第4話 襲撃
そうして私はエヴァおばあさんの家に招かれたのであった。
家に入ると、私はきょろきょろと室内の調度品などを観察した。木製の椅子とテーブル。布製のテーブルクロスなど。電化製品は見当たらない。
まるで中世の暮らしだ……。
「ここが、あなたの寝る部屋だよ」
そう案内されたのは、質素な屋根裏部屋だった。質素ながら寝心地のよさそうなベッドがある。
やっと休める場所を確保した私はほっと一息つくのであった。腕の中のコタローも何だかうれしそうだ。
「そういえば、まだ名前も聞いてなかったわね」
エヴァおばあさんがそう尋ねる。確かに名前すら名乗っていなかったことに今更気付く。
「山田ユキです、そしてこっちは犬のコタロー」
私は腕の中のコタローも紹介する。
「ヤマダ……?何だか呼びづらいわね。ユキでいいかしら?それとコタローね!」
「はい、よろしくお願いいたします。」
私は答えた。そして、
「夕飯までもう少しあるから、部屋で休んでなさい」
エヴァおばあさんにそう促され、屋根裏の寝室に入った。
「ふぅ」とベッドに座って一息つく。私の腕から解放されたコタローはベッドの上で丸くなっている。
安心できる場所に居られる間に、色々整理しなきゃ!
私はそう心の中でつぶやくと、今まで確認する余裕もなかった自分とコタローの身体検査をした。
私も、コタローも怪我1つ無い……。
大きなトラックに轢かれたはずなのに。
そして、服には傷一つなかったが、スマホなどを入れていたショルダーは無くなっている事にも気づいた。
スマホがあれば、連絡取れたかな……?
一瞬そう思うも、ここでスマホがあっても元の世界と連絡が取れるとは思えなかった。
それに、この世界……。「スライム」と呼ばれる化け物もいた。それにおじさんの言った「剣士」や「魔導士」
それらを総合すると……。
「やっぱり異世界に来ちゃったかー!」
私は足を投げ出して、そうつぶやいたのだった。
異世界に来たからって、何の能力も無さそうだし、これからどうすればいいの……!
そう、嘆いた時、
「夕飯ができたわよー!」
ちょうどエヴァおばあさんの声が聞こえた。
「はーい」
私はコタローを抱いてエヴァおばあさんの元に向かう。
夕食は、肉のシチューとパンだった。
コタローには味付けされていないゆでた肉を用意してくれた。
なんて、親切なおばあさんだろう!私は感激する。
「いただきます」
そう言ってシチューを食べると、肉がとろとろに煮込まれていて美味しかった。なんの肉なのかはわからなかったけど。
パンは昔ながらのの硬いパンでこちらも美味しかった。
コタローも美味しそうに肉を食べた。
「ごちそうさま!美味しかったです」
エヴァおばあさんにそう言った後、
「皿洗い手伝いますよ」
「いいのいいの、疲れてるでしょ」
そんなやり取りをしている時だった。
「ゴブリンの襲撃だ!」
そんな叫びが外から聞こえた。
「いやだ、また襲撃なんて!」
エヴァおばあさんが悲鳴のような声をあげる。
襲撃、ゴブリンの……⁉
「男たちがなんとかしてくれるから、みんなで家にこもっていましょう」
エヴァおばあさんがそう提案する。確かに私にはどうすることもできなそうだ。外には村の男たちが集合し始めたようで、ガヤガヤと声がする。
その時
「わんわんわん!」
コタローが猛烈に吠え始め、家の入り口に向かった。
「ダメよコタロー!」
私はそう声をかける。ドアが閉まっているので、コタローは出られない。
「わんわんわん!」
コタローは家から出たそうだ。外からは村の男たちの声が聞こえる。私はこんな時何もできないのだろうか……。ふと、吠え声でスライムを撃退したコタローの姿を思い出す。
「私たちにも何かできることがあるかもしれません!エヴァおばあさんは家にいてください!」
そう言うと私はドアを開け、コタローとともに夜の村に飛び出したのであった。




