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第21話 キングゴブリン

 グリムヴェルトの森は見るからに深くて迷いそうだ……。

 ……! そうだ!


 私は森に入る前に一つのアイディアを思いついた。

 そして、コタローを抱き上げる。


 村人に

「さらわれた娘さんたちを救出に行きたいのですが、この犬に娘さんの臭いのするも  のを嗅がせてもらってもいいですか?」


 と、尋ねる。


「なんと! あのキングゴブリンの元に助けに行ってくれるのかい⁉」

 村人は喜ぶ。

 そして、さらわれた娘さんの一人の母親の元に連れていってくれた。


 キングゴブリンに娘をさらわれた母親は、見るからに憔悴していた。

 私とナナ、コタローがこれから救出に行くことを説明するととても喜んでくれた。しかし、娘さんのがまだ無事かは分からない……。過度に期待させないでおこう。

 そして、コタローに娘さんの臭いのついた服を嗅がせてくれた。


 よし……!これで準備は完了だ……!


 村人が何人か出てきて私たちを見送ってくれる。


 いざ、グリムヴェルトの森に侵入だ……!


※※※※※※※※※※※※


 コタローが娘さんの臭いを追って、森の中を順調に進んでいく。

 3時間くらい歩いただろうか……。もう日が陰ってきていた。


 道中たまにスライムなどが出てきたが、コタローが

「わんわんわん!」

 と、吠えて威嚇するとすごすごと退散して行った。


 すると、大きな岩山が見えてきた。そして、真ん中にぽっかり空洞がある。

 ……! 洞窟だ。


 コタローが

「わんわんわん!」

 と、吠えた。


 そうすると、ゴブリンが10体ほど

「ギャーギャー」

 と、耳障りな声をあげて出てきた。


 ……! ここがキングゴブリンの住処か……!

 私は身構える。


「コタロー……! やっちゃって!」


 コタローが金色の光に包まれる。大きくなったコタローはゴブリンを次々撃退していった。


「洞窟に入りましょう!」

 ナナが言う


 恐る恐る洞窟に入ると……。そこには巨大なゴブリンがいた。普通のゴブリンの3倍位ある。


 ……! これがキングゴブリン!


 キングゴブリンは棍棒を振り回して、先頭に出たコタローを跳ね除けようとする。

 コタローは、素早くよけてキングゴブリンに額の角を突き刺した。

 そして嚙みつきも忘れない。


「ギャーギャー」

 奥からも普通のゴブリンが武器を携えて6体ほど出てきた。そして、キングゴブリンと戦うのに夢中なコタローに、弓矢で一撃を加えた……!


「コタロー……!」

 私が叫び

 ナナが

「ライフ・リカバリー!」

 と、すかさず唱える。


 すると、コタローの傷は塞がったようでコタローは何事もなかったかのように戦いを再開する。


 コタローは戦闘方針を変えたようで、周りの普通のゴブリンから倒していった。

そして、キングゴブリンが残る。


 棍棒攻撃を華麗によけて、突き刺し、嚙みつく。ついにキングゴブリンは倒れ、そこにコタローが嚙みついてとどめを刺した。


「やった……!コタロー!」

 もう一度ナナが「ライフ・リカバリー」をかけてやる。


 私はコタローをなでてやった。


「娘さんたちは、この奥にいるんだろうか? 果たして無事だろうか?」

 元のサイズに戻ったコタローは、真っ直ぐ洞窟の奥を目指す。


 すると、粗末な牢屋が見えてきた。

 女性が3人囚われている……! 3人とも怯えているようだ。


 私達は、3人の囚われている牢屋に駆け寄った。

「助けに来ました! キングゴブリンは倒したのでもう心配はいりません!」

 私がそう言うと、3人は安堵の表情をもらした。


「ありがとうございます……! なんとお礼を言ったらいいか……!」

「私たちは、もうすぐキングゴブリンのご飯にされてしまうところだったんです……!」


 女性が指さす方を見ると、粗末な大なべがあり、3人はそこにぶち込まれてしまうところだったらしい。


「ぎりぎり、間に合ってよかったね……!」

 私とナナは口々にそう言った。


「わん!」

 コタローが牢屋の鍵を持ってきた。


「ナイス! コタロー!」

 鍵を開けて3人を開放する。


 外はもう真っ暗だ。夜の森を抜けるのは危険なため、ゴブリンのいなくなったこの洞窟で一夜を過ごすことにした。

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