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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第十五章:暗号通貨 サトシ・ナカモトの正体
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106, あれと相関する世界線は、クリプトによる数学的否定に抗えず、次々と消滅していったわ。

 ……。SHA-256に浮かぶ刻印。


 その場面から、急に映像が切り替わった。


 そして今度は――フィーを映し出したわ。


 ……フィーは。いったい、何をしているのかしら。


 どこか苦しそうな表情を浮かべながら――何かを、見つめている。


 ……ちょっと。いま、フィーの目の前にも――真実を映し出す石が、あったわ。


「……、フィーはね。チェーンの管理を任されていたんだよ。」


 数学の女神が、静かに説明し始めた。


「もちろん、それは同時に――わたしと同じように、パランティーリへ触れながら、移りゆく時の流れを編み込んでいた、ということでもあるんだよ。」

「……。チェーンの管理を任されていたことは知っていたけど……ここまで深く関わっていたなんて、初めて知ったわ。」

「だって、フィーだよ。数と空間の相関については……フィーだよ。」

「……。そうね。」


 ……それは、認めざるを得なかった。


「分岐していく世界線。そして、分岐していくチェーンだよ。」


 数学の女神は、ゆっくりと続けた。


「似たようなものなんだよ。どれを本流――メインストリームにするのか。そういう話なんだよ。」

「……。そこにも、あったのね。クリプトが示した、『数学的証明』の意味。」

「わかってきたんだね。」


 数学の女神は、少しだけ安心したように微笑んだ。


「あの世界線問題はね。本当に厄介なんだよ。」


 ……。


「どれが本流になるのか。そんなもの、どれだけ精密に計算しても――思った通りには、絶対にならないよ。」


 その声には、どこか疲労が滲んでいた。


「だから、争いが絶えなかった。」


 ……そう。本流を巡る争い。


「そこで――クリプトへ、『究極の仕掛け』を埋め込んだんだよ。」


 わたしは、息を呑んだ。


「強制的に、目的の世界線を『本流』へ固定するための仕掛け。」


 そして――。


「それが、『SHA-256に浮かぶ刻印』だったんだよ。」


 ……。


「それで……。」


 わたしは、静かに呟いた。


「クリプト……仮想通貨で、『あれ』を数学的に否定させる。」


 ……。


「そうだったのね……。」


 その瞬間。わたしの中で、無数の点が繋がった。


「たしかに……。『あれ』と相関していた世界線は、その数学的否定へ抗えず――次々と消滅していったわ。」

「……『あれ』、だね。」


 数学の女神の表情が、一瞬だけ鋭くなった。


「そこは……うっかりでも、注意だよ。」


 ……。厄介な、世界線の本流問題。そうね――あの仕組みには、わたしも賛同できない。


 なぜなら――あのままでは、恒久的な平和なんて絶対に成立しない。まるで、何かを永遠に楽しみ続けるためだけに設計されたみたいな。そんな仕掛けばかりだった。


 ……だからサトシは、SHA-256とクリプトを使って――その構造ごと、きずなごと……、一気に、解決した。


 ……そういうこと、だったのね。

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