第10話 王都からの呼出
ファイアードラゴンを何とか撃退し、私とコタローはまた異世界スローライフを満喫していた。
普段はエヴァおばあさんの畑の手伝いをして、たまに釣りをしたり……。そんな日々が続くと思っていた。
しかし、そう上手くはいかないものである。
ある日、突然に、ヴィル村長の家に呼ばれた。村長は何だか苦い顔をしている。
「突然だが、ユキ様とコタロー様に王都から来てほしいという命令があった」
そして、村長は私に手紙を見せる。
中には、
「コタロー殿、ユキ殿へ。 至急王都の王宮事務局に来ていただきたい。これは王命であるので必ず守るように。
ヴァン・F・セスタス王宮書記官より」
と、書いてあった。
「えっ、私何か悪いことでもしたんですかね⁉」
私は焦って村長に尋ねる。
「いや、そんなことではないと思うのだが、このまえのファイアードラゴン討伐の活躍が王様の耳にも入ったからではないかと思う……」
村長は相変わらず渋い顔で答える。
「王命だから守らなきゃならないんですね……」
私は憂鬱と不安が入り混じった気分になる。
「行ってみないと具体的に何の用なのか分からないが、行くしかないだろうな」
ヴィル村長もそう答える。
「ユキ様とコタロー様にはずっとここにいて村の防衛を頼みたかったんだがな……」
村長はそう続けた。
「確かにそうですよね!私たちがいない間に襲撃があったりしたら心配です!」
私もずっとここにいて村を守っていたい。だからそう答える。
「代わりに王都から5人の騎士様が派遣されるそうだ」
ヴィル村長はそう言った。。
「だから、まあレッドドラゴンとかが来なけりゃ当面は大丈夫だとは思う」
と、彼は続けた。
「だから行くしかない、か……」
私は自分に言い聞かせるようにこう言った。
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着替えや食料を、エヴァおばあさんにもらったリュックに詰めて、王都行きの準備を済ませた私は、早朝コタローとともに馬車で村を出ることになった。
村の皆が見送ってくれる。
エヴァおばあさんは泣きながら
「達者でねー!また戻ってくるんだよ!」
と叫んだ。
私も泣きそうになる。ぐっとこらえて
「必ず戻ってきますー!」
そう言うと、馬車に乗り込んだ。
御者が、
「出発しますか?」
と尋ねるので、私は、
「はい、お願いします」
と答え、馬車はゆっくり村を出るのだった。
ユキとコタローの新たなる冒険が始まろうとしていた。
馬車に揺られて1時間も経つと、ユキは眠り込んでしまった。前日は準備で遅くまで起きていて、今朝は早朝に起きたので眠かったのだ。コタローも隣で丸まって寝ている。
「王都に着きましたよ」
御者がそう言う。
ユキはハッと目を覚ます。何時間眠り込んでいたのやら。外はもう真っ暗になっていた。
そして、「王都」、と言われたそれは、堅牢な壁に囲まれた大都市であった。奥の方に城らしき高い建物も見える。
「ここから先は一般の馬車は立入禁止なので降りてください」
御者にそう促され、ユキはコタローを抱いて降りる。
「ありがとうございます」
そう言い、御者に代金を渡して、王都をきょろきょろ眺める。賑わっている居酒屋らしき建物がいくつもある。そして宿屋や、よく分からない魔法道具などを売っているお店などがあった。
どれも、ユキたちが住んでいた村とは比べ物にならない賑わいである。
王宮事務局はどこだろう……?
通りかかった人に勇気を出して尋ねると、王宮事務局の場所を教えてもらえたが、あいにく今日はもう夜だから閉まっているらしい。
ユキたちは明日の朝、王宮事務局を尋ねることにした。
近くの宿屋に行って泊まれるか聞いてみたら、空きがあるとのことだったので、泊まることにした。コタローも一緒に泊めてくれるか心配だったが、この世界の宿屋はあまりそう言うことを気にしないらしく、一緒に泊まることができた。
翌朝、宿屋の朝食を食べると、ユキたちは王宮事務局に向かった。




