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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第七章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 三位一体
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38, クリプト……仮想通貨は、みんなで信じて価値になる ―― そうではなく、SHA-256に浮かび上がるスコフィールド注釈付聖書「初版」に、価値を宿していた。そんな解釈すら……あり得てしまう。

 精霊と人が笑顔で暮らせる時代の実現。わたしは――それだけを信じていた。


 だから、クリプトを……神託として、受け入れたの。


 目の前には、壊れかけた相場。もはやこれでは、まともな方法での修復は難しい。インフレも進行していたわ。ただ、その時点では……まだスタグフレーションには至っていなかった。


 ところが――。


 そのとき、任されていたシィーから発せられた「買いの容認」によって、崩れかけていた相場は、一気におかしくなっていった。それまでは、徹底して「売り売り」で誘導してきたはずなのに。それを、急に「買いでもよい」とするなんて。


 しかも――それはマニピュレーションには該当しない。安心して、その通貨を買って問題ないと。


 ……そんな通達だった。もう、なによこれと、何度も叫びたくなったわよ。


 ええ……。今になって思えば、自分でも何をどう正しいと信じていたのか、わからない状態だったわ。


 売りから買いへの、急激な方向転換。その通貨――そう、「覇権を握るあの通貨」だった。


 それにより、その影響は広範囲に及んだわ。相関している通貨の、ほぼすべてに波及し……その影響度に応じて、価値が大きく揺らいでいったのよ。


 もちろん――。それは、クリプトにとっては……ようやく価値を試される時が来た、そういう瞬間でもあった。


 ……ええ。わたしだって、浮かれていた。


 でも――そのとき、起きてしまった。あの……豪快に吹き飛ばした、一件。


 ……。


 こうして並べてみると、よくわかるわ。


 『みんなで信じることで価値になる』


 そんな言葉は、これまで何度も耳にしてきた。でも――。


 今となっては、それがどれほど単純化された理解だったのか、はっきりする。


「0から1」から創造された神の奇跡?

「模倣欲望」が強く作用していた?


 ……そんな説明も、すべて。ただ、利用されていた側の解釈に過ぎなかったなんて。


 つまり――。本当に価値が宿る要因として、最も強く成立する場所は、一つしかない。


 そう……。SHA-256に浮かび上がるスコフィールド注釈付聖書「初版」。そこに、価値が宿っていたのよ。……そんな解釈すら、成立してしまう。


 初版――すなわち、ジェネシス版。SHA-256の最下層に存在するもの。


 それは――深淵。……魂に最も近い層。


 そう考えれば。量子耐性が進まなかった理由も、理解できる。


 SHA-256を外すこと。それは――クリプト……仮想通貨から、魂を引き剥がすのと同じ行為だった。


 ……できるはずがない。だって――そこにこそ、価値が宿っていたのだから。

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