第6話 村の防衛係
チュンチュン
小鳥の鳴き声が聞こえる……。外はすっかり明るくなっていた。どうやら私はエヴァおばあさん家で朝までぐっすり眠っていたようだ。
「クゥーン」
コタローが寄り添って甘えた声を出す。
昨日のコタローの巨大化。そして見事にゴブリンたちを倒したこと。よく理解できないが、これが異世界転生の力なんだろう。
考えればきりがないが、私は深く考えるのをやめた。
その時
「ユキ、コタロー、朝ごはんよ!」
エヴァおばあさんの声が聞こえた。
「はーい!」
私はコタローを腕に抱いておばあさんの元に向かった。
朝食は昨日の残りのシチューとパンだった。コタロー用にも肉が用意されている。
「いただきます!」
と、食べ始めるとエヴァおばあさんが
「コタロー、昨日はすごかったじゃない!みんな大助かりよ!」
などと、コタローの活躍を褒めてくれた。
そして、エヴァおばあさんが
「まるで、伝説の魔犬ティルヴィングみたいだったわ」
と言ったので、
私が
「ティルヴィングとは何なんですか……?」
と尋ねようとした時であった。
コンコン
家のドアをノックされた。
エヴァおばあさんが
「はーい」
とドアを開けると、村の男が1人立っていて、
「村長様がコタロー様とユキ様に御用だそうだ。準備ができたら村長宅に来るように」
と、言って去っていった。
エヴァおばあさんが
「村長様がお呼びだって、急いで準備しなくちゃね」
と私にいうので、結局ティルヴィングとは何なのか聞けず、私は急いで朝食を食べ、準備をして、村長宅に向かう事にもなった。
「村長様の家はあそこの角を曲がってすぐ。大きな家よ」
と、エヴァおばあさんに玄関から案内されて、私はコタローを腕に抱いて村長宅に向かう。
確かに角を曲がってすぐに少し大きな家があった。
ドアをノックして、
「コタローとユキです。お呼び出しがあったので来ました」
というと、ドアがバンッと空いて、
「よく来たな。コタロー様、ユキ様、歓迎するぞ!」
と野太い声で迎えられた。
「わしがこの村の村長。ヴィル・トルドーだ」
声の主はそう言った。この前声を掛けてくれた村のおじさんと似ているが、少し髪が多く、髭を生やしている。そして、少し上質そうな異世界風のローブを着ていた。
「よしよし、立ち話もなんだし応接室に上がってもらおう」
私たちはそう促され、応接室(といっても質素な椅子とテーブルがあっただけ)に案内され、座った。
向かい側の椅子にヴィル村長が座る。
「いきなりだが、昨日の活躍は素晴らしかった!」
「ありがとうございます。恐縮です」
ヴィル村長は続ける
「最近、村の周辺の魔物たちが凶暴になってきて困っていたんだ!なにせ、うちの村には剣士や魔導士がいないから退散させるのにも一苦労だった」
「そうなんですね」
「それでだ!コタロー様とユキ様にこの村を守ってもらいたい!」
いきなり、そう提案されて私は少し戸惑う。
「いや、普段は自由に暮らしていて良い。昨夜のように襲撃のあった時だけ村を守って欲しいんだ」
それならばできそうだ。
私は
「はい!それならば」
と、答えた。
ヴィル村長は、ニッコリと笑うと
「良い返事だ。生活費は村人で折半するから生活費の心配はしなくて良いぞ」
と、続けた。
やった、生活費の心配もいらないんだ!
異世界でどうやって暮らしていけばいいか困っていた私にはまたとない申し出だ。これも、コタローのお陰。
「話はまとまったな。エヴァおばあさんの家に帰って報告すると良い。」
そうして、私とコタローは村を防衛する役割に任命されたのであった。




