076.爺、そのような勤務形態なのけ?
「どうした?」っと、追い付いた儂を不思議そうにのぅ。
「いや、どうしたではないですじゃ!
周辺を巡りつつ狩りにて鍛練とは、どう言う意味ですかいのぅ?」
冗談ではないぞぇ、コボルトていどの魔物ならば良いが、今の状態ではどのような物が現れるか分らぬでな。
そんな不安定なフィールドへ態々赴くなんぞ、意味が分からんわえ。
「ユウよ、おぬしは既に型は修めておる。
ゆえに掛かり稽古なんぞを行っておるのだがな、そのようなものよりも実戦が肝要であろうぞ。
なればこそ、村外に魔物が現れしこの時こそ絶好の機会と言えよう。
ゆえに村外を巡り実戦相手を探し実戦による鍛練を行うべきであろうて。
この絶好の機会を逃してはなるまいて」
楽しげに告げられるのじゃが…戦闘狂かえ?
「いやいや、儂は別に武人となるわけでは…」っと言いかけると。
「なれば、何故、刀を取る?
武人ならざるとしても、刀を持ちえる者として己を鍛えるのに過ちはあるまい。
無き武力では抗うことも能わぬものよ。
現に、さきほど幼子達を救ったのは武の力があったからだろうて。
己に敵を退けし力なければ成すこともできなかったでろう。
どうじゃ?」
そう告げられてはのぅ。
確かに皇都に着いたばかりの頃であれば、幼子が襲われておっても逃げるしかなかったであろうの。
武力を身に付けたゆえに、容易くコボルトを退けることができたのは確かじゃ。
ふむ、そう考えると、鍛練して己を鍛えるのは良いこのなのかえ?
「いやいや、それは屁理屈でしょうよ」っと、現れたセルフィス様がのぅ。
んっ?どう言う意味じゃ?
「誰もが武力を身に付けているわけではないですから。
そのような者達を守るために兵がおるわけです。
なれば、別にユウが武力を身に付ける必要はないでしょうぞ。
なにせユウは生産もできれば魔術も扱えますからな。
ただ…経験を積み学ぶには良いのやもしれませぬが…」
少々考えつつ、そのようにのぅ。
結局、儂は狩りの修練へ赴いた方が良いのじゃろか?
「ふむ、才能があればこそ、己を高めるべきしょうな。
某は、そのように思いまするが?」
ダリル様がセルフィス様へとのぅ。
まぁ、結論から言うとじゃ、結局は村周辺を徒歩で巡りつつ狩りを行うことにの。
明日は早出にて村を出ると言うことに決まってしもうたわぇ。
納得したような、押し切られたような…もやもやした気持ちで部屋へとのぅ。
寝るには少々早い時間ではあるのじゃが、明日は早いとのことじゃて寝るかのぅ。
じゃが、寝る前に連絡せねばな。
儂はGM須藤殿へと思考にて話しかけたのじゃが…
『はい、こちらカスタマーサポートセンター日高でございます』っと別人がの。
いや、どうなっておるのじゃ!?
『あ~っとぉ…須藤殿は、どうなされたのじゃ?』
思わず尋ねてしもうたのじゃがな。
『須藤は本日の業務を終了して退社しております。
代わりまして、私、日高が担当させていただいております』っとのぅ。
どうやらGM業務は8時間交代制にて業務しておるようじゃ。
っといってものぅ、リアルでの8時間はゲーム内の8日なのじゃがな。
そのゲーム内でも3交代制にて業務を行っておったそうな。
トライン内業務でも休暇は存在しておるし、出退社もあるのじゃとか。
5人にてチームを組んで交代しつつ業務を進めておったらしいのじゃがのぅ、儂が連絡する場合は、たまたま須藤殿の勤務帯だったらしいわえ。
しかし…リアルにて8時間交代制勤務なのにゲーム内においても8時間交代制勤務かえ?
なかなかに厳しそうな勤務形態じゃてのぅ。
日勤だけならば良いが、当然、夜勤もあろうてな。
それがリアルでの夜勤にてトライン内では日勤とかなると意味が分からんことになりそうじゃて。
逆もじゃがな。
そんなことを思いつつ日高殿と話したのじゃが…まぁ、リアルでは前回連絡して1時間しか経っておらぬ。
ゆえに進展などある筈もないからのぅ。
ただ、須藤殿や日高殿が居るGMルームからは外部へネット接続可能なそうな。
ゆえにネット検索などものぅ。
須藤殿は趣味が菓子造りでな、菓子造りの話しにて盛り上がったものじゃて。
その際にの、ググッて貰うて菓子のレシピを教えて貰うたりのぅ。
しかし…未だに過去の言葉となってしもうた、ググるが通じるでのぅ。
あの検索サイトは今では存在せぬのじゃが…なにせネット環境自体が旧来とは全く異なるでな。
今の者達に昔の検索サイトについて話しても分らぬであろうよ。
儂はリアルにて亡くなっておるゆえにリアルへとダイブアウトできぬからのぅ。
ゆえに救済処置としてGMがネット情報を儂へ教えるのは許可されておるらしいわえ。
なにせ初めての事案ゆえに、儂の扱いに苦慮しておるようなのじゃよ。
さて、日高殿にも色々と教えて貰おうかえ。




