第9話 ドラゴン討伐
ファイアードラゴンの襲来に備えて騒がしい村が、ふと、暗くなる。
私はとっさに空を見上げた。太陽を隠す者、そこには赤い体に巨大な翼を持つ怪物……「ファイアードラゴン」がいたのである。
ファイアードラゴンは火の玉を吐きながら、村の中央の広場に降りてきた。火の玉が直撃した家が燃えている。
村の男たち各々武器は持っているが、あまりに巨大で恐ろしいファイアードラゴンを前に、もはやなすすべなくウロウロするばかりだ。
こんなの、コタローにどうにかできるの……⁉
私にはわからなかった。でも、何とかするしかない!
「コタロー!村を守って!」
私がそう叫ぶと、コタローはいつものように人の背丈以上に大きくなった。
ドラゴンもコタローに気付く。そして、今日の獲物だ……!とばかりに向かってきたのである。
そして、火の玉を一吐き、
コタローは素早くよける。
「グルルルル」
彼はいつもの可愛い姿からは想像できないような低い声でうなっている。
そして、コタローの体は一瞬光に包まれた。光が晴れると、そこには額に立派な角を生やし、金色に毛を輝かせた神獣のようなコタローがいたのだ。
ドラゴンはコタローに近寄られまいと火の玉を一吐きした。
ドカン
火の玉がコタローを直撃する。
しかし、コタローには何のダメージも無いようだった。
そして、その刹那、彼は流星のごとく走り出し、ドラゴンの頭を額の角でついたのである。
けれども、ドラゴンも一撃では死ななかった。
今度は、翼を羽ばたかせて逃げようとする。
しかし、コタローがすかさず飛びついて左の翼幕を嚙みちぎった。
「グガァ」
ドラゴンが苦しみの声をあげる。そして、ドスンと地面に落下した。
その後はもう、飛べなくなったドラゴンはもはやコタローの獲物でしかなかった。
コタローの嚙みつきと、村の男たちの槍や剣の協力で見事、ドラゴンを倒すことができたのである。
コタローが再び光に包まれる。そして光が晴れると、またいつもの小さくて可愛いコタローに戻っていた。
「コタロー!」
私はコタローに駆け寄る。火の玉が直撃したのに、大丈夫なんだろうか……?
私が彼を抱き寄せると、火傷などはなかったけれどもかなり消耗していることが分かった。
「キュウウン」
コタローはか細く鳴く。
「コタロー!」
私はそう叫んだ。
「コタロー様バンザイ!」
「よくやったぞ!」
村の男たちが寄ってくる。
私は泣きそうになりながら
「コタローが弱ってるんです」
と、言った。
村長さんが来て、
「ヒーラーが居ればすぐ直るんだけどな。この村にはおらんから……」
と、申し訳なさそうに言った。
その時、エヴァおばあさんが家から出てきて
「コタローを休ませましょう……!」
と提案した。
そして、私はコタローをベッドに丸く寝かせて布団をかけた。コタローが早く治りますように……。と願いを込めて。
その日の晩はドラゴン討伐の祝杯が挙げられた。外で、村の男たちとヴィル村長は楽しそうにしている。
しかし、私はコタローにつきっきりで世話をした。エヴァおばあさんも手伝ってくれた。
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翌朝……。
「わんわん!」
私はコタローに起こされた。どうやら世話をしながらコタローの脇で寝てしまっていたようだ。
コタローは元気に鳴いている。よかった!回復したんだ。
私は安堵した。
その後、私とコタローはヴィル村長はじめ村の面々に盛大に感謝され、祝われ、沢山の食べ物をもらった。
ヴィル村長は
「あんな大物の討伐を頼んでしまいすまなかった……。あんなものは300年に一度来るか来ないかだったから……」
と、後でこっそりと謝ってきた。
私は、あんまりコタローが消耗したり、危険な目にあったりすることなく、この村でのんびり暮らしていけたらな……。と思うのだった。




