女王のお仕事
こうなった以上は、もう女王として過ごす他ないわよね。
お城の皆は当然私のことを女王として見てるし、女王であることを期待されている。
次から次へと仕事がやってきて、私が女子高生だったことなんて誰一人として信じない空気だし。
「女王様、次はライム村の村長より電話会談の予定でございます」
「ちょ、ちょっと!ちょっとだけ待って! ねぇ、何かお菓子か何かないの?」
「女王様に命ぜられれば何なりと。本日はダークショコラのベイクドケーキと、ルポポン産のモカコーヒーをご用意してございます」
ルポポン……相変わらず聞いたことのない地名だわ。でもこれがまた、程良い苦味と酸味で美味しいじゃないの。ほろ苦いケーキとの相性もバッチリ。
こんな感じで、毎日はそれなりに忙しいけれど、私の我儘は大抵聞いてくれるし、居心地はなかなか悪くない。
素敵なドレスも何着もあって、選び放題。お食事も美味しいし。
ただ無条件にこの環境がある訳ではなくて、与えられた仕事を片付ける必要はあるのだけれど。
ある朝、家臣のナビビがこんなことを言ってきた。
「リーデ女王陛下がある限り、この王国は安泰でございますね」
「あら、それはお褒めの言葉?」
「勿論でございます。女王様は以前にも増して君主としての手腕を発揮なされておられるようです」
「私が来る前……というか、前はどんなだったかしら?」
「来る……? とにかく、頼りにされておられたご両親を次々と失われたショックも大きく、それはそれはか細い糸のようでございました。それでも女王職務は全うされておられましたが、まさか突然記憶喪失になられるとは思いもよらず」
「それは私もよ……突然頭の中がひっくり返ったようでびっくりしたわ。まぁ、すぐに慣れたけどね」
「さすがリーデ様でございます。お父上様・お母上様もさぞかしお喜びでしょう」
その、両親はどんな人だったの……?とは、なんとなく怖くてここでは訊けなかった。志半ばで逝ったリーデの両親を追悼するように、静かに天を仰いだ。




