101, わたしは……おそるおそる、過去のタイムラインを、覗き込むことにしたわ。
パランティーリの内部には――過去に、その石が捉えた映像。そして、他の石から受信した光。それらすべてが、「地層」のように積み重なって保存されている。……そんな仕組みだった。
つまり――過去の映像を、直接得ることができる。
そういうことよ。そのことを、数学の女神――パランティーリへ伝えると……。
特に反対されることもなく、「覗き込んでも構わないよ」と、静かに告げられたわ。
……。そこで、わたしは――おそるおそる。過去のタイムラインを、覗き込むことにした。
「これは……、あいつ?」
思わず、声が漏れた。
だって――最初に映し出されたのは。
そうね……。
真っ黒な何かを、呆然と見つめながら。まったく動かない、「あいつ」だった。
……。時間軸は、いつ頃なのかしら。
でも――ただ懐かしい、という感覚とは違った。
何かが、違う。まるで――異なる次元が、そのまま重なって映し出されているような。
そんな曖昧な境界ごと溶け込みながら――その映像は、目の前へ現れていた。
……。それから、あいつは。
ほんの少しだけ、動き始めた。右手で――何かを、カチカチと操作し始めた。
……あれは、何かしら。
なんだか――これは、観てはいけないものへ触れてしまったような。
そんな感覚が、あったわ。
おそらく――何かの情報入力。
だとしたら。物理的な装置を、手で操作して入力している。
つまり――かなり古い時代のもの。
そんな印象を受けたわ。
……。やがて。
真っ黒だった画面の一部へ――「緑色の数字」が浮かび始めた。
そして――あいつは、突然、頭を抱え始めた。
……。それにしても。
これだけ膨大な過去の映像があるというのに。
最初に映し出されたのが――これ、なのね……。




