第3話 異世界の村
スライムを退散させた後、コタローは私の前を歩き始めた。とは言っても走りだしたり、スピードを出しすぎたりすることはなく、まるで私に「ついてこい」とでも言うように私の少し前を歩くのだった。
私も道がわからないので、素直にコタローについていく。何だかコタローの方が人のいる方向を知っているみたいだったから。
それから30分ほど歩いた頃だった。急に森が開けると小さな木造の家が点在する場所に出た。
村だ!
やはり異世界には村があるらしい。
「コタローありがとう!やっぱりコタローは偉い!」
そう言ってコタローを抱き上げると、私は村人を探した。
うろうろしていると、
「おや、見かけない顔だね。旅人さんかな?」
とおじさんに声をかけられた。禿げ頭にあごひげを伸ばして、やっぱり異世界風の服を着ていた。
「私、迷い人で東京都○○市ってところから来たんですが、知らないですか?」
私はそうおじさんに答えた。
「うにゃ?東京都?そんなの知らないべ。ここはアーデル国のオルエンデ村だ」
と、答えられてしまった。元居た世界の世界地図にはアーデル国など載っていない。
やっぱり異世界に来てしまったんだ……。
私は言葉を失う。
「そういえばお前さん、森から来たみたいだけど、スライムは大丈夫だったかい?見たところ、剣士や魔導士ではなさそうだけど?」
おじさんは私の絶望をよそに話を続ける。やはり異世界なので剣士や魔導士がいるらしい。
「はい、襲われかけましたがこの犬が吠えて撃退してくれました」
私は何の気なしにそう答えた。
「ええ……?」
おじさんは私に抱かれているコタローをじろじろ見ると、
「こんなちっこい犬が吠えただけで……?この辺のスライムは凶暴だから犬くらいじゃ普通退散しないんだけどな……。」
と言った。
どうやら異世界にも犬はいるらしい。そして、犬ではスライムは普通退散しらしいことも。
「凄い犬だな!」
おじさんはわっはっはと豪快に笑った。
やっぱりコタローは凄い犬だ!
しかし、このままでは埒が明かないので、とりあえず私は今日寝るところも、食べるものもないことを説明すると、おじさんは村の親切な「エヴァ」と呼ばれているおばあさんの家に案内してくれた。
この村にはなのか、この世界にはなのか分からないが、警察的な組織は無いようだ。
「エヴァ」と呼ばれているおばあさんはニコニコと私とコタローを迎えてくれた。
「あなた、行くところもなくて困ってるんでしょう?」
エヴァおばあさんはそう尋ねる。
「そうです……。どこから来たのか、今後どうすれば良いのかも分からないんです……。」
私はそう答えた。
「私もあんまりお金がないから長い期間は無理だけど、1,2日なら泊めてやってもいいわ」
ありがたい!
私はエヴァおばあさんにお礼を言い、泊めてもらうことにしたのだった。




