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狼狽


祭りの日から1週間が経過した カスピエルは1日のほとんどの時間を蒲公英と手をつないで過ごしていた


「・・・ねぇエルさん。 手を離すのはまだ怖い?」


「たんぽぽ! いっしょじゃなきゃやだ!」


蒲公英の左手を握っているカスピエルの右手の力が強くなる


「大丈夫だよ。 蒲公英はエルさんと一緒だからね?」


蒲公英は右手をカスピエルの右手の上に優しく重ねる


カスピエルは安心の表情をする


紫苑は2人のその様子を少し離れた所で見ていた


「・・・。」


エルさんの記憶はまだ戻らないんだろうか... どうすれば...


紫苑の脳裏にカスピエルと過ごした日々が蘇る


そうだ! 記憶を失う前のエルさんと一緒に行った場所に行けば何か思い出すかもしれない...!


「・・・エルさん。」


カスピエルが紫苑の方を向く


「一緒に出かけませんか?」


「しおんもいっしょ!? たんぽぽもいっしょ!?」


「はい。」


「いく!」


「お兄ちゃん? どこへ行くの?」


「記憶を失う前のエルさんと一緒に行った場所だよ。 もしかしたら記憶が戻るかもしれない。」


「分かった。」




















紫苑、蒲公英、カスピエルの3人は商店街へと着いた


「エルさん、何か思い出した?」


蒲公英がカスピエルに聞く


「わかんない!」


「そっかぁ...。」


「じゃあまずはゲームセンターに...」


「カスピエル様!!」


3人の前から女性の声が聞こえた


アルミサエルだった 服装は白のローブだ


「あの、誰ですか?」


紫苑がアルミサエルに聞く


「私はこのお方の弟子です! さ、カスピエル様。 戻りましょう。」


アルミサエルはカスピエルの右腕を左手で掴む しかしカスピエルはその手を振りほどく


「いや!」


「カスピエル様!?」


カスピエルは蒲公英の後ろに隠れる


「こわい! たんぽぽー!」


「!?」


「あの、この人の名前はエルです。 カスピエルではありません。」


「・・・そんな...!」


「もしかして本当にお知り合いなんですか?」


「・・・はい。」


「実はエルさんは記憶を失っているんです。」


「!? ・・・まさかオルニアスに...!?」


「オルニアス?」


「そんな...カスピエル様...ようやく見つけれたのに...!」


アルミサエルは膝から崩れ落ち泣く


「・・・。」


この人はそんなにもエルさんのことを...


カスピエルがアルミサエル近付き、右手の親指でアルミサエルの頬に流れている涙を拭う


「・・・なかないで。」


「! カスピエル様...!」


「エルさん...。」


「そうだ! 清めの水を預かって来たんでした! これを飲めば記憶ももしかしたら...!」


「本当ですか!?」


「カスピエル様! これを!」


アルミサエルは清めの水を渡す


「?」


カスピエルは紫苑を見る 紫苑は頷く


カスピエルは清めの水を飲む するとカスピエルの体は青色の光に包まれた


カスピエルは容器を落とした 容器が割れる


「ああああああああああああああああああああああああああ!!」


カスピエルが頭を両手で抑える


「カスピエル様!?」


「あんたエルさんに何を飲ませたんだ!?」


「エルさん! 大丈夫!?」


その時、渦巻く炎が紫苑達の方へ来た


「な、なんだあれ!?」


「!?」


アルミサエルが両手を前に突き出す その両掌の前に半径1メートルの白い円が出現して炎から守る


「ほう? まさか天使が居たとはな。」


身長180センチ程の男が歩いてきた 男は金色の短髪に紺のジャケットを着ている


「そういうあなたは悪魔ですね?」


「いかにも。 我が名はフラウロス。 誇り高き炎の使いだ。」


「自分で誇り高いと言うんですね。」


「ああ。」


フラウロスの両手から渦巻く炎が放たれる アルミサエルは円で受け止める


「くっ...! あなた達はカスピエル様を連れてここから離れて下さい!」


「で、でも...!」


「早く!」


「どうせ皆殺しにするんだから無駄だぜ?」 まずはお前からだけどな!」


「死ぬのはあなたですよ。」


「!?」


「!?」


カスピエルはフラウロスの右脇腹に左手で触れた そして男は倒れた 男は息をしていない


「エルさん!」


「カスピエル様!」


「私、今でもちょっと混乱しています。」


瞬間


カスピエルの後ろの空間が裂けた


「!? カスピエル様ぁ!」


「?」


正方形に裂けた空間にカスピエルは吸い込まれた


「エルさん!!」


紫苑は右手を伸ばし、カスピエルの右手を掴もうとするが届かなかった


空間の裂け目は消えた


3人はしばらくの間、言葉を発することが出来なかった



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