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026.爺、泣いて良いかのぅ?

サコン・シマ殿よりレクチャーを受ける時間は多く設けることは叶わなんだわえ。

いや、サコン殿に時間がないと言うことではのうでのぅ、適性検査を行のうておった鍛練場を教練で使用するそうな。

その時間が迫っておったゆえ、程ほどに切り上げたわい。


ただ、サコン殿が修める剣術の型は見せて(もろ)うたぞえ。

九重(ここのえ)の型とかいう剣術の型でのう、九つの型を連続で舞うように行っておったのぅ。

まるで剣舞のようでのぅ、なかなかの見応えじゃわえ。


ただのぅ、型と型が連なるようになされておるでな、どこからどこまでが1つの型なのかが分らなんだぞい。

そんな舞うような型を見せて(もろ)うた後、武術教練所の談話室を借りてサコン殿と対話とのぅ。


生産教練所の学科適性検査なのじゃがの、武術教練所のマッスルな教官殿が明日向かうと連絡を入れてくれたようじゃ。

なので気兼ねなくサコン殿と話せることにのぅ。

何やら昼食も談話室へ届けてくれるのだとか。


いたせりつくせりと言った感じなのじゃがの、それは儂のためと言うよりはサコン殿を慮ってのことのようじゃわい。

どうやらサコン殿は有名な剣客らしゅうてのぅ、ここへは招かれて訪れておるそうな。


談話室へサコン殿と2人で入り、机を挟んで椅子へと収まる。

そしてサコン殿から口火をのぅ。


「さて、拙者に尋ねたいことがあると告げておったが、どのようなことでござろうか?」っとのぅ。


「それなのじゃがのぅ、実際の儂は目が悪く耳も悪いのじゃよ。

 ゆえにゲーム外で情報を得るのが難しゅうてのぅ。

 なんとか調べてもみたのじゃが、えろう疲れるでな、あまり調べれておらぬのじゃ。


 なんとかメニューなどなく、思考操作でログアウトは可能とは知ったのじゃ。

 じゃが…思考操作にてGMコールとやらが行えると聞いたのに行えぬのじゃが…何故なのじゃ?」


儂がそう告げるとの、サコン殿がシゲシゲと儂を見て告げる。


「なにゆえ目と耳が悪いのかはリアルの話でござるゆえ告げぬでも良いでござるが…それは難儀なことでござるなぁ。

 このトラインでござるが、廉価版のVR機器でもリアルな世界を体感できるのが売りでござる。

 それを実現いたしたのが、仮想世界にてシミュレーション実験し世界を構築している仮想シミュレーターの世界を間借りすることでござった。


 ただ…それを行うのに色々と制約を受けておるのでござるよ。

 GMコールなどもアカウント停止レベルの話でないと受け付けて貰えぬそうな。


 魔術などの要素もシミュレーション的に許可可能な仕組みが構築され、初めて組み込まれた物なのでござる。

 シミュレートした結果不可能な場合は受け入れておらぬとか。


 ステータスや自動マッピングなどのゲーム要素は端から却下されたと聞き及んでおるでなぁ」


「ううむぅ、シミュレーターありきであるからかえ。

 まぁ、これだけリアルな世界を堪能できるならば、致し方あるまていのぅ。


 そうそう、リアルのことじゃがの、目と耳が悪いのは単に年寄りじゃからじゃよ。

 足腰も悪うてのぅ、杖なしでは歩くこともままならぬからのぅ。

 ゆえに、この世界で自由に動け、見聞きに不自由がないのはありがたいでな」


そう告げるとじゃ、サコン殿が驚いたように儂を見た後で尋ねてきたわえ。

「なんで、ご老人がトラインを?」っとのぅ。


なので、儂がトライを行うことになった経緯をサコン殿へのぅ。

説明を聞いたサコン殿が呆れたように溜息を吐いた後での。


「ま、まぁ…確かに他の廉価版VRゲームよりは遥かにマシではござるが…

 トラインはゲームとしては、かなり不親切なゲームでござるからなぁ。


 それに皇国は色々と縛りが多いことで有名でござってな。

 他の国…特に辺境と言わておる国では自由に狩りをしつつ旅ができるでござるよ。


 それに比べると皇国は国から色々と制約を受けるので、プレイヤーは厭うてござる。

 まぁ、逆に現実世界のように安定した生活を送れるでござるが…なにもゲーム内でまで現実的な生活は送りたくないでござるからなぁ…


 それとでござるな。

 トラインは実世界の能力も強く反映されるゲームでござってな、武術などを修めておる者などは、それが使用可能なのでござるよ。

 ただ、そうなるとリアルスキルのない者達が不利でござるゆえ、そのような者には才能がシステム的に付与されるそうな。


 これにリアル年齢が高い者に対しても同様な処置が行われておると聞き及んでござってな。

 今は不遇職と呼ばれておるプログラマーなる職種に就いておった者などならば、補正が凄いことになるでござるよ。


 まぁ、AIがプログラミングする時代になって久しいゆえ、そのような者はかなりのご高齢ゆえにトラインなど行なわぬでござろうがのう」


そう告げて(わろ)うておるのじゃが…


「その元プログラマーなのじゃが?」っと返すと、ピキッキキキッと固まってしもうたわえ。


「いや、マジでぇ?」っと尋ねるゆえ頷くと、慌てたように謝ってきよったわえ。

しかし…やたら滅多、色々な物に対しての適性があると思っておったら、よもや老齢で元プログラマーでありリアルスキルなしが原因とは…

泣いて良いかのぅ?

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