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第32話 魔王の配下ベルフェス

 しばらく歩いて、怪しげな洞窟の入り口に到達した。

 私達は恐る恐る中を覗き込む。


 ……!

 中は、無骨な岩山には似つかわしくない整備された階層構造になっていた。地下に通路がのびている。

 紫色の壁が禍々しい……。


「よし……! 入るぞ!」

 私とナナ、コタローは慎重に中へと足を進めた。


 しばらく地下へと続く通路を歩いていると、広場のような場所に出た。私は嫌な予感がした。


「ギャーギャー」

 ゴブリンの群れが現れる。その中には、この前戦ったのと同じくような巨大なキングゴブリンが二体いた。


 物量で攻めてくる気か……⁉


 しかし、今のコタローはキングゴブリンごときにやられるような弱さではない。

 光に包まれて巨大化したコタローはひらりと舞い上がり、普通のゴブリンを一体一体ブレスで倒した後、キングゴブリンにもブレスを浴びせまくり角で突いて、2体のキングゴブリンをあっという間に倒した。


 戦いを終えたコタローにナナが念のため「ライフ・リカバリー」をかけてやり、私はコタローを念入りになでた。


 まだ地下への通路は続いている。


 私達はまた歩みを進めた。


 しばらく歩くとまた広場があり、その奥には大きな扉があった。

 そして、そこに禍々しい気配を纏った悪魔のような姿の魔物が私達を待っていた。


「私は魔王様の配下ベルフェス、ここから先は通しませんよ」

 と、その魔物は喋った。


 話す魔物は初めてだ……! 強敵に違いない。

 私はグッと緊張する。


 そして

「私はユキ、彼女はナナ、そしてこの犬コタローは魔犬ティルヴィングの魂を継ぐものよ!」

 と、答えた。ベルフェスに自己紹介されたので、なんだかこちらもしないといけないような気がしたのだ。


 すると、ベルフェスはフフッと笑い

「存じております。その犬が特別だということもねっ!」

 と、言いながらいきなり火の玉をコタローに向かって投げてきた。


 戦闘の始まりだ……!


 コタローは危ういところでひらりとかわす。そしてまた、金色の光が彼を包み巨大化した。


 私とナナはとりあえず広場につながる通路に出ようとする。


「おっと、逃がしませんよ」


 そこにベルフェスの電撃が襲おうとする。

 すかさずコタローが間に入り私達を守ってくれる。しかし、コタローが電撃をモロに食らってしまう。


「コタロー……!」

 私は思わず叫ぶ。


 そこにナナが素早く

「ライフ・リカバリー!」

 と、唱えた。


 コタローは起き上がり、ベルフェス向けて光のブレスを吐いた。

 しかし、ベルフェスは素早く闇属性の魔法を放ち、ブレスとその魔法はぶつかって消滅してしまった。


「『ライフ・リカバリー』を唱えるお嬢さんを先に倒せば良さそうですな」

 ベルフェスは不敵に笑った。


 マズイ……!ナナが狙われる……!

 今までの戦いではほとんどコタローが一匹で処理していたので、ナナが狙われるのは想定外だったのだ。


 ベルフェスはナナに向かって火の玉を放った。そこに、またコタローが間に入る。


「ライフ・リカバリー」

 ナナが唱える。


 これではキリがない。消耗戦だ……。


 その時だった。私の脳裏にいいアイデアが浮かんだ……。

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