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8 魔王の復活 その②
二人で丸太に座り、たき火にあたりながら、スープを飲む。ようやくの二人が落ち着けた瞬間だった。
「ふふ」
「あはは」
昔の思い出話に花を咲かせる。
口元に手を添えて、優しく微笑む幼馴染。
彼女は『魔』と契約をしたはずなのに。
その顔は、まるで中央通りの教会の祭壇にあったアーシア神さまのようだった。
それと同時に、ユーリィの脳裏にはあの闇の神の言葉も浮かんでいた。
《人族よ。これからの貴様の生きる道に、希望や幸福はない。あるのはただ復讐だけだ》
「……」
彼は沈思黙考する。
「どうしたの?」
窺うシャーロット。
少年はなにか決心したような顔で、
「僕は、ありもしない『希望』ってやつに、縋ろうとしてたみたいだ」
すっと立ち上がる。
「ユーリィ?」
「もうしばらくだけ、ここに隠れていてくれないか」
少年はさきほどスープを煮た鉄製の鍋を手に取った。




