069.爺、画期的調薬には画期的魔導機じゃっ!
いゃぁ、昨日は参ったわえ。
興が乗ったお婆様が研究に没頭してしもうてのぅ、結構遅くまで付き合わされたでな。
人工晶石のストックは結構な数をストックしておる。
あれは空気中の魔那と粉末化した物質を特殊な魔導機にて練成させた物じゃからな。
ゆえに素材は無限と言っても良い代物なのじゃて。
いや、正確には儂が造った魔導機では、っとなるがな。
世に出回っておる人工晶石は晶石化可能な特殊鉱石を精製した後で特殊な薬液へと漬け込み粉末化した後に魔術陣にて練成じゃ。
いやいや、中々に手間がのぅ。
じゃがな、全ての物質は原子と分子で構成されており、その元は魔那なのじゃぞ。
そう考えれば魔那にて物質を練成すれば良かろうにのぅ。
そう考えて造った機構なのじゃがのぅ、最初に教練所の教官殿に相談したら鼻で笑われたものじゃて。
「そんなに都合の良い品など造れる筈がない。
考えてもみなさい、確かに全ての物質は魔那より構成されていると言われてはいる。
だが、魔那から物質を生み出せるかと言えば、そんな簡単なことではない。
理論上では可能だが机上の空論にひとしいな。
だいたい魔那を集め制御するのは非常に困難を伴う作業なのだよ。
魔術師でもある君ならば理解できる筈だが?」
そうのぅ。
「確かにそうですじゃ。
ですがのぅ、晶石は純粋な魔那結晶っと言っても過言ではない代物ですぞ。
魔術にて術を放つ際に氷や土塊などを生み出しておりますでな、あれを鑑みるに一考の価値はあるのではないですかいのぅ」
そう告げたら黙りこんでしまわれたわえ。
いや、生産教練所の教官殿だけあって優秀な方ではあるのじゃがのぅ、生産教練所に所属しておる者じゃから魔術の素養はのう。
ゆえに理論上のことや物造りには長けておるが、魔術自体には疎いところがあるでのぅ。
魔力を扱う研究などには、専用の魔導機を使用して研究開発を行うでな、魔術に精通せぬでも構わぬのじゃよ。
つまりじゃ、各教練所に各々のスペシャリストは居るのじゃが、統合して考えることのできる人材が居らなかったのじゃ。
儂のようなイレギュラー的な存在が現れねば、構想自体が成り立たなくてのぅ、考えられたこともなかったようじゃてな。
ゆえに人工晶石に対して様々な研究を行いたかった儂は新たな人工晶石精製魔導機の開発にな。
なにせ研究には大量の人工晶石が必要じゃったゆえにのぅ。
ただ魔導機の起動には全属性の魔力を適切に制御しつつ流さねばならぬのじゃよ。
これは儂にしかできぬでのぅ、今のところ人工晶石精製魔導機を操れるのは儂のみなのじゃわい。
これも何れは汎用化するために、なんとかクリアーしたい課題なのじゃがのぅ、なかなか侭成らぬわえ。
そんな人工晶石精製魔導機は、当然、儂の背嚢へと仕舞ってあるぞい。
いや、稼動させて日々背嚢内にて人工晶石を精製しておるがのぅ。
ただ外気を魔導機格納部へと取り込む仕組みが必要でな、背嚢作成時に色々と工夫したのは余談じゃて。
ゆえにな、トライン内にて大量の晶石を確保しておるのは儂と言うことじゃな。
ただ知られると騒ぎになるでオフレコで頼むわえ。
皆も儂が魔術と魔術陣にて都度、人工晶石を精製しておると思っておるでな。
しかし…一日に一回は魔導機の再起動が必要なのが面倒じゃわい。
ゆえに放置して自動的に人工晶石精製とはいかぬからのぅ…
そんな苦労にて生み出された人工全属性晶石が大量にお婆様へ謙譲させられてしもうたわい。
ゆえに少々人工晶石が手元不如意状態とのぅ。
まぁ、日々精製すれば良いゆえ構わぬがのぅ。
さて、目覚めたゆえ何時もの日課をするかえ。
今日はゼルフト様の鍛冶修行じゃのぅ…
いやな、お婆様が今日もっと言っておったのじゃがのぅ、ゼルフト様に押し負けておったわえ。
「約束じゃ!うぬの番は終わったであろうが!?」っとの。
爺婆に好かれてものぅ…是非、シスター・アンジェリン殿には頑張っていただきたいものじゃて。
若い女子に習う方が精神的に良いでのぅ。
さて、身支度して動くかえ。




