表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第六章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― 異教徒の存在
32/92

31, 燃料が枯渇しても1ゼタの神殿を維持しろ。苦しんでいるのは異教徒。ただの報いだ。どうでもいい。わかったな、女神よ。

 それからわたしは……ふと、燃料が枯渇し始めたあの時期を、思い出してしまった。


 そうね……あの頃から、妙な違和感が、現実へと変わり始めていたのよ。唐突に現れた数学の女神が言い放った、あの内容……。あんなもの、いきなり信じるほど、わたしはゆるくはなかったわ。


 でも……その積み重ねが、少しずつ……確実に、その隔たりを溶かしていった。やがてそれは、映し出された現実と結びつき……ひとつの構造を持ち始める。


 そして、その構造が……数学の女神が持ち掛けた――そうね、あれはもう「計画」と呼ぶべきものね――それに、現実感を与えていく。


 わたしは追い込まれ……、傲慢な女神では、もういられなくなっていた。燃料……どうしよう。


 ――そんな時を、迎えてしまったのよ。


「わたしからもお願いしたいわ。この仕組みは……みんなのため、だったのよね? いま、この瞬間、燃料が不足して、多くの民が苦しんでいるのよ。それなら、今は2ビット分くらいの防御壁を失ったとしても……、それで……、全エネルギー消費量の0.75%は余裕に確保できるわ。これは、とてつもなく大きな量よ。いかがかしら?」


 ……本当に、ゆるい女神だったわ。


 これくらい、簡単に通じると――そう、どこかで信じていたのよ。すぐに快諾されるものだと、本気で思っていた。


 でも、現実は……。


「何を言い出しているのだ? 燃料が枯渇しても1ゼタの神殿を維持しろ。苦しんでいるのは異教徒。ただの報いだ。どうでもいい。わかったな、女神よ。」


 えっ……。


「な、何を言っているのよ……ちょっと……。」


 思わず、声が出てしまったわ。


「なんだ? おまえ……本当にゆるいな。『秩序の再構築』を、何だと思っているんだ? これは、我らと異教徒との戦いでもあるんだぞ。ちょうどその1ゼタが、強力な武器になったのだ。おまえも女神なら、喜ぶべきだろう。ああ、高騰する燃料代なら絶対に心配するな。この戦いのためなら、それこそ無尽蔵にあるからな。わかったな?」


 ……。そうよ、このときよ。


 なぜ、疑問に思わなかったのかしら。「我らと異教徒の戦い」って、なによって……。


 この「我ら」が、何を指しているのか――そこを、深く考えるべきだったわ。それすらも……あの刻印が示す方向の、その先にあったなんて……。


 それから……。SegWitだったかしら。ううん……今日は、これくらいで……。


 ……、なんだか、心苦しい……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ