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第16話 盗賊

 こうして私とナナ、コタローはゴルダ火山地方に行くことなったのである。


 昨日のうちに冒険の準備は粗方済ませていたので、私達は軽く朝食を済ませて、馬車でゴルダ火山地方に向かうことにした。


 御者が言うには、ゴルダ火山地方には馬車で2日半かかるそうだ。夜は街道沿いの街に泊まって休むことになるらしい。


 馬車なら1日で王都まで行けるオルエンデ村って、案外便利な所にあったんだなと私はどうでもいい事を思った。


 馬車の席に私、コタロー、ナナの順に座る。

 そして馬車は出発した。


 コタローが私に甘えてきた。

 そういえば最近忙しくてじっくり甘えさせてあげることもできなかったな……。

 と、申し訳なく思いコタローを抱き上げて膝に乗せてなでた。柴犬の短い毛が気持ちいい。


 それから私はナナと喋ったり、景色を眺めたりして時間を潰した。


 その日は何事もなく、馬車から降りて、街道沿いのある村に泊まった。


 翌朝、また私、コタロー、ナナの順に馬車の席に座り馬車は出発した。


 そうして半日ほど経った頃だった。草原に所々に低木が茂る地帯を馬車は走っていた。


「おい!そこの馬車止まれ!」

 急に低木の茂みから3人の男たちが街道に出てきた。薄汚い服を着た3人はそれぞれ、剣、槍、杖を持っていた。


 突然のことに、馬車は急ブレーキかけて泊まる。


「まずい……! 盗賊です!」

 御者が言う。


私はグッと警戒した。


「金目のものを出してくれりゃ命までは奪わねーよ」

 盗賊の1人が剣をちらつかせながら、近寄ってくる。


 その時だった。

「わんわんわん!」

 コタローが飛び出してその男の前に立ちはだかった。


「ああ!なんだこの犬!」

 男がコタローを蹴ろうとした時、コタローの体が金色の光に包まれる。


 そして、光が晴れた時には人の背丈より大きく、額に角を生やした魔犬コタローがいた。

「ヴヴー!」

 コタローは威嚇する。


「な、なんだこいつは……⁉」

「お頭、逃げたほうが良さそうだ!」


 盗賊達は慌てて逃げようとする。


 そこを

ボカン!

 盗賊の一人をナナが杖で後ろから殴った。


 そして、もう一人も殴る。


 もう一人は御者が、護身用の棍棒と思しきもので殴っていた。


 そして、ナナと御者の2人は手際よく盗賊の3人をロープで縛り上げた。


 私はあまりにも予想外の展開に啞然とする。


「ナナってヒーラーなのにそんなこともできるの……⁉」

 と、ようやく声に出して聞くと、


「コタロー君が威嚇してくれたからできたんです!」

 と、言った後、冒険者になるには、回復職でも盗賊を捕まえる訓練は必ずすることになっていること、御者もその心得はあるということを教えてくれた。


 コタローは元の姿に戻っていた。

 よしよし、コタロー偉い!


 捕まえた盗賊は近くの街の王国騎士団詰所に連れていくことにした。ナナ曰くそこに罪人を連れて行くと、そちらで裁いてくれるとのことだった。


 動けない盗賊たちを馬車に乗せて、私とナナ、コタローは歩いて街まで行く。


 その街はそこそこ大きく、賑わっていた。


 王国騎士団詰所に盗賊3人を突き出すと、責任者と思しき中年の男性が出てきて、

「こいつら神出鬼没の盗賊団で、騎士団としても捕まえられず困っていたんだよ。ありがとう」

 と、感謝された。


 そろそろ日が傾いてきていたので、今日はこの街に泊まることにした。

 ゴルダ火山地方は明日には着く。私はどんな恐ろしい魔物が待っているのか不安になりつつあった。


 でも、コタローが居るから大丈夫だよね……。今はナナもいる。

 そう思うと勇気が出てきた。

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