理解
悪魔・オルニアスとの戦闘で記憶を全て失ってしまったカスピエルが紫苑と蒲公英の家に一緒に住むことになってから二週間が経過した
「あなたの、名前は、エル、です。」
「あなたの...な、まえは、エル、です。」
「ああ! 違うよ! 私じゃなくてエルさんのこと!」
「エルさん? エルさん!」
「えーと...だから...エルさん!」
「うー?」
蒲公英がカスピエルに言葉を教えている
「何ていえばいいのー...?」
紫苑が2人の居るリビングへと入る
「蒲公英、どうしたんだ?」
「お兄ちゃん! 言葉がエルさんを覚えないー!」
「そりゃ言葉は覚えられないだろ。 逆だよ、逆。」
「じゃあお兄ちゃん教えてみてよ!」
「分かった。」
「うー?」
「エルさん。」
紫苑が右手の人差し指をカスピエルの方へと向けた
「私。」
カスピエルが自分の顎辺りを右手の人差し指で指す
「わ、たし?」
紫苑は頷く
「わたし...わたし!」
カスピエルは笑う
「わたし、エル。」
「わたし! エル!」
「お兄ちゃんすごい!」
「要は考え方だよ。 やってみて駄目だった時、同じことを何度やっても良くはなりにくいんだ。 だったら違う方法を考えてやってみたら良くなるかもしれない。」
「・・・?」
蒲公英は頭を右に傾ける
「はは、蒲公英にはちょっと難しかったかな。」
紫苑は笑った
「エル!」
カスピエルが紫苑を右手の人差し指で指して言った
「紫苑。」
「し、おん...?」
紫苑は微笑みもう一度自分の名前を言う
「紫苑。」
カスピエルは笑う
「しおん! しおん!」
「エルさん! 私は蒲公英! 蒲公英だよ!」
今度は蒲公英が自分を指さし教える カスピエルは蒲公英の方を向き、蒲公英を指さす
「たんぽぽ! たんぽぽ!」
「そう! たんぽぽ!」
「神様からの通告だ。」
ガブリエルはウリエル、ミカエル、ラファエルの熾天使達とアルミサエルにそう言った
「内容は何なの?」
「この間、神様がお調べになられた者についてだ。」
「確か...『狭山強』 だったか?」
ミカエルがガブリエルに確認した
「ああ、そうだ。 狭山強は普通の人間じゃないらしい。」
「ガブリエル、それはいったいどういうことでしょうか?」
「何て言えば良いんだろうな...狭山強は俺達天使だったり...そうじゃなかったり...」
「意味分かんないわよ! 簡潔に言って。」
「・・・アザゼルの子供だ。」
「「「!?」」」
「アザゼル?」
アルミサエルは疑問に思う
「アザゼルはかつて私達と同じ天使であり、ミカエルの弟子でした。」
「!?」
「でもアザゼルは禁忌を犯してしまって裁かれたのです。」
「ちょっと待って! 神様は確かアザゼルの相手の女性の記憶を消されたんじゃ...? 悪魔の封印の解き方なんて教えられる者は居ないはずよ!」
「・・・アザゼルが何か書物などに記録し、隠していたのかもしれんな...。」
「神様はなんと?」
「狭山強を神様のもとへ連れて来るようにと。」
「記憶を消されるおつもりなのかしら...?」
「だろうな。 そしてアルミサエルにこの任をするようにとおっしゃられた。」
「私にですか? 承知しました。」




