↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/65

第四十七話 粉塵爆発! 王太子殿下の甘い挑戦

また別の日。エテル様は、いつも側で自分を支えてくれる私に「何か形に残るものを贈りたい」と、全力で尽くす方法を考えていたようだった。

そして、甘いものが大好きな私のために、手作りのケーキを贈ろうと決意したのだという。

「完璧な比率で混ぜれば、失敗することはないはずだ!」

厨房に籠もったエテル様は、まるで国家機密の魔導書を解読するかのような凄まじい集中力で、小麦粉を計量し始めた。卵や牛乳と混ぜ合わせるまでは、騎士らしい正確な手つきで順調に進んでいた……。

しかし、事件は粉を振るう工程で起きた。

「もっと、効率よく……!」

せっかちな性格が災いしたのか、彼はボウルを激しく振りすぎてしまったのだ。一瞬にして厨房中の粉が空中に舞い上がり、視界を真っ白に染め上げる。

そこへ運悪く、加熱用の火の魔導具が反応してしまった。

ドーン!!

凄まじい爆発音と共に、白い粉煙が厨房の天井まで噴き上がる。鍋や食器がガラガラと音を立てて棚から転がり落ち、まるで小さな雪山でも崩れたかのような惨状だった。

「エテル様!? 大丈夫ですか……っ!?」

驚いて駆けつけた私の目に飛び込んできたのは、頭の先からつま先まで真っ白な粉まみれになったエテル様だった。金髪もまつ毛も粉で真っ白になり、まるでおじいちゃんのような姿で立ち尽くしている。

「……ディアナ、すまない。雪の妖精になろうとしたわけじゃないんだ……」

しょんぼりと項垂れるその姿があまりにも愛らしくて、私は思わず駆け寄って彼に抱きついた。

「ふふっ、大丈夫ですわ! 世界で一番可愛い妖精さんですこと!」

私の言葉に、エテル様は粉まみれの顔をさらに赤くして照れくさそうに笑った。

***

その後は、二人で並んでケーキ作りの続きをすることに。

「ほら、エテル様。混ぜる時は優しく、ですわよ」

「ああ、難しいな。剣を振る方がよっぽど楽だよ」

そんな会話をしながら、私の指についた生クリームをエテル様が不意に舐めとったり、出来栄えを確認するために「あーん」をし合ったり。

頬に粉をつけたまま見つめ合う、砂糖菓子のように甘い時間が流れていく。

「うん! とても美味しそうだ。……夕食後に、二人で食べようか?」

「ええ、もちろんですわ! いただくのが今から楽しみです!」

不格好だけれど、愛情がたっぷり詰まったデコレーションケーキ。

幸せを噛みしめる私たちの背後に、音もなく「断罪」の影が忍び寄っていることなど、この時の私たちはまだ知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。