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勇気を出しちゃいました!


ウェパルの右拳が紫苑のお腹に向かって放たれた


「ぐぅっ...!?」


紫苑は拳を打たれた箇所を両手で抑えて膝から崩れ落ちる


「紫苑君!!」


紫苑のお腹が腐敗を開始した


「ふーふーふ。 まーぁー人間にしてはーよく頑張ったんじゃないかしらー?」


「よくも...!!」


「あなたがー無力だーかーらーよー。 天使ちゃーん。」


カスピエルは左手で自分の右腕に触れた 右腕が金色に光る


「うーんー? なーにーをーしーたーのー?」


カスピエルは立ち上がり、ウェパルに向かって走り出す


「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


「もーうー。 うーるーさーいーわー。」


カスピエルは右手で握っていた石ころをウェパルに投げつけた 複数の石ころがウェパルのもとへ行く


「・・・・・・。」


ウェパルは右手を手刀の形にして自分の前で払い、飛んできた石ころを全て叩き落した


叩き落された石ころは全て腐敗を開始した


「・・・・・・!?」


ウェパルが見たのは 目の前でカスピエルが紫苑の体を起こしている光景だった


しかし、ウェパルがどこに驚いたのかというと、ウェパルが紫苑のお腹に右拳を打ち込んだにも関わらず腐敗が無くなっていたからだった 紫苑のお腹に右拳を打ち込んだ瞬間に腐敗が開始したのはウェパルもカスピエルも紫苑も全員見ていたはずなのだ 『自分が触れた箇所は腐敗が始まり、必ず3日の内に死に至るというのに! 開始した腐敗は治癒することなど不可能! たとえ天使といえどこの理(ことわり)を覆すことはあり得ない...!!』 とウェパルは自分の心の中で思っている最中だった


「エル...さ...ん...!」


カスピエルは紫苑をお姫様抱っこして右の道にある神社の階段に座らせる


「大丈夫ですよ紫苑君。 腐敗は無くなりましたから少しここで休んでいて下さい。」


「エルさ...んは...?」


「あの女を始末してきます。」


「・・・!」


「すぐに終わらせます。 だから待っていて下さい。」


カスピエルは紫苑に微笑んだ


カスピエルは振り向き、ウェパルを睨みつける


睨まれたウェパルは思わず怯む カスピエルはウェパルに歩いて近づく その眼光はウェパルを捉え続ける


「な、な...! ...!?」


ウェパルは言葉が上手く発せられなかった それが何故なのか考える余裕などウェパルにはもうなかった


そして、カスピエルは両手を前に突き出してウェパルのお腹に触れた 金色の文字が浮かび上がる


『体が腐敗していく』


「あ...ああっ...!? ぁぁ...!」


ウェパルの体の腐敗が開始した その腐敗の速度はカスピエルや紫苑の時とは違い、とてつもない速度だ


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


「私が投げた石ころをお前が手刀で払い、叩き落した時点でお前の敗北の運命は決定していた。」


「!?」


「石に刻み込んだ命令は『砕いた者の動きを麻痺させる』 だ。 まぁ命令といってもお前には分からないだろう...。 ちなみにお前の体が腐敗を開始したのも命令によるものだ。 紫苑君を傷つけたこと...私と紫苑君の邪魔をしたことを後悔するがいい。 お前はその憑依している人間の体が腐敗しきって崩壊した後、本来の姿で悪あがきをするんだろうが...またお前の動きを封じて終わるまで徹底的にいたぶってやる。」


「・・・!!」


ウェパルの憑依していた体は崩壊した そして


その前に人魚の姿をした金髪の女性が現れる 表情はこわばっている


「くっ...! よくもぉ...!!」


「おやおや、さっきまでの伸ばすうざったらしい口調はしないのか?」


「うるさい! お前だって口調が変わってるだろ!」


「お前相手ならどう思われてもいいからだ。」


「このっ! 舐めやがってぇぇぇ ・・・!?」


「!?」


ウェパルの胸を赤い槍が後ろから貫いた


「かはっ...!」


ウェパルは血を吐く


「そう恥を晒さないで下さいよー。 ウェパルさん。」


青い三つ編みをした整った顔の男が居た


「お...ま...」


ウェパルは息絶えた


「・・・どうして仲間を殺したの?」


「仲間? 違いますよ、低級は仲間ではなく手下です。 だがたとえ低級でも天使が悪魔を完全に倒したとなると士気が上がる恐れがある。 だったら始末してしまった方がいい。 それだけのことですよ。」


「それじゃあ次はお前を倒せばいいんだな?」


「天使って結構乱暴なんですね。 でもそんなに焦らなくてもすぐに戦うことになりますよ。 こっちも命令で動いているので勝手な行動はしないんですよ。 少なくとも僕は。 命拾いしましたね!」


男は笑顔でそう言った そして瞬時に消えた


「!? 消えた...!?」























「紫苑君、痛いところはありませんか?」


「はい、大丈夫です。 エルさんこそ怪我はありませんか?」


「はい。 大丈夫です。」


「お兄ちゃーん! エルさーん! 花火始まるよー!!」


蒲公英がカスピエルと紫苑に呼びかける


2人はお互いに見合って笑った


「行きましょうか紫苑君。」


「そうですね。」


3人は河原の上にある石階段に座る 場所はカスピエルと紫苑が並んで上段に、その2段下に蒲公英が座っていた


花火が音とともに打ち上げられた


雲一つない澄み切った夜空に鮮やかな色の花が咲く


3人はそれを見て目を輝かせる


カスピエルは左手を紫苑の右手の上に乗せた 紫苑は横を向いてカスピエルの顔を見る


その顔は花火の光で照らされてなのか、頬が紅潮していたのか、或いはそのどちらでもあるのか


『とても綺麗だ』 と紫苑は思った


「エルさん...?」


紫苑は蒲公英に聞こえない程度の声で言う そしてカスピエルも同様に蒲公英に聞こえない程度の声で言った


「紫苑君...私は...私は...! 紫苑君のことが大好きです! いつの間にかあなたのことが好きになっていました...たぶん...一目惚れです。 だから...私とその...付き合ってくれませんか...!?」


カスピエルの目は潤んでいる


「俺もエルさんのことが大好きです。 よろしくお願いします。」


紫苑は微笑んだ 次の瞬間


カスピエルは紫苑に抱き着いた



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