お婿様探しパーティー!?
「さぁリーデ様、今日はいくつかご縁談をお持ち致しております。お眼鏡に叶う王子がいらっしゃれば良いのですが」
「え、え、縁談ん!? 確かに私、もうすぐ16歳だけど、まだ15よ!」
「何を仰いますか、早いということは何一つございません。お母上様は14の頃にはすでにご婚約なさっていたとのことです」
そう言ってナビビが釣書のようなものをバサバサと持ってきた。えっ、こんなにあるの……
「そんなに私との縁談を望む殿方が多いのかしら? それとも逆? 誰でもいいからとにかくってところ?」
「無論、前者でございます。飛ぶ鳥も落とす勢いのローズウィンド王国はまさに世界中の憧れ。我々としてもこの王国が末永く在らんことを願う限り、女王陛下へ素晴らしいご縁談をお持ち出来たらとばかり」
「はぁ……縁談ねぇ。皆王子というだけあって、経歴も顔も申し分無し。この中から誰か決めろなんて、漠然とし過ぎてると思わない?」
「流石はリーデ様。ではこうしましょう。実際にこの皆々様へお集まり頂いて、そのパーティーの中でお決めになるというのは」
「ちょっとちょっと、焦るにも程があるわよ! でもまぁ縁談を進めたい気持ちも分からないでもないし、パーティーだけならいいわ。決めるかどうかまでは保証しないけど」
「おお! では、早速準備に移りまする」
やっぱり後者じゃない……? と思わずにはいられなかったわ。
そして、あっという間にその日は訪れた。
王国のシェフが腕を振るった料理がずらりと並び、次々とやってくる秀麗な王子達。
彼ら国同士の交流もそこそこに、お目当てはどうにも私らしい。
ハァ……今更だけど、女王って大変ね……
「御目に掛かれて光栄です、リーデ女王陛下」
「ご機嫌麗しゅうございます、リーデ・オブ・ローズウィンド女王陛下」
こんな感じで、皆口々に似たような挨拶を交わしに来るの。
やっぱりこの中で誰か一人決めるなんて無理無理……
第一それに、私はリーデ女王の皮を被っているけれど、中身は佐久間すみれでしょ?
本物のリーデがきっと何処かにいるんじゃないかしら。いつになるか分からないけど、リーデが戻って来た時に勝手に婚約者が決まってたら迷惑になる気がする。
そんなことをぼんやり考えていたら、他の王子達とは雰囲気が違う男性が目に付いてね。
本当はこちらから話し掛けちゃいけないもんなんだろうけど、どうしてもすみれとしてこっそり声を掛けたくなってしまったの。
「あのー、さっきから浮かない顔をしてますよね? ちょっと気になってしまって……」
「ハッ!リーデ女王陛下!申し訳ございません……申し遅れました、オリオン王国の第二王子・アレックスです」
「心此処にあらず、という感じだったわ。私と同じで、嫌々この場にいるってところかしら?」
「とっとっとっとんでもございませんっ……!」
「私は誰も選ぶつもりはないからね、もし何か気にしていることがあるなら安心して。ってそんなこと言うのも可笑しいわね……」
「ハハ……実は、以前より親密にしている女性が国にいるのです。伯爵令嬢なのですが、その立場上、家臣達からの評判は思わしくなく、交際自体をなかなか公に出来なくて。あっすみません……唐突に恋愛相談みたいになってしまいました」
「なるほどね。確かに、もし私があなたを選んでしまったら、二人の仲を引き裂く存在になってたでしょうね」
「ブッ……!」
「ごめんなさい、冗談よ。そんな状態じゃパーティーどころじゃないわよね。応援しているわ。幸せな結婚が出来ることをローズウィンドの地より祈っているわ」
学校でも男子から恋愛相談を受けること自体レアだけど、こんな王族貴族世界の恋愛相談だなんて特殊すぎよね。
「リーデ様、どなたかお気に召した王子はおられましたか?」
パーティーが終わった夜、ナビビから当然のように訊かれたけれど。
「うーん、とにかく皆素敵な王子達ばかりだったわよ。その中で誰かとまた話すことがあるかもしれないけれど、今はまだ全然決められないわ」
「はじめからあまり気乗りされておられませんでしたからね……」
「まぁとにかく、大変だってことはよーく分かったわ! いつもの公務よりもずっと気疲れしたかもしれない……」
「それはそれはお疲れでしょう、今日はごゆっくりお休みなさいませ」
はぁーー、本当に疲れた。ぐったりだわ。
その夜はすぐに眠りについた。
そしてまたいつも通りの女王としての毎日が始まる。
これが女王として普通の日常……普通、普通、普通?




