表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第十五章:暗号通貨 サトシ・ナカモトの正体
PR
106/232

105, SHA-256のようなハッシュ関数に、意味を解釈可能な「刻印」を埋め込むなんて――普通は、最初から不可能。誰だって、そう結論づける。……でも。サトシは、違ったわ。

 意味を解釈可能な――明確な意思を宿した刻印。


 でも――たとえ、そのようなものが出現したとしても、それが「確率論」の範囲なら、意味は持たない。……そういうことだったのよ。


 たとえば――わかりやすい例として、ゾロ目のハッシュ値なんてどうかしら。すべてが「7」で構成された、出力ハッシュ値とか。


 もし、そんなものを発見したら――そのゾロ目の出力を生み出した入力と合わせて、「神秘的だ」と騒がれるかもしれない。そして――それを、「刻印」と呼びたくなる者も現れるでしょうね。


 ……でも。それは、刻印ではないわ。なぜなら――その入力を導き出すには、量子。あるいは、それ以上の未知なる力が必要になるとしても……理論上、「計算可能」だからよ。


 つまり――古典で現実的に導ける確率ではない。ただ、それだけの話なのよ。


 ……。さて、その確率。それは――「1 / 2の256乗」。


 そうよね。これは――現実的には起こせない。でも――数学的にも、物理的にも、「0」ではない。0ではない以上、「絶対に起きない」とは言えない。


 つまり――入力そのものは不明であっても、条件さえ満たせば、必ずどこかで発生し得る。そういう性質なのよ。だから――このようなものは、「確率論」として扱われる。結果として――「確率的には起こり得る」。


 そう説明できてしまう以上、そのような現象は「刻印」とは呼べなくなる。強い意思によって刻まれたのではない。偶然的に、そうなっただけ。……そう解釈されるからよ。


 パランティーリも、そこは完全に理解していたわ。それで――SHA-256と並べて、「確率論」と「必然性」を映し出していた。


 ……そういうことだった。これで、確定したわ。


 そして――問題はここから。SHA-256の、どこに、そんな「必然性」を埋め込むのか。


 まず――公開されている設計図。つまり、コード内部の定数よ。そんな場所へ埋め込むのは、論外。なぜなら――その定数は、素数の平方根や立方根などから導出されることで……。


「そこへ意図的な思惑は混入していない。」


 それを、強く証明しなくてはならないからよ。


 そして実際――SHA-256の定数群は、本当にそのような数字で構成されていたわ。公開されている手順通りに計算すれば――コードへ並んでいる、あの定数群になるのよ。


 ……間違いない。つまり――「見えている場所」へ、刻印することは不可能。


 でも――単純にハッシュ出力を利用しただけでは、「偶然だ」と言われて終わる。それも、説明済みよね。そもそも――そんな方法で刻印を成立させようとすれば、古典的計算量を遥かに超える、未知なるリソースが必要になる。……最初から、成立しないわ。


 そういう話だった。つまり――ここまで考察すると……SHA-256のようなハッシュ関数に、意味を解釈可能な「刻印」を埋め込むなんて――普通は、最初から不可能。誰だって、そう結論づける。


 ……でも。サトシは、違ったわ。


 ……ほら。やっぱり。何度も何度も――SHA-256の構造そのものを、確認している。


 まず「静的構造」。それは、コードとして公開されている。刻印としては触れられない。でも――もう、わかったでしょう?


 本当に重要だったのは――「動的構造」よ。演算のために記憶域――メモリへ展開される、あれらの情報よ。


 そんな動的構造なんて――コードを眺めただけでは、絶対に見えてこないわ。


 SHA-256を実際に動かしてみて、はじめて、「構造」として浮かび上がる。実行時の情報……まさに、ダイナミックな情報よ。


 ……そう。サトシは、そこを利用して――SHA-256に、刻印にしたのよ。クリプト……仮想通貨計画を、確実に、そこへ刻み込んだのよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ