068.爺、薬学の夜明けじゃ!かのぅ?
このゲームでの薬学はリアル的な要素が多過ぎると思うのじゃ。
その癖、錬金術や魔力などが調薬に関わってくるのじゃがな。
それでもゲームのポーションのように怪我を即効で癒す薬ではのうて現実に近い効能しかないときた。
いや、現実では癒すことが困難な傷も時間を掛ければ治るケースもあるようじゃがのぅ。
じゃがの、欠損部なんぞは治らぬのじゃよ。
これは切り傷にて抉られた傷などがゲームじゃと再生されたように治るが、このゲームでは無理なのじゃ。
ただのぅ、魔術では可能なのじゃぞ。
まぁ、術者の力量に左右されてしまうがのぅ。
それは魔那を魔術にて変換して肉体を補うからこそ可能となる技術なのじゃて。
で、のぅ、儂は考えたわけじゃよ。
「お婆様よ」
「なんじゃえ?」
「魔術治癒の現象を薬で再現することはできぬのかえ?」っとのぅ。
するとお婆様が難しい顔で告げなさるわえ。
「そのことについては、色々な者ができぬものかと調べたものじゃてのぅ。
じゃがな、今迄に実現した者はおらぬのぅ。
構想さえ立たぬ状態じゃわえ」っとの。
ま、夢物語と言ったところなのじゃろうがな。
「ですがのぅ、魔那を患部に振り掛けて使用するイメージは間違いではないと思いますぞ」
そう告げたら呆れられてしもうたわえ。
「無理じゃわえな、まず魔那が定着せぬであろうよ。
それにじゃ、振り掛けるほどの魔那を留めて薬と化す術自体があるまいて」
いや、その術については心当たりがのぅ。
「魔石は魔那の塊のような代物ですがのぅ、あれは使用できぬので?」
「はっ、そがいなことは先人も考えておるわい。
じゃがな、魔石は魔力が凝縮された物ゆえに魔那ではないぞぇ。
魔力にて魔那を操る術は構築されはしておるがのぅ、魔力を魔那化するなんぞは無理じゃろうて」
「しかり、しかり、ですがのぅ、同じ魔力を留める品でも晶石ならばどうですじゃ?」
そう告げるとのぅ、マジマジと見られてしもうたわえ。
「晶石、晶石のぅ…あれは稀少過ぎて薬の研究なんぞ…」
「いや、人工晶石ならば、天然晶石ほどではありませんぞ」
そう告げるとのぅ、驚いたように儂を見られる。
「人工晶石かえ…確かに、アレならば多少は容易く手に入れられるかえ。
それを用いて魔那化させた薬効にて患部を再構築させる…
容易く作れる代物ではないが…試してみる価値はありそうじゃな」
うむ、儂が以前から構想しておったことを打ち明けて正解じゃったようじゃのぅ。
薬学の第一人者と言ってよいゼルダ婆様の知識にて可能性を見出せたならば、全くできぬと言うわけではあるまいて。
以前からトライン内にてゲーム的なポーションがないことが不満でな、なんとかできぬものかと考えておったのじゃよ。
状態異常を癒す解毒薬などは存在しておるのじゃ。
こちらは病を癒すのに近いと考えれば納得じゃからのぅ。
ま、即効性に難はあるが、それも此度の魔那の薬物化が成功すれば肉体への親和性も高まり即効性が期待できるであろうて。
体内魔力を補うマジックポーションも魔那の薬物化が成功すればかのうじゃろうの。
なにせ魔那は魔力の元でもあるのじゃからのぅ。
ただ…ゲームみたいに初心者が手軽にポーションを造るなんぞは夢のまた夢じゃろうて。
これらを造るには様々な専門知識を駆使せねばならぬでな。
じゃが、余りにもファンタジー的な薬が存在しないトラインにて、このポーション開発が成功すれば一石を投じることとなるであろうよむ。
「うううむぅ、ユウよっ、何をしておる、人工晶石じゃ、はよ、人工晶石を用意せいっ!
そしてセルフィス様を連れて来るのじゃっ!急げっ!」
うむ、捲くし立てられてしもうたわえ。
儂は慌てて晶石の準備とセルフィス様の呼び出しにのぅ。
結局、その日は薬学に没頭したゆえ、他の手練はなくなってしもうたわえ。
明日、どうなるかが心配じゃがのぅ…




