11.転:名探偵だぞ!ラビィちゃん
ラビィ「おや、店主へのご挨拶を失念しておりました。初めまして、ガルード様。本日は買い取りをお願いしたく、伺いました」
ガルード「あん?ウチは何でも買い取るが…」
丁寧に歩み寄るラビィと座ったまま横柄なガルード。
ラビィ「スライム兜を3つまとめて、いかがでしょう?運良くドロップ、いえ魔物を倒した際に獲得しました」
ガルード「スライム兜が3つ!?」
店の台に並べられる三つのスライム兜。
【スライム兜(レアモンスター、ヘルムスライムの確定ドロップ品。防具としての性能は低いが、その材質は希少な金属であり、高値で売却出来る。通常売値:35000)】
ラビィ「売却先に困っているところに、レミリさんに熱心な勧誘をされまして。この町でも随一の正直商売、という話でしたので」
ガルード「ええ!そうですとも!なんだ、レミリ、よく分かってるじゃないか!」
レミリ「え?…えぇ…」
レミリは困惑しているが、目の前の貴重品に夢中でガルードは気付いていない。ラビィは終始にこやか。
ガルード「そうですなぁ。詳しく鑑定してみますが、3つでまとめて即金9万でいかがですかな?」
レミリが何か言おうとするが、ガルードが一睨みで黙らせる。
ラビィ「おやおや、すぐにお金が欲しい駆け出しの身としては有難い提案ですね。さすがガルード様。なんでもかつては冒険者としても、その腕前はこの町に鳴り響いていただとか」
ガルード「ガハッハ、そうでしょうとも!」
ますます上機嫌なガルード。
ラビィ「こんなによくしていただいて恐縮ですが、いくつかお借りしたいものがございまして」
ガルード「なんですかな?何かと物入りな冒険者への金貸しなどもやっておりますが!」
ラビィ「トイレ、それから裏庭を。鑑定の時間の間、駆け出しの身の私に鍛錬場所を貸していただければ幸いです。ヘルムスライムにも苦戦してしまいましたから」
ガルード「いいでしょうとも!レミリ!案内して差し上げろ!」
レミリ「…はい、ガルードさん」
場面、ガルード邸、庭
レミリ「ねぇ、ラビィ…。キミ、一体なにをしようとしてるの?」
ラビィ「余計な事ですよ。極めて個人的な事情に巻き込んで、申し訳なく思います」
ラビィは庭を見渡すと、女神像が飾られたほこらを発見。迷いなく、近づいていく。
レミリ「余計な事?…あ!ラビィ…!」
ラビィ「ほこらには近づくな、でしょうか?あのカス…いえ、ガルードさんに言われたのは」
レミリ「どうして、それを…」
レミリの言葉にも振り向かずに、ほこらの屋根を弄っていたラビィだが、不意に首をひねる。
しかし、手を打って、武器『ラビットスティック』を取り出し、一閃。
轟音。屋根が吹き飛ぶ。
そして、屋根の下には空間があり、そこからアンヴィルと刻まれた金床が出てくる。
レミリ「!?」
ラビィ「スキル、強制家宅捜索です」
冷たい眼のラビィの眼が、赤く染まる。
ガルード「何事だ!?なっ!そ、それは…」
慌てて店から出てくるガルード。
ラビィ「おや、ガルードさん。ついうっかり、ほこらにぶつかってしまったみたいです。
女神様には私の名前を告げ口するといいでしょう。
私も女神様には、あなたのほこらの上に遺品を置いてた馬鹿野郎が居たと告げ口をしますので」
レミリ「ガルード…!アンタ!」
にこやかなラビィと、金床を抱え睨み付けるレミリ。
ガルード「こ、これは誤解だ…!なにかの間違いだ…!」
ラビィ「ええ、誤解でしょう。
例えば、職を失い病気で弱ったある男性が、自分が死ぬ前に家財を処分してでも完済したはずの借金が今も残ってるように見せかけているように」
ガルード「しょ、証拠は…!」
ラビィ「ガルードさん。やっぱり、鑑定に同行してもよろしいですか?
あなたが鑑定に使ってる部屋、いや、わざと傷を入れ、査定額を下げる部屋にある棚に興味があります。
『公認金床』、『証文』どちらも破棄不可のアイテム、ですからね」
ガルード「なっ…!お前どこまで…」
ラビィ「どこまでも」
後ずさるガルード。
ラビィ「借りてるのもお前で、間違ってるのもお前だ、ガルード」
笑顔を消し、指を突きつけるラビィ。




