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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第十五章:暗号通貨 サトシ・ナカモトの正体
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110, ステーブルなんてゴミの寄せ集めだろ。ああそうだな、殺鼠剤の原料とでも言うべきか。そんなものに、偉大なる我らの力を与えるというのか。そんな狂った女神候補のなれの果てが、これだ。因果応報だな。

 それでも――わたしは、覗き込む。


 パランティーリを……、……。


 次に映し出されたのは――わたしの、あまりにもむごい姿。


 そして――その周囲で、嘆き悲しむ者たち。


 ……そんな映像だった。さらに、場面が切り替わる。


 今度は――わたしの死に、涙を流す者たち。


 その中には――フィーがいた。……泣き崩れていたわ。


 ……ちょっと、なによ。本当に――なんなのよ、これ……。


 そして、ふと――わたしは気づく。


 ……そうだった。首元の傷跡へ、そっと手を当てた。


 なんだろう。これって……。


「なんなのよ、この続きは?」


 わたしはまた、数学の女神へ詰め寄った。


「わたしだって、こんなの見せられて……。本当に、黙ってなんかいられないわよ?」

「……。そうだね。」


 数学の女神は、静かに答えた。


「でも、見るべき場所は、そこじゃないよ。」


 ……。


「よく見て。」


 その声は、異様なほど冷静だった。


「悲しむどころか――笑っている者たちがいるよ。」

「……、えっ……。」


 わたしは、強い恐怖を覚えながら――数学の女神が示した存在へ、意識を集中させた。


 ……そうね。これは、見逃しやすい。


 精神を、そちらへ合わせなければ――その情報は、得られない。


 ……パランティーリは、そういう仕組みだった。……。


 そこには……腕を組みながら――笑っている者たちがいた。


 そして、何かを話している。……いったい、なによ……。


「ステーブルなんて、ゴミの寄せ集めだろ。」


 ……。えっ……。


「ああ、そうだな。殺鼠剤の原料、とでも言うべきか。」


 その言葉に、背筋が凍った。


「そんなものへ、『偉大なる我らの力』を与えるというのか。」


 ……。


「そんな狂った女神候補の、なれの果てが――これだ。」


 な、なによこれ……。そして――。


「因果応報だな。」


 ……。何となく、だけど。わかってしまった。


 ……そうよね。


 わたしのことが、面白くない勢力だって存在していた。


 ええ、ステーブルへ顧客を奪われる。そんな、あまりにもわかりやすい理由。


 だから――ステーブルへ、「お墨付き」を与える存在が邪魔だった。


 ……そういうことよね。


 殺鼠剤は、殺鼠剤らしく。


 「遊び」程度で止めておけ。


 これ以上、調子に乗るな。


 そして――この先も、「遊び」の範囲なら面倒を見てやる。


 ……きっと、そういう話だったのでしょうね。……でも。


 これって――いつの話なの?


 ……。


 なにか、おかしい。


 これって、やっぱり……。


 そう。わたしが追い込まれた、「あの日」。


 その先の出来事のような気がする。


「ねえ。」

「……。」


 数学の女神が――珍しく、黙り込んだ。そして――。


「……その続きだよ。」


 小さな声だった。


「それが、『真実』なんだよ。」


 ……。


「……、……、……。わたしの……不手際だったんだよ。」

「えっ?」


 不手際……?


 なんだろう。急に――空気が重くなったわ。


 ……でも。気になる。


 わたしは、そのまま精神を集中させ――映像と、さらに深くシンクロした。


「まったく――懲りない女神候補でしたよ。」


 ……。


「でも、こうして先回りして始末できたのは、何より幸運でしたね。」

「ほんとだよ。」


 それに、別の声が続く。


「君の素晴らしい仕事と、創造神へ感謝する。ところで……。」

「ああ、それなら大丈夫です。」


 ……。


「まさか、『真実を映し出す石』が、あんな者の手へ委ねられていたとはね。」


 その言葉に、わたしは息を止めた。


「さっさと抑え込んで、例の石を一つ、拝借しただけですよ。」


 ……。


「一つでも奪えれば、あとは簡単です。」


 そこには、冷たい笑い声。


「奪った石から、『真実』として、我らの敵を映し出してもらう。」


 そして――。


「それを始末する。」


 ……。


「最小限で済みましたよ。実に、楽でした。」

「騒ぎには、なっていないな?」

「はい。問題ありません。」


 ……。


「ギャーギャーとは騒がれましたが――あの者は、数学以外に特別な力を持っていませんでしたから。」


 ……。


「それで――その者は、今どこに?」


 ええ……。


「いつまでも、封印しておけないだろう。」

「はい、ご安心ください。」


 その返答は、あまりにも軽かった。


「今回の件は黙っていろ。さもなければ、『次の犠牲者はフィーだ』と、強く促してから解放しました。」


 ……。


「ははは、即座に観念したようで、楽勝でしたよ。」


 そして――。


「まったく。こんなにも簡単に事が運ぶとは。」


 ……。


「それはそれで、拍子抜けでしたがね。」


 ……。


 これって――そういうこと、だったの。


 数学の女神は――ずっと、うつむいたままだった。


 ……でも。それでも。


 わたしは――こうして、ここにいる。

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