いまでも知る者は知っているのだけれど……。
結果として、わたしの神託は成就し――平和へと移行した。……そう、言うべきなのかしら。
結果がすべてで許されるのなら。それが、創られた平和であったとしても……民は疑うことなく受け入れたわ。
……ええ、それでいいのよ。
平和なら――それでも。
そこで、古典的ディスペンセーション主義。
SHA-256に浮かび上がる「スコフィールド注釈付聖書の初版」。それはまさに、ジェネシス版にふさわしい――字義的解釈を要求する立場。
つまり、聖書を寓話としてではなく、神の計画として現実に必ず起きるものと解釈する思想。
その帰結として現れるのが――ハルマゲドン。大部分の民が息絶え、文明すら破壊しかねない終末。
……そこを、どう乗り切るのか。
あの「聖霊様」は、本気で悩んだのかしら。……きっと、そうよね。
そして――。
スケープゴート理論に触れ、感銘を受けた。そのうえで、クリプトという駒を動かし始める。
その中で、最も都合のよい駒。それが――わたしだった。
つまり……。わたしの神託の成就なんて、デジタルスケープゴート。……ただの身代わり。
だから、わたしに向けられた言葉も――。心ないものが、少なくなかった。
……でも。
それでいい。わたしが悪いのだから、全部、受け止めたわ。
それで、その中心に常にあったのが――SHA-256。暗号ではなく。暗号よりも、SHA-256が重要だった。
「大精霊ネゲート様。すごいです。どの地域でも……顔パス。当然ですよね。」
「そ、それは……。」
こんなに傲慢でも……元女神よ。本来なら厳格な審査が必要な境界線上でも、わたしは――たった一言で通過できる。同行しているミラーアリスにすら、審査は求められない。
「大精霊ネゲート様……。わたしも、なんだか特別な気分です。」
「……。わたしは、そんな気分でずっと……あの塔のてっぺんで……。」
「あ、あの……?」
……この光景。
思い出してしまったのよ。SegWitが――あのとき、どう動いたのかを。
「おい、女神よ。燃料が手に入らないなら、奪いに行くしかないぞ。」
「えっ! ちょっと待って! 交渉は順調だって……。」
「交渉? そうだな……この状況で、そう思えるのか? 地上戦向けに、頼れる精霊をたっぷりと準備してやったぞ。」
「ちょっと……本気で……?」
「いいか、女神よ。このままでは、1ゼタの神殿は崩落するぞ? そこに回せる燃料は、いつまで維持できる? そんな状況だ。つまりだな、移動向けの燃料すら足りず、倍々で値が上がっている。わかるか、この事態? もはや一刻の猶予もない。いいか、女神よ? ああ……なぜか、何かにやらされている感覚はあるぞ。いったい、どうなっているのだ!」
……これで。わたしは、何も言い返せなかった。
古典的ディスペンセーション主義 ―― SegWitは、異教の地から燃料を奪いに行く……。
うん……ミラーアリス。わたしは――やっぱり、こんな女神だったのよ。




