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ビーストギア  作者: 時根脱才 
復活編

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第六章 第12話 二対二

第六章 第12話 二対二


「相変わらず甘いな」


女性ヒーローはそう言うと、キッドから視線を外した。


壁へ叩きつけられたアリアが、ゆっくりと身体を起こす。何も言わず、ただ女性ヒーローへ向き直った。


「お前……」


キッドは、見覚えのある姿を見つめた。


以前、突然現れ、自分の前で戦った女性ヒーロー。


なぜここにいるのか。何者なのか。


聞きたいことはいくつもある。


だが、今はそれより。


「待て! あいつは……!」


「敵だ」


迷いのない答えだった。


「それは分かってる! でも、サクラかもしれないだろ!」


女性ヒーローの動きが、一瞬だけ止まる。


キッドを見るが、何も答えない。


「もし操られてるだけだったら――」


「だったら、なおさらだ」


「何?」


「今のお前じゃ勝てない」


その言葉と同時に、アリアが飛び込んできた。


女性ヒーローも迷わず前へ出る。


「おい!」


キッドが追おうとした、その時。


低い音が響いた。


「っ!」


身体が前へ引かれる。


振り向けば、本来の身体を現したモズキャッチャーがこちらを狙っていた。


「自分の相手を見ろ!」


女性ヒーローの声が飛ぶ。


「分かってるよ!」


キッドはモズキャッチャーへ向き直った。


◇


アリアの拳を女性ヒーローがかわす。


続けて放たれた蹴りも避け、アリアの身体が前へ流れた瞬間、脇腹へ蹴りを叩き込んだ。


アリアが横へ飛ぶ。


だが、着地するとすぐに戻ってくる。


女性ヒーローには迷いがない。


攻撃をかわし、受け流し、隙が生まれれば必ず反撃する。


アリアをサクラだと思い、拳を止めていたキッドとはまるで違った。


「おい! ちょっと待てって! やりすぎだ!」


モズキャッチャーと戦いながら、キッドが叫ぶ。


「だから甘いと言ってる」


「サクラだったらどうすんだよ!」


女性ヒーローは答えない。


アリアの攻撃を受け流し、そのまま腹部へ蹴りを叩き込む。


「聞いてんのか!」


「余所見するな」


「え?」


低い音。


「しまっ――!」


モズキャッチャーの吸引に捕まり、キッドの身体が一気に引き寄せられた。


◇


「くっ!」


踏ん張ろうとするが、また重心を崩される。


モズキャッチャーが一気に距離を詰め、捕獲腕を伸ばした。


「またこれかよ!」


キッドは身体をひねり、どうにかかわす。


外装を失ったモズキャッチャーは速い。


その上、吸引能力まで残っている。


一対一に戻ったからといって、決して楽になったわけではない。


再び低い音が響く。


キッドは身構えた。


吸引。


身体が前へ引かれる。


「くそっ!」


踏ん張る。


足が滑る。


重心が崩れる。


そこで、キッドの表情が変わった。


「……待てよ」


また吸引が来る。


今度は踏ん張らない。


「だったら……!」


自分から前へ出た。


吸われる力に逆らわず、その勢いに合わせて加速する。


予想以上の速度で、一気に距離が縮まった。


モズキャッチャーが捕獲腕を伸ばす。


だが、キッドは真正面には残らない。


身体をひねり、横へ抜ける。


捕獲腕が空を切り、キッドはそのままモズキャッチャーの脇を通り過ぎた。


「そうか……真正面で踏ん張るから、崩されるんだ!」


攻略したわけではない。


超接近戦で組み合う技術も、キッドにはない。


それでも、何もできないわけではない。


吸引そのものを止められないのなら、逆らわずに利用すればいい。


キッドは再び構えた。


◇


その頃、少し離れた場所では最後のシロアリ怪人が倒れていた。


南浦が銃口を下げる。


「終わりか?」


川出が素早く周囲を確認した。


「動いている個体はいません!」


「やっと……」


東が息を吐く。


北山も周囲を見回した。


負傷者や一般人はすでに救助され、残ったCASHの隊員たちも状況を確認している。


だが、先ほどまで救助に動いていた二体の姿がない。


「……あれ?」


「どうしました?」


「アガトとユキは?」


川出も周囲を確認し、少しして答えた。


「もういませんね」


「いつの間に……」


ニシが肩をすくめる。


「救助終わったから帰ったんじゃねえのか?」


東は一瞬だけ呆れた顔をした。


「ほんと自由ね、あの子たち……」


だが、すぐに表情を引き締める。


遠くから、また大きな戦闘音が響いた。


「キッド!」


川出も反応する。


「まだ戦闘が続いてます!」


東は即座に指示を出した。


「動ける人は行くわよ!」


CASHが一斉に移動を始めた。


◇


アリアが踏み込む。


女性ヒーローは攻撃をぎりぎりでかわし、そのまま横へ回って背後を取ろうとする。


アリアもすぐに振り向いた。


女性ヒーローは攻め急がず、その動きをじっと観察する。


再びアリアが踏み込み、拳から蹴りへ繋ぐ。


女性ヒーローは受け流しながら、何かを確かめるように相手の動きを見続けていた。


そして、小さく呟く。


「見た目だけだな」


その声を、キッドは聞き逃さなかった。


「何?」


返事はない。


「今、何て言った!」


「自分の相手を見ろ!」


「だから気になること言うなって!」


直後、モズキャッチャーが迫る。


「うわっ!」


キッドは慌てて横へ避けた。


その間にも、女性ヒーローはアリアから目を離さない。


見た目は同じ。


だが、何かが違う。


そして彼女には、その違いが分かっているようだった。


◇


再び吸引が始まる。


だが、今度のキッドは逆らわない。


引かれる力に合わせて、自分から前へ出る。


一気に加速。


モズキャッチャーが捕獲腕を伸ばした。


「そこ!」


キッドは横へ抜け、そのまま自分で間合いを作り直す。


足を止める。


踏み込む。


腰を回す。


拳を叩き込んだ。


今度は深い。


モズキャッチャーの身体が大きく揺れる。


「よし!」


すぐに振り向いて追撃するが、外装を捨てたモズキャッチャーも速い。


攻撃をかわし、逆に反撃してくる。


「ぐっ!」


キッドが腕で受ける。


まだ互角ではない。


それでも、先ほどまでのように一方的に翻弄されてはいなかった。


◇


女性ヒーローの蹴りが、アリアを捉えた。


アリアが壁へ激突する。


その瞬間。


身体の表面が揺らいだ。


「……?」


キッドが気づく。


ほんの一瞬。


蜂でも、蝶でも、蟻でもない。


別の色。


別の輪郭。


だが、それはすぐにアリアの姿へ戻った。


「今の……」


女性ヒーローが踏み込む。


アリアも迎え撃つ。


「待て!」


キッドが叫んだ。


「今、あいつ……!」


「やっと見えたか」


「何が!」


女性ヒーローは答えない。


アリアの攻撃をかわし、そのまま強烈な蹴りを叩き込む。


再びアリアが吹き飛ぶ。


今度は、身体の表面が大きく乱れた。


「……まさか」


キッドの頭に、一体の怪人が浮かぶ。


鏡。


姿を写し取る能力。


人間にすら化けた怪人。


「ミラーカメレオン……?」


女性ヒーローが言った。


「やっと気づいたか」


◇


キッドは改めてアリアを見る。


「じゃあ……サクラじゃない?」


誰も答えない。


女性ヒーローも。


アリアも。


だが、目の前ではアリアの身体が再び揺らいでいる。


それだけで十分だった。


キッドの中で、何かが切り替わる。


さっきまで拳を止めていた。


サクラかもしれない。


傷つけたくない。


そう思っていた。


だが、目の前にいるものがサクラではないのなら。


「……だったら!」


アリアが女性ヒーローへ飛び込む。


その横からキッドが割って入った。


「はっ!」


拳を受け、アリアの身体が揺れる。


女性ヒーローが一瞬だけキッドを見る。


「やっとか」


「うるさい!」


キッドはすぐに離れる。


背後から低い音。


「来る!」


モズキャッチャーの吸引が始まり、キッドの身体が引かれる。


だが、横から女性ヒーローが蹴りを入れた。


モズキャッチャーの身体がずれ、吸引方向も外れる。


「今!」


キッドが横へ抜ける。


その女性ヒーローへアリアが迫った。


今度はキッドが割って入り、攻撃を止める。


二人が初めて、互いの相手を補い始めた。


◇


モズキャッチャーがキッドへ向かえば、女性ヒーローが横から牽制する。


アリアが女性ヒーローを狙えば、キッドが割って入る。


最初から息が合っていたわけではない。


戦いながら互いの動きを見て、必要な場所を補い、少しずつ連携を組み上げていく。


さっきまでのキッドとアリアの連携とは違う。


女性ヒーローが短く言った。


「右」


「分かってる!」


キッドが動く。


モズキャッチャーの吸引を女性ヒーローが崩し、キッドが拳を打ち込む。


そこへアリアが入ればキッドがかわし、空いた場所へ女性ヒーローの蹴りが飛ぶ。


四人の攻防が、一気に激しさを増していった。


◇


その頃、東たちは戦闘地点へ急いでいた。


先頭を走る川出が声を上げる。


「この先です!」


「状況は?」


「少なくとも敵は複数!」


「キッド一人?」


川出が一瞬だけ端末を確認した。


「いえ……もう一人います!」


「もう一人?」


東が眉をひそめる。


だが、確認している時間はない。


「急ぐわよ!」


◇


女性ヒーローの一撃が、アリアの胸へ入った。


強い衝撃に、アリアが大きく後退する。


身体の表面が、また乱れた。


だが、今度は戻らない。


「……!」


キッドが目を見開く。


蜂。


蝶。


蟻。


その姿が少しずつ崩れていく。


色が変わり、輪郭が歪み、その下から別の怪人が姿を現す。


キッドは、その姿を知っていた。


「やっぱり……」


鏡。


擬態。


他者の姿をコピーする怪人。


ただし、以前に戦った姿とも少し違う。


こちらも強化されている。


「ミラーカメレオン……!」


アリアの姿が完全に消えた。


そこに立っているのは、強化されたミラーカメレオン。


サクラではない。


アリアでもない。


最初から、別の怪人だった。


◇


キッドは強化ミラーカメレオンを睨み、拳を強く握った。


「ふざけやがって……」


女性ヒーローが横へ並ぶ。


「だから言っただろ」


「何が」


「甘いって」


「……あとで聞く!」


女性ヒーローが前を見る。


キッドも並んで構えた。


その前には、本来の身体を現した強化モズキャッチャー。


そして、アリアの擬態を捨てて正体を現した強化ミラーカメレオン。


対するのは、キッドと女性ヒーロー。


もう、誰が敵なのか迷う必要はない。


二体の怪人が構える。


二人のヒーローも、それぞれ構えを取った。


今度こそ、本当の二対二が始まった。

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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