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第33話 魔王

 ヒーラーのナナを守るためにコタローがベルフェスの魔法を食らって消耗してしまう。

 これでは、キリがない。いずれ負ける……。


 そんな私の脳裏にいいアイデアが浮かんだ。


「コタロー……! 来て……!」

 私はコタローを呼び寄せる。


「ナナを背中に乗せて戦って欲しいの……!」

 と、言うと、コタローは少し嫌そうに尻尾を下げた。


「私も乗るから!お願い……!」

 と、言うと、コタローは


「わん!」

 と鳴いて答えた。


 急いで私とナナはコタローの背中に跨る。


 ベルフェスは何事かと目を見開いてこちらを見ていた。


 そして、コタローはひらりと宙に舞い上がる。私とナナは振り落とされないように必死につかまった。


「小癪な……!」

 そう言ったベルフェスから電撃が放たれる。

 それをコタローはひらりとかわす。そして、ベルフェスに向けてブレスを吐いた。


 ベルフェスも火の玉を出しコタローのブレスを対消滅させる。


 コタローはその隙をついて流星のように飛ぶと、ベルフェスの顔面に角で一撃をお見舞いした。


 ぐらりとベルフェスが倒れる。

「魔王様はこんなに弱くはないぞ……!」

 と、言い残して、ベルフェスは動かなくなった。


 どうやらベルフェスは賢いし攻撃は強いけれど防御力は低い魔物だったようだ。


 私達はベルフェスを倒したことに安堵し、ナナは「ライフ・リカバリー」をコタローと私、そしてナナ自身にかけた。


「コタロー、ちょっと大変で悪いけどこのまま行くよ!」

 と、私は提案した。


 私とナナは大きなコタローに乗ったまま奥の扉に向かった。


 扉は開かないだろうかと危惧したが、私達が近づくと、ギギギと音を立てて自動的に開いた。


 この奥に魔王がいるんだろうか……⁉


 私はグッと緊張する。


 奥から頭に角を生やしたいかつい人間のようなシルエットが現れる。そして、そのシルエットの主がはっきり見えた。


 それは、禍々しい、角を生やし暗黒の甲冑を着た男だった。


「我は魔王……。よくも配下のデュラハンやベルフェスを倒してくれたな……」

 と、彼は言った。

 やはりこいつが魔王らしい。


 その瞬間、魔王が禍々しい闇属性のビームを放ってきた。


 コタローは私達を乗せたまま、ひらりとかわす。そして、宙に舞い上がり光属性のブレスを吐いた。


 ボフッ


 光属性のブレスは魔王の鎧に直撃したが、何だか間抜けな音を立てて散逸してしまった。


「ククク……! その程度の攻撃は我には効かないぞ……!」

 魔王は何のダメージも受けてないようで、余裕の笑みを浮かべる。


 くっ……! どうすれば……!


 するとコタローは地上に降り立ち魔王に突進しようとした。しかし、魔王のビームに阻まれる。

「キャウゥ……!」

 コタローは魔王のビームを食らい、私とナナは地面に投げ出される。


「ライフ・リカバリー!」

 立ち上がったナナがすばやく唱える。


 その時だった。コタローを包む金色の光が更に強くなり、コタローの全身がキラキラと輝く。


 姿勢を直したコタローは神々しく輝き、魔王に突進した。魔王は闇属性のビームを放ったが、今のコタローには効かないようで、お構いなしに駆けて、魔王の鎧に一突きした。


「ぐっ……!」

 魔王の鎧にひびが入る。

 そこに、コタローは更に嚙みつき攻撃を加えて魔王の鎧を破壊した。


「させるか……!」

 魔王は瞬間移動してコタローと距離を置く。


 その様子を私とナナは物陰から見て応援していた。


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