第19話 異世界グルメ再び
翌朝、起きて朝食を取った私とナナ、コタローはヴォルケンの街をうろうろすることにした。
土産屋を眺めていると、店員から
「あのヴォルケーノヴァッファローを倒したそうですね!」
と、言われた。
そういえば昨日から、私達を見る街の人の目が変わった気がする。昨日は疲れていてあまり意識してなかったけど。
「あいつらには迷惑してたんです。よく倒せましたね⁉」
と、更に聞いてきた。
「王様の命令で各地の魔物を倒して行くことなったんですよ。まあ、倒せるのはこの魔犬コタローと、ヒーラーのナナの働きが大半ですけどね」
と、言うとコタローが
「わん!」
と鳴いた。
「へえ、このワンちゃんが……! すごいですな……!」
店員はコタローを好奇の目で覗き込んだ。
そして、
「そんな方たちなら、是非タダで店の物一つくらい持ってってください!」
と、言った。
お言葉に甘えて、私は温泉の変なキーホルダー、ナナは安っぽいアクセサリーを貰った。コタローには食べられるものがないため残念だけど何も貰わなかった。
「こんな安いものでいいんですか? もっと高いものもありますよ?」
と、店員が尋ねるが、さすがに悪いのでやめておいた。
そして、土産屋も粗方見終わって、暇になってきた時だった。ナナが突然、
「マグマクラブ……。食べたくありませんか?」
と、聞いてきた。
マグマクラブとはなんだろう……?マグマでクラブは蟹……⁉
昨日のヴォルケーノヴァッファローも美味しかったので、蟹ならおいしそうだ。
「食べたいかも……!」
と、答えた。
「マグマクラブは火山の中腹とかにいるんですよ。ゴルダ火山を少し登って取りに行きませんか……⁉」
と、ナナが提案した。
「そうしよう……!」
私は答える。
※※※※※※※※※※※※
ゴルダ火山の中腹に来た私達は、マグマクラブがいないか探した。辺りは湯気などで白く霞んでいる。そして思った以上に暑い!
犬は暑さに弱いので、コタローが心配だったけれど彼は元気そうだ。魔犬の力は通常時でも身体強化的なものをもたらすんだろうか?
そして、
わさわさと1体の蟹のような魔物が這いでてきた。大きさは人の腰くらいある。
マグマクラブだ……!
「コタロー! やっちゃって!」
そうすると、コタローはいつものように金色の光に包まれて、巨大化し、そして一撃でマグマクラブを倒した。
「コタロー……! 偉い!」
私はコタローをなでる。
ナナがマグマクラブの死体を持ち上げようとする。
「これは、解体は私達では無理なのでアイテムボックスに入れて街のギルドで解体と素材買取をお願いしましょう」
ナナが言った。
私とナナはマグマクラブの死体を力を合わせて持ち上げ、アイテムボックスに入れた。
そして私達は下山した。
ヴォルケンの街のギルドに行くと受付のお姉さんが歓迎してくれた。
「マグマクラブ1体の解体と素材買い取りをお願いしたいです」
ナナが言う。
すると、お姉さんが奥からエプロンをしたお兄さんを連れてきた。
「解体部屋に行きましょう」
と、言うので案内された部屋についていくと、その部屋には魔獣の革や牙がつるしてあった。
さすがは解体部屋だな……。私は室内を見回した。
そして、私はアイテムボックスからマグマクラブの死体を出す。
お兄さんは、
「いいマグマクラブですね!」
と、言った。
そうして、マグマクラブは厚い甲羅と、美味しそうな肉に分けられた。
「甲羅と肉、どちらも買い取りでよろしいでしょうか?」
と、お兄さんが聞くので、ナナは
「肉は食べるので甲羅だけお願いします」
と、言った。
甲羅は1万ゴールドで買い取られ、私達は肉だけ持って帰ることにした。
私が
「甲羅は要らなかったの?」
とナナに聞くと
「甲羅は戦士さんたちの装備品とかになるんですが、魔法を使う私や、魔道具の鎧を着たユキさんには必要ないんですよ」
と、言った。
そして、また今日も宿に行って料理人にマグマクラブの肉の調理を頼む。
今日も異世界グルメだ……!
私は心踊った。




