表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Ray of sunshine』レイ オブ サンシャイン - Stunning sky in Florida - 突然の御曹司との生活……?! 過去を紐解きフロリダの空の下で輝くサクセスストーリー  作者: 彩川カオルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/97

第82話『Activity report』催行報告

早朝のジョギングを終えてキャサリンパイを囲む団らんの中、フィリシア・ランドルフから有紗に電話が入る。

スマホに耳を当てながら階段を駆け上がって行く有紗を見送る二人と巨大な " ET " 人形が顔を突き合わせ、仕事熱心な有紗について、半ば呆れたように話し始めていた。

思わず口を滑らせて(ツカサ)との話をしてしまい、血の気が引いていく玲音を置き去りに、ジェンミはまた次の関門を突きつけてきた。


「まぁツカサの話はいいとして、それよりレオ?」


二階をチラッと見上げたジェンミが上目遣いで玲音を捉えた。

「レオってさ、キャサリンパイ、好きなんだっけ?!」


「え、えっ?」

玲音はまたもや表情をこわばらせる。


「だって、そんな話一度も聞いたことなかったからさ? この親友のボクがだよ?!」


ジェンミはグッと詰め寄った。


「い、いや? し、知らなかったのか? 昔からわりと……好物なんだけどなぁ……」


ジェンミはまた白い目で玲音を見据える。

「え? ホントにぃ? アリサにはまるで常連みたいに言ってたみたいだけどさ、確か数年前にレオと一緒にクレマチスストリートに行った時、ボクが『キャサリン』に入ろうって言ったら " パイなんか(はら)の足しにもならねぇ!" って拒絶したよね? ボクの記憶ではそれ以降『キャサリン』に行った覚えはないんだけど?」


「そ、そんなことないだろ。へぇ……お前とは行ったことがなかったっけなぁ……? たまたまだろう」


とぼける玲音に、ジェンミは更に悪戯(いたずら)な視線を向けた。

「実はアリサとここで食べたのが……初めてだったりして?!」


「そ、そんなわけないだろ! 子供の頃から食ってるっつーの!」


「そうだっけなぁ……?」


「そ、そうだ! 嘘ついたってしかたねぇだろ!」


「まぁ……そうかもねぇ」


本当は(ツカサ)の手土産で食べたのが初めてだった事実に、玲音は顔をひきつらせる。

そしてその同じ日の夜に、自分の母親である(つばさ)からの土産だと言って、有紗に同じパイを大量に持って帰ったことを思い出した。

今と変わらない苦し紛れな言い訳を、あの時もしていたと自嘲(じちょう)しながら(ゆる)みそうになる顔を引き締める。


「まぁいいや。だったらさレオ、アリサが " フムス " が好きだって知ってる?」


突然の方向転換にホッとするも、聞き慣れないその言葉に首をかしげた。

「ん? フムス? なんだそれ?」


「ええっ? レオも食べたことあるじゃん! 半年くらい前に日本でさ、取引先の会社のレセプションパーティーに出席しただろ? 立食の」


「ああ、ヒルトンで?」


「そうそう。あの時に並んでたオードブルにさ、レオがやたら気に入って、ウマいウマいって幾つも食べてたのがあったじゃん?」


「ああ。あれな!」


「あのクラッカーに乗っかってたのがフムスだよ」


「あれはマジでウマかったよな?!」


「アリサも好きなんだってさ、フムス! スナックカーで見つけたときは目の色を変えちゃって。ふふふ。子供みたいに頬張(ほおば)ってた」


ジェンミは有紗の横顔を思い出して微笑む。


「はは、目に浮かぶな」


「ふふ。アムトラックの旅、思ってたよりずっと良かったよ。風景もいいし、日本の混雑した電車とは全然違ってさ、のんびりノスタルジックな世界観に(ひた)れるっていうか……」


「よかったじゃねぇか。しかしアイツ、よっぽどアムトラックが好きなんだな? ここに引っ越して来るときも、オーランドからわざわざアムトラックに乗って来たらしいしな」


「そうだよね……でも特別、電車好きって(ふう)にも見えなかったけどね。帰りもさ、最初ボクはハイヤーを提案したんだよ。アリサも連日の疲れが出てるだろうしと思って。だけど、どうしてアムトラックに乗りたいって言うからさ。まぁ楽しい道中ではあったんだけど……」


ジェンミの脳裏に、話の途中でぎこちなく退室していく有紗の背中が映し出された。

ラウンジカーで突っ伏す有紗を見るまでは、その訳をなんとしても聞き出そうと思っていたが、顔を上げた有紗の憔悴(しゅうすい)した表情を見たとたん、何も聞けなくなったことを思い出す。


「で? アムトラックを降りた後は、夜まで何してたんだ?」


「ああ……ウエストパームビーチ駅で降りてからはショッピングをね。しばらくうろうろして、前にアリサが『City(シティー) Cellar(セラー) Wine(ワイン) Bar(バー) and(アンド) Grill(グリル)』に行きたいって話してたのを覚えてたから、予約しててさ……少し早めのディナーにしたんだ。前にツカサとランチしたらしくて、夜も行ってみたいって言ってたから、アリサもご機嫌だったよ」


ジェンミの細かい気配(きくば)りに感心した。

「さすがだな。ま、ずいぶんと遅いご帰宅だったが」


「ああ……あの夜、クレマチス・ストリートのナイトイベントでさ、色々出店があったりミュージシャンが生演奏してたりですごく華やかだったんだ」


玲音は眉を上げる。

「そりゃ盛り上がったろうな。俺も学生の頃は毎週のように行ってた」


「けどさ……」


「ん? どうした?」


「アリサ、それらに目もくれないで、急に " 行きたい店がある " って言い出して、観光客がほとんど足を踏み入れないようなストリートの北側の路地裏にどんどん入っていっちゃってさ……」


玲音が驚いたように顔を上げた。

「は? あの裏通りにか?! なんで……アイツがあんな場所に?!」



第82話『Activity report』催行報告 - 終 -

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ