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『Ray of sunshine』レイ オブ サンシャイン - Stunning sky in Florida - 突然の御曹司との生活……?! 過去を紐解きフロリダの空の下で輝くサクセスストーリー  作者: 彩川カオルコ


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第91話『Sunlit Conversations』くつろぎの昼下がり

ランドルフ邸のプールを見渡すガーデンで、(ツカサ)とジェンミが話に花を咲かせていると、そのすぐ後ろから声がした。


「おやおや? 我が家にもう一人、息子が増えるのかい?」


「あら、ジェームス!」


司と同時に振り向いたジェンミが微笑む。

「Mr.ウォーレン! アリサも! お疲れ様!」


「もう打ち合わせは終わったの?」


妻にそう聞かれたジェームス・ウォーレンは大きく頷くと、陽光を受けて満面の笑みを浮かべた。

「ああ、無事商談は成立さ。彼女(アリサ)は仕事が早いから、助かるよ」


有紗は嬉しそうに小首をかしげる。

「こちらこそです! ご快諾いただいて助かりました!」


「これを期に、ウォース・アベニューは活性化するだろう。近々、『ランドルフ』で会議することになったんだ」


二人の熱のこもりように、司とジェンミは顔を見合わせる。


「そうなのね! 良かったじゃない?」


「ええ! ウォース・アベニューの多くのブランドを巻き込んだフェアを開催するつもり。ミセスランドルフも翼さんもこのプロジェクトにはかなり意欲的な姿勢を示してるわ。『ランドルフ』としても、『ウォーレン』とのコラボ商品も、新たに考えてるって……そちらの話も進めていくことになったの」


「そうなんだよ。今回はウチ(『ウォーレン』)以外にも、日本初出店のブランドも幾つかあると聞いているし、今後は国際的なイベントに発展させる先駆けになるんじゃないかなと思ってね」


有紗は改めてジェームスに向き直ると、深々と頭を下げた。

「本当に楽しみです! Mr.ウォーレン、ありがとうございます」


「いやいや、私も楽しんでるから、お互い様だよ。でもここからは、仕事の話は抜きで楽しませてもらおうかな?」


「是非!」


瞳をきらめかせながら語り合う二人を座ったまま見上げていたジェンミが、ウォーレン氏と有紗を連れて、子供たちが遊ぶプールサイドに向かった。



入れ替わりで戻ってきた玲音に、司はグラスを差し出す。


「子供たちの遊び相手、大変だったでしょう? ありがとう、あの子たちに付き合ってくれて」


玲音は笑顔で汗を拭いながら、グラスを一気に飲み干した。


「いや、久しぶりにいい汗かいたって感じ。ロイを見てたら、昔の自分を思い出すんだ。俺にもあんな無邪気な時があったんだなって」


プールサイドに視線を向けて微笑む玲音の横顔を見ながら、司は再びグラスに水を注ぐ。


「玲音って、きっといいパパになるんだろうな……」


「へっ?!」

玲音が妙な表情で振り向いた。


「子供が好きなのね。子供たちってそういうシンパシーを感じ取ることに()けてるから、瞬時にわかるのね。だからあなたに、まとわりつくんだわ」


玲音は(ゆる)みそうになる頬を誤魔化すかのように、またグラスをあおる。


「それより、玲音……」

司が玲音に詰め寄るように、身を低くして言った。


「あなたの親友、私とあなたの関係に気付いてない?」


その言葉に驚いた玲音が顔を上げた瞬間、グラスが揺れて中の水がこぼれた。


「うわっ……え、なんか言われたのか?」


「いえ。そうじゃないけど……頭の回転の早い人だから、うまく隠せてる気がしなかったわ。彼、相当な切れ者よね?」


「そうか?」


「色々話してみて、あなたが親友として信頼する理由もよく解ったわ。素敵な人よね、彼も。人に気を遣わせないし、自分から心を開いて相手の警戒心を解く(すべ)を持ってる。でも、その真意というか、核心は……誰にも解らない」


「核心?」

玲音がその言葉に、不可解な様子で眉を寄せた。


「いいの? 有紗のこと」


玲音が眉をひそめた。

「ん? なにが?」


司は見つめた視線を外してフッと微笑む。

「いいえ、何でもない」



ジェンミが子供のように大きなストライドで走り込んできた。


「ねぇレオ! アリサがさ、アムトラックが見たいって!」


「はぁっ?! わっ! チッ! また……」

もう一度水をこぼした玲音は、大きくため息をつく。


司は吹き出しながら肩を上げた。

「え!? 子供たちじゃなくて有紗が?! なによそれ!?」


ジェンミは息を整えながら隣に座る。

「旅行中にアリサに話したんだけど、ツカサは " KATO(カトー) " ってわかるよね?」


「ああ、プラレールのアメリカ版ね? ウチにもあるわ」


「その鉄道模型をさ、子供の頃にレオとあのリビングいっぱいにレールを設置して遊んでたって話をアリサにしてたんだけど、今またその話になって……もちろんアリサだけじゃなくて、子供たちも遊びたいって言うからさ?」


ジェンミが玲音を仰ぐ。

「ねぇレオ、ガレージの裏の " 離れ " に行って来てもいい?」


玲音は眉根を寄せて聞き返した。

「はぁ?  " 離れ " ? なんだそれ? そんな所あったっけ? 俺、マジで知らねぇけど」


「あるんだよ! まぁ確かに、" アネックス " って言うような雰囲気じゃないけどね」


濡れたTシャツを払いながら、その話にろくに取り合わない玲音を指差して、ジェンミは訴えるように司の方に向き直る。


「ってか、どう思う?! ツカサ! ここの家主(やぬし)は自分の家に知らない場所があるんだよ、頼りない坊っちゃんだと思わない?!」


「お前な!」


振りかぶった玲音の手をくぐりぬけ、ジェンミは笑いながらその腕をかわす。

「ははは。じゃあ、行ってきまーす」


逃げるように腰をあげたジェンミを、司が咄嗟(とっさ)に制した。


「あ、待って! 私も行ってみたいわ。" 隠れ家的アネックス " に」


ジェンミはパッと表情を明るくする。

「そう?! じゃあ、みんなで探検しよう!」


「……はぁ?!」


「ほら! 玲音も行くわよ!」


肩を落としながら抗議の表情を浮かべる玲音の腕を、司とジェンミが両脇からがっしりホールドして引っ張っていく。


「ええっ……マジかよ! めんどくせぇ……」



第91話『Sunlit Conversations』くつろぎの昼下がり - 終 -

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