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『Ray of sunshine』レイ オブ サンシャイン - Stunning sky in Florida - 突然の御曹司との生活……?! 過去を紐解きフロリダの空の下で輝くサクセスストーリー  作者: 彩川カオルコ


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第81話『 Where Laughter Gathers』笑い溢れる食卓で

朝日が差し込むダイニングで、玲音とジョギング姿のままの有紗とジェンミが食卓を囲む。

すっかり日常を取り戻した三人での談笑の中、ジェンミはハッとしたような表情で階段を見上げた。


「あれ?! レオ、" 彼 " はどうしたのさ?」


「はぁ?」

玲音は顔をしかめる。


「彼だよ彼! 昨日この家に降臨した、新たなる・()()()!」


有紗がまた笑いだした。


「また面倒くさいことを……」


ジェンミを睨んだ玲音が、ため息をつきながら肩を落とす。

「朝目覚めたら……枕元でじっとこっちを見てやがった」


気だるそうな玲音の言葉に、また二人の笑いの虫が発動した。

「あははは」

「あははは」


「チッ! また始まった……」

その光景に呆れながら、玲音はお手上げと言わんばかりに肩をすくめる。


「あはは、はぁ……アリサ、笑いすぎたからお腹すいたよね?」


「ふふっ、そうね」


「あ? お前ら、モーニング食ってきたんじゃねぇのか?」


「そうだけど? レオもベーグル食べたんだよね?」


「ああ、まあ……」


「でも! これは " 別腹 " なんじゃない? ほら!」


ジェンミは後ろに置いていた物をガサガサと玲音の前に差し出した。

見覚えのある紙袋には大きく『キャサリン』と書いてある。


「あ」


「レオの好物だって、アリサが言ってさ」


「そうなのよね?」


「ああ……まぁ」


ジェンミは二人を交互に見つめる。

「じゃあボクは紅茶を()れるから、レオは " 彼 " を連れてきなよ」


「は、はぁ?! なんでそうなる?!」


「だって彼はもう家族の一員なんだから! 一緒に食卓を囲んでもらいたいじゃん! ねっ? アリサ」


「ふふふ……そうそう!」


「クッソ……はぁ……」

大きくため息をつきながら立ち上がった玲音は、背中で二人の笑い声を感じながら、仏頂面で階段を上がっていく。

ドアを開けた瞬間、待っていましたと言わんばかりにつぶらな瞳の " 彼 " と、目が合った。


「プッ! やれやれ……これが毎日続くのか?! おい! お呼びだぞ!? お前、相当ヤツらに愛されてんな」


玲音はおもむろに手を伸ばし彼の身体をがっちりと掴むと、そのまま小脇に抱えて階段に向かう。


――何がどうして俺の担当なんだか……


そうぼやきながらダイニングに降りると、予想を裏切らない二人のリアクションに(しば)し付き合った。


「あははは」

「あははは」


「はぁ……あのな……俺はさ、何が怖いって、今はこうしてお前らもノリで笑い転げてるが、そのうち誰も笑わなくなって、当然のようにここに連れてきては平然とコイツをここへ座らせる日々が来るってことだ! しかも……その役割が俺ってか?! 勘弁してくれよ」


「あははは」

「あははは」



三人と連れて来られたその一体は、キャサリンパイが置かれたテーブルを囲む。

ポットから上がる紅茶の湯気が朝日に照らされ、明るい食卓を演出していた。


「ふふっ」

有紗が(うつむ)く。


「オイ! まだ笑ってんのかよ!」


「あは……ごめん」


「いい加減、慣れろよ!」


隣でジェンミが首を振る。

「いや……それはさすがに……無理だよ。ねぇアリサ? ふふふ」


「うん! ふふふ……」


「あははは」

「あはははは」


玲音はいたたまれなくなってバンとテーブルに手をついて立ち上がった。

「お前ら! いい加減うるさいぞ!」


「レオ! ETがびっくりしてるじゃん」


「ホント! あはは」


止まらない笑い声に、玲音は力なく座った。

「もう、勘弁してくれよ……」


そう呟いてとなりに目をやると、巨大なETの優しい視線を捉えて思わず自分も吹き出しそうになる。


ジェンミは微笑みながら器用な手つきでキャサリンパイを切り分け、それぞれに配った。

「はい、レオ」


「サンキュ」


「アリサも」


「ありがとう」


ジェンミが手を合わせた。

「それじゃ、いただきます!」


お互いに一口頬張って唸る。


「ウマッ!」


三人はキャサリンパイに舌鼓(したづつみ)を打ちながら引き続き談笑する。



和やかな雰囲気の中、突然有紗のスマホが振動し始め、画面を覗いた有紗が眉を上げた。

「あ、ミセス・ランドルフからだわ!」


その言葉で二人の表情にサッと緊張感が走るのを感じた有紗は、クスッと微笑んで立ち上がる。


「ああ……二階で話してくるから、ごゆっくり」


「えっ……ああ……」

ジェンミがぎこちなく(うなづ)く。


有紗は急ぎ足でスマートフォンに耳を当てながら、階段を駆け上がった。


「あ……行っちゃった」

ジェンミがその背中を見送りながら、つまらなそうにため息をついた。


「おいジェンミ、なにガキみたいに()ねてんだ? すっかり依存してんじゃねぇか」


「そんなことないよ! たださ、さっきのジョギングの後は " 今日は家を出ない " って話してたんだけど……あの調子だと出勤しそうな雰囲気だなって、そう思ったからさ」


玲音はまた呆れる。

「は? アイツが仕事に行こうが行くまいが、お前には関係ないだろ? ガキじゃあるまいし。なにふてくされてんだ?!」


「別にふてくされてる訳じゃないって! でもさ、一緒に過ごしててわかったんだけど、アリサって根っから仕事人間じゃん? 仕事モードにスイッチが入ったら、自分のことは二の次で、ホントに仕事が最優先なんだよね……心配だよ」


そう聞いて玲音も、腕を組みながら頷いた。

「まぁ……確かにそんなところはあるかもな。Workaholic(ワーカホリック)って(ツカサ)(なげ)いてたし」


ジェンミが驚いたように玲音に向き直る。

「ええっ? ツカサがレオにそんなことを?! レオ、いつそんな話をしたのさ?」


「えっ、それは……」

玲音はサーッと血の気が引いていくのを感じた。


「あ、あの……」


青ざめる玲音を置き去りに、ジェンミはひらめいたとばかりに顔を上げる。

「ああ。ウォーレンの家に招かれた時か!」


「そ、そうだ。その時に」


「へぇ、ツカサがレオにそんな話をするとはね。意外だなぁ」


ジェンミに正面から見据えられて、玲音は焦りを隠すようにさりげなく表情を作る。


「バ、バーベキューの片付けを手伝った時だったかな…… " 有紗はWorkaholic(ワーカホリック)だから心配だ " って。そう言ってたんだ」


「ふーん」

ジェンミは怪しげな視線を向けながらも頷いた。


「そういえばレオさ、ツカサとは初対面のわりにはずいぶん打ち解けて話してたよね? 珍しいよねぇ? 女子に警戒心の高いレオが、積極的に話すなんてさ。ツカサはよっぽど話しやすいってこと?」


「あ、まぁ……」


「ボクもかなり話していたはずなのに、その話題には一度も触れなかったけどね。まぁいいや、それより……レオ?」


二階をチラッと見上げたジェンミが上目遣いで玲音を捉えた。

「レオってさ、キャサリンパイ、好きなんだっけ?!」


「え、えっ?」


玲音はまた更に、表情をこわばらせた。



第81話『 Where Laughter Gathers』笑い溢れる食卓で - 終 -

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