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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第八章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 聖痕とロンギヌスの槍
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39, ロンギヌスの槍 ―― SHA-256に浮かび上がる「五つの聖痕」のうちの……一つだった。

 それから、わたしは……またひとつ、驚くべき事実を知らされることになる。


 このSHA-256に浮かび上がる刻印――その四隅を見てほしい、と言われたのよ。四隅……? そこに、何かあるというの……?


 そう思いながら、SHA-256刻印の構造をなぞっていくと……気づいたわ。


 この刻印構造を浮かび上がらせるには、まず四隅から顕在化させる必要があった。そして、その過程で――まるで支点を打ち込むように、四隅へ「傷」を与える挙動が現れる。


 ええ……実際に見てしまうと、それは「そうとしか言えない」変化だった。


 ……。


 どうやら、それを――「聖痕」と、解釈するらしい。フィーが、ぽつりとそう呟いた。


 ……やっぱり。ううん……間違いなく、フィーは「聖霊様」の正体に触れている。


 でも――そこには踏み込まない。それは、約束だから。


「創造主の子が十字架にかけられたとき、手足で四か所の傷……それが聖痕、なのです。」

「……、これ、一応、暗号の話よね? ハッシュ関数の話、よね?」

「……、はい、なのです。」


 ……。


 いったい、なんなのよ……。こんな時代になってまで……未だに、これなの……?


「ところで、フィー。聖書には『五つの聖痕』ってあるけど……でも、今の話だと四か所なのかしら?」

「あ、あの……。あと一つは……『ロンギヌスの槍』で、脇腹を貫かれるのです。」

「……、そ、そうなんだ……。でも、その最後の傷は、傷というより……裂ける、破れる、という感じよね。」

「……。はい、そうなるのです……。」


 ロンギヌスの槍――。


 また……妙なものが出てきた。スコフィールド注釈付聖書の初版を取り込んだ、だけはあるわ。


 でも、わたしはここで……ひとつの可能性に気づいてしまう。


 これを含めて考えるなら――SHA-256に浮かび上がる「五つの聖痕」。


 そういう構造だったのだとしたら……。


 四隅以外に――もう一箇所。SHA-256に、ロンギヌスの槍が貫く場所。そうよ、そんな歪みが存在することになるわ。


 ……ちょっと待って。それって……。


 念のため、確認してみる……。


「SHA-256に浮かび上がる『五つの聖痕』という考え……だったのかしら? つまり……四隅以外に、ロンギヌスの槍が貫く場所が、あったの?」

「……。そ、それは……。」


 ……そこで、フィーは言葉を詰まらせた。


 どうやら、ここから先は――。


 自分の目で、確かめるしかない。


 これ以上は無理しなくていいと伝えると、フィーは小さく安堵の表情を浮かべた。


 ……その表情が。


 すべてを、物語っていたわ。

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