090.爺、お持ち帰り、どうしたら良いのかのぅ?
ブラストドラゴンを討伐したのは良いのじゃがのぅ、これ…どうするのじゃ?
袋は既に使い切っておる、いや、そもそも入らんわいっ!
これは、もう放置しかないじゃろうてのぅ。
せっかく狩ったのじゃが、致し方あるまいて。
そう考えて、お2人へとのぅ。
「既に日も落ちて久しいですしのぅ、戻りましょうぞ」っと告げるとじゃ。
「ううむ、そうであるな、某も腹が減ってしもうたわえ」
「おおよ、とっ、言うか、せっかくのドラゴン肉であるからに、これを喰らえば良いであろうが」
ダリル様とカンム様が、そのようなことをの。
っと言うかじゃ!
「ドラゴンは食えますのかえ!?」
驚いて尋ねるとじゃ、キョトンとした顔でマジマジと見られてしもうたわえ。
「何を言っておるのじゃ?高級食材として知られておるであろうに」
カンム様が呆れたように告げられるが…
「ふむ、ユウは農村の出であったな、そうであるなれば知らぬのも仕方あるまいて。
なにせ竜食材は高級食材なれば庶民の手が届く代物ではないであるでな。
そう考えるならば、不思議ではないでござろうよ」
ダリル様が告げられた言葉にのぅ、カンム様が驚いたような顔にて頭を撫でつつ。
「ほっ、ユウは農村出であったかっ!?
じゃが…その身の熟しを、その歳にて身に付けておるのは解せぬのだか?」
納得いかぬような口振りにて告げられておるのじゃがのぅ、儂のことを伝えておったのではないのかえ?
「で、あるから、『面白き者がおる』っと伝えたであろうに」
「いやいや、おぬし程の者が興味を持つ者ゆえ関心を抱いたがな、もう少し詳しく知らせぬかい!」
どうやら詳細を明かしてはいなかったようじゃな。
困った御仁じゃて。
「ふっ、委細詳細、詳しく伝えては面白みに欠けようぞ。
この方が、こやつの面白みが伝わるであろう」
いや、そう言う問題かえ!?
儂はのぅ、そのように思ったのじゃが…カンム様は顎を摩り摩りの。
「ふむふむ、言われてみれば…なるほど」などと。
いや、納得するのかえっ!
「そんなことよりもですじゃ!ドラゴンの肉は、それほどまでに?」
儂が尋ねるとじゃ。
「そうさな、普通は血が肉に沁みると不味いのが常識ゆえに血抜きなんぞを行うものぞ。
しかしドラゴンは違うでな」
「さよう、さよう。
竜血はスパイスとしても用いられることもござるゆえ、その血を用いた料理もあるほど。
なればこそ、血抜きなどせずに焼き上げるが吉」
「おおよ、料理のやりかたなんぞ知らぬ我輩なれど、焼くだけで馳走となるでな。
これが堪らん訳よ」
いや、それって丸焼きにでもかいのぅ?
この大きさをかえ?
確かに焼く程度なれば、ここでも行えようぞ。
しかしのぅ、それだけの食材であれば、キチンと整った場にて調理すれば極上の品へとなるであろうの。
いや、そもそも持ち帰らねば、ラセヨツラ様に折檻確定では?
そう考えるとの、持ち帰らぬ選択肢はないであろうのぅ。
しかし、この巨体をどのようにして…
むぅ、身に刻むかえ。
いや、身を刻むのではなく、ドラゴンの身へ魔術陣を刻むのじゃ。
そう、軽量化と浮遊の陣をのぅ。
ただ、1つや2つでは駄目であろうからの、複数を刻む必要があるであろうの。
そのことをの、お2人へと告げたところ…
「ほっ、それは良いことじゃての。
これだけの肉を酒と共に頂けると言うことであろ?」
いや、カンム様?確かに、そうとも言えるが…ふぅ。
「ふむふむ、あちらへ辿り着いた頃には血が十分に肉に浸っておろう。
数日ほど日陰などの暗所にて熟成させた方が美味いと聞き及んでおる。
そう考えるに、持ち帰って残りを熟成させるもの良いでござろうな」
ダリル様も乗り気なご様子でな、儂は早速、陣を刻んで行くことにの。
しかし…硬いのぅ。
陣を刻むのも一苦労じゃてな。
時間を要したがの、何とか陣を刻み終えてドラゴンの屍を宙に浮かすことに成功したわえ。
尻尾が切り離されておったゆえにの、別に陣を施さねばならなかったのが面倒であったわっ!
陣を刻み終え、いざ帰らんっと思っておったらの、騎士達が増援を引き連れ戻ってきおったぞい。
いやいや、今更かえ?
で、の。
結局は皆でドラゴンを運びつつ村まで戻ったわえ。




