31, 燃料が枯渇しても1ゼタの神殿を維持しろ。苦しんでいるのは異教徒。ただの報いだ。どうでもいい。わかったな、女神よ。
それからわたしは……ふと、燃料が枯渇し始めたあの時期を、思い出してしまった。
そうね……あの頃から、妙な違和感が、現実へと変わり始めていたのよ。唐突に現れた数学の女神が言い放った、あの内容……。あんなもの、いきなり信じるほど、わたしはゆるくはなかったわ。
でも……その積み重ねが、少しずつ……確実に、その隔たりを溶かしていった。やがてそれは、映し出された現実と結びつき……ひとつの構造を持ち始める。
そして、その構造が……数学の女神が持ち掛けた――そうね、あれはもう「計画」と呼ぶべきものね――それに、現実感を与えていく。
わたしは追い込まれ……、傲慢な女神では、もういられなくなっていた。燃料……どうしよう。
――そんな時を、迎えてしまったのよ。
「わたしからもお願いしたいわ。この仕組みは……みんなのため、だったのよね? いま、この瞬間、燃料が不足して、多くの民が苦しんでいるのよ。それなら、今は2ビット分くらいの防御壁を失ったとしても……、それで……、全エネルギー消費量の0.75%は余裕に確保できるわ。これは、とてつもなく大きな量よ。いかがかしら?」
……本当に、ゆるい女神だったわ。
これくらい、簡単に通じると――そう、どこかで信じていたのよ。すぐに快諾されるものだと、本気で思っていた。
でも、現実は……。
「何を言い出しているのだ? 燃料が枯渇しても1ゼタの神殿を維持しろ。苦しんでいるのは異教徒。ただの報いだ。どうでもいい。わかったな、女神よ。」
えっ……。
「な、何を言っているのよ……ちょっと……。」
思わず、声が出てしまったわ。
「なんだ? おまえ……本当にゆるいな。『秩序の再構築』を、何だと思っているんだ? これは、我らと異教徒との戦いでもあるんだぞ。ちょうどその1ゼタが、強力な武器になったのだ。おまえも女神なら、喜ぶべきだろう。ああ、高騰する燃料代なら絶対に心配するな。この戦いのためなら、それこそ無尽蔵にあるからな。わかったな?」
……。そうよ、このときよ。
なぜ、疑問に思わなかったのかしら。「我らと異教徒の戦い」って、なによって……。
この「我ら」が、何を指しているのか――そこを、深く考えるべきだったわ。それすらも……あの刻印が示す方向の、その先にあったなんて……。
それから……。SegWitだったかしら。ううん……今日は、これくらいで……。
……、なんだか、心苦しい……。




