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Star Dust-Drop-  作者: 鳥海水瀬
.9-風に吹かれて-
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-風に吹かれて-1

朝陽が差し込み、眩しくてたまらなくなり俺は目を開ける。

いつも側にいたゼロがいない時の静かな朝とは違い、何処から共なく叫び声が聞こえてきていた。

苦痛に歪む声。

泣き叫ぶ声。

高ぶった感情をぶつけるように叫ぶ声。

他にも奇声を発しながらモノを壊して回っているのか、ぶつかって砕け散る音もこの部屋まで聞こえていた。

今、起きてる現状に何が何だか分からず気になって窓から外を見てみると、直ぐ下の路地で身体の一部が赤く腫れている人。

何処にも異常がなさそうに見える人。

暴れて取り押さえられている人。

三人の男がそこにいた。

知り合いなのだろうか、暴れる男に向かって何度も名前を呼び続けていた。

周りを見渡してみると、暴れている人や身体が腫れている人はこの人達だけではなくて何人もいるようだった。

「みんなしてどうしたんだ?俺は至って普通に元気だけど…」

念の為に鏡で身体に腫れている場所が無いか見てみたけど、やっぱり俺に異常は見当たらない。

「アオイは大丈夫なのだろうか?」

この場にいないアオイが心配になり壁にかけていた服を手に取り、着替えてから玄関に向かって歩いていると直ぐ近くから外と同じように暴れる音や叫ぶ声が聞こえてきた。

声や音のする方に足を運ぶ。

「寝室…?こっち側ってナツキとハルトの部屋…?さっきまで聞こえてなかったのに…」

悪い事だとは思いながらも気になり、壁に耳を当てて息を殺す。

『ハル!?ねぇ、一体どうしたの?…僕が分かる?お願いだから暴れないで!』

ナツキの人叫び声が聞こえる。

暴れているのはハルトのようで、そのハルトを必死に止めようとしているナツキの声だった。

『……何を言っても僕が分からないのか。…ごめんね、ハル。今のままじゃハルが遠くに行ってしまいそうな気がする。…だから、原因が分かるまで縛らせてもらうよ』

再びモノを壊すように大きな音を立て、もがき苦しむ声が聞こえていた。

慌てて自分の部屋を飛び出して隣の部屋のドアを叩く。

「ナツキ?どうしたんだ!ナツキ!」

叩くのを止めると直ぐに扉は開いた。

ドアを開けるナツキの顔は少し疲れているようだった。

「おはよう、ジュン。ごめん…今日の修行はできそうにない……」

連れられるように部屋の奥へと向かう。

ナツキとハルトの寝室に向かうと、身体が動かないように傷だらけのベッドにハルトが風で縛りつけられていた。

縛りつける風を引き千切ろうと身体を捻るように暴れることを止めなかった。

「ハルが目を覚ましたのと同時に今の状態になってしまったんだ。僕にも何が何だか分からないよ…。ハルはどうしちゃったの…?」

今のハルトの状態は外で暴れていた人と同じだった。

額に手を当てて悩んでいるナツキの手や首をよく見ると赤く腫れていた。

本人はハルトの事でいっぱいいっぱいらしく気づいていないみたいだ。

「原因は分からないけどナツキも手と首が赤く腫れてるぞ?それに、外でも同じ事が起きているらしく帝都のみんなもハルトやナツキみたいに暴れてたり何処か腫れたりしてる。俺のように何もなってない人もいるみたいだけど」

「…あ、本当だ。気づかなかったよ。この腫れは何だろうね…。痛みも感じない…。こんな症状は僕も見た事が無いよ。それにハルの症状も。他の人達も同じって事は、帝都全体がパニックになっているね…」

「取り押さえるのも大変そうだったからな。……それに帝都がこの状態だとアオイ達も無事なのかも気になる。ちょっと心配だから様子を見て来るよ。それと、この原因と治療法が無いかも調べて来る」

「分かった。…僕も行けなくてごめんね。みんなをお願いするよ」

苦しむハルトを見てからナツキの部屋を飛び出し、寮を後にした。


上からじゃ気づかなかったけど下から見渡す帝都は滅茶苦茶になっていた。

暴れる人を取り押さえる人がいっぱいで壊れたモノが散乱しまくっている。

アオイが無事なのか不安で仕方なかった。

急いで女子寮に向かうと、扉の隅で怯えるように待ってるアオイがいた。

「アオイ!大丈夫か?」

呼ぶ声に気づくと半泣きになりながら走って服にしがみつくように俺に抱きついた。

「寮のみんながおかしくなったよ…。叫び声や暴れる音ばっかりで怖かった…」

「俺がいるからもう大丈夫だ。アオイはどうもなってないか?身体の何処かが腫れてるって事も無いか?」

「…何処も腫れてないよ?」

「それならよかった。ゼロも何もなければいいけど」

「…あれ?ハルちゃんとなっちゃんは?」

「……ああ。ハルトとナツキは周りの人達と同じ状態になってる。助ける為にも俺達で薬を探さないと…。そう言えば、治癒は使えないのか?」

「治癒は使えなかった…。使おうとしたら何かに邪魔されて弾かれちゃう…」

「それが結界とかでも無いのか?」

「そうかと思って壊そうとしてみたけど何も起きなかった…。魔法が効かないのかな?」

「治癒が使えないとなると、そうなのかもしれないな…。取り敢えず、気をつけながら帝都の影に向かおう」

暴れてる人からアオイを護りながらもギルマンシェを走る。

開いている店は殆どなくて窓ガラスが割れていたりと悲惨な状況だった。

お城に近い場所でもあるからかアルーナウェントの騎士が捕まえて縄で縛りつけると、大きな荷台に乗せて何処かに運んでいた。

既に荷台には何人も積み込まれてたようで気絶するように転がっていた。

いたたまれない気持ちにもなったけど、騎士のお陰で安全に帝都の影に向かう事ができた。


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