30, この地で、精霊、大精霊、女神という存在は「神の刻印」を授かった者。すなわち……Witnessだ。
未だに切れていない――一本の糸がある。それは……「クリプトの糸」と呼ばれているものだった。
「おはよう。聖霊シオン様。ご機嫌麗しゅうございます、だよ。」
「数学の女神よ。今日も平和で、平穏な一日の始まりだ。余は非常に満足している。やはり半世紀前――黙示録……ハルマゲドンは、神の計画だった。それこそが、すべてだったのだ。」
その言葉を受けて――数学の女神は、静かに切り出す。
クリプトの糸について。
「ほほう……クリプトの糸、か。」
「そうだよ。そして――まだ切れていない。そう……これこそが、『神の刻印』を授かった者たちによる、許された再起。天から選ばれた者たちだけが辿れる道。大精霊フィーが、とても喜んでいて、強く印象に残っているよ。小さな、新しい芽。そこから……真なるクリプトが始まったんだよ。」
「ははは……そうか、そうか。やはり、数学の女神に任せて正解だった。見事にやり遂げたな。」
「あ、あ……ありがとうございます。」
聖霊シオンのその言葉は――数学の女神にとって、何よりの祝福であった。
……だが。
「それで、聖霊シオン様。実は……少し妙な噂を耳にしたんだよ。」
「妙な噂だと? この平和な時代に、何事だ。話してみよ、数学の女神よ。」
数学の女神は、わずかに間を置き――語る。
最近、大精霊ネゲートの様子がおかしいことを。
ときおり見せる、悔やむような表情。何かを抱え込んでいるような、あの気配。
それらが、明らかに以前とは異なっていると。
「……つまり。最近になって、大精霊ネゲートの様子がおかしいということだな。」
聖霊シオンは、静かに言い放つ。
「そうか……。この地で、精霊、大精霊、女神という存在は『神の刻印』を授かった者。すなわち……Witnessだ。それにもかかわらず――なぜ、自覚がないのだ。それゆえに、神の賜物として……永遠の命を得ているというのに。」
「聖霊シオン様、おっしゃる通りだよ。本来であれば――黙示録の後。神の刻印を授かった『証人』たちを中心として、ただ、平和の再建と維持に尽くせばよいだけ。それなのに……、大精霊ネゲートは……。この重要な役割を、放棄しようとしているのかな。そのような怠惰は……『大罪』だよ。どうされますか、聖霊シオン様。」
……怠惰。それは――大罪。
聖霊シオンは、わずかに思案する。
大精霊ネゲートの今後の扱いについて。
なぜなら――。彼女は……特別な存在だったからだ。




