-風に吹かれて-3
植物の街、タンザリーファ。
入口の木でできた小さな鳥居のような門の向こうには数ある大きな樹の上にウッドハウスがいくつも建っていた。
全部の家が樹の上にあるからよく落ちないなと不思議でしかなかった。
門を潜り辺りを見渡しながら歩き始める。
静かな街に風で揺れる木々の音と小鳥の鳴き声が響いていた。
「凄いね~。ここがタンザリーファなのかな?ルキさんの家は何処だろう?」
「ユミルさんが言ってた所はここしか無いだろうからここで合ってるんじゃないか?近くの家の人に訊いてみるか?」
近くの家と言っても樹の上だからそれ程近いとも思えない。
がっしりと組まれている木の梯子を上り通路に足を乗せる。
梯子から一番手前にある家のドアを叩くとお爺さんが顔を出した。
「こんにちは。突然にすみません。お尋ねしたい事が二つあるのですが…。ここはタンザリーファで合っていますか?それとルキさんの家が何処かは分かりますか?」
お爺さんは驚くように目を見開くと真剣な表情に顔を変えていた。
「おやおや。本当に突然だの、少年よ。ここがタンザリーファで合っておるよ。ルキに何か用なのかい?事によっては教える事はできんよ」
「今、帝都が大変な事になっているんです。それでギルド長の娘さんのお知り合いであるルキさんにならどうにかできるかもしれないらしいのです。…これを」
用心深そうなお爺さんにユミルさんから預かった手紙を渡す。
お爺さんは手紙を読み進めて行くと小さく頷いていた。
「ほぉ…。帝都ではこんな事が起きておるのか…。これは一大事じゃの。薬師のルキはここから向かって右斜めにある建物におるよ。薬の看板がついておるから直ぐに分かるじゃろう」
お爺さんの指差す方を見ると看板が揺れているのが分かった。
「ありがとうございます!それでは失礼します」
お辞儀をしてから梯子を下りて教えてもらった建物のある樹に向かって歩く。
入口左側一つ隣り、揺れる看板がある建物の梯子を上って営業中と書いてある立て札を見てから中に入った。
「失礼します……。あ、ルキさんですか?」
恐る恐るドアを開ける。
すり潰す音が響いている建物の中は棚いっぱいに薬が置いてあり、ユミルさんに言われた通りの人がカウンター横の椅子に座って薬草をすり鉢ですっていた。
(この人…何処かで見た事あるような……。思い出せない)
直ぐそこまで出ている気がするけど思い出せそうになかった。
「そうですよ?…もしかして、あなた達がユミルの言っていたジュン君とアオイちゃんとゼロ君?」
「はい。これがユミルさんからのお手紙です」
「届けてくれてありがとうございます。少し時間を貰えますか?ここの椅子で待っていてください」
ルキさんが奥の部屋に走って行くのを見届けてカウンター前にある椅子に座る。
直ぐに奥の部屋から戻って来たと思ったらお菓子と冷たいお茶を淹れて持って来てくれた。
再び奥の部屋に行ってしまったから小袋に入ったお菓子のせんべいを食べながらのんびり待っていた。




