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ビーストギア  作者: 時根脱才 
復活編

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第六章 第11話 効いていなかった

第六章 第11話 効いていなかった


「……サクラ?」


キッドは地面に片膝をついたまま、アリアを見上げていた。


返事はない。


さっきまで一緒に戦っていた。


自分を助け、モズキャッチャーを追い詰めるために何度も攻撃を合わせた。


それなのに今、アリアは明確にキッドへ向かって構えている。


その後ろでは、傷だらけになったモズキャッチャーが、ゆっくりと身体を起こしていた。


「何でだよ……さっきまで一緒に――」


言い終わる前に、アリアが動いた。


「っ!」


キッドは反射的に腕を上げ、攻撃を受け止める。


強い衝撃に身体が押し戻された。


「本気かよ……!」


アリアは止まらない。


続けて放たれた一撃をかわし、キッドも反撃しようと拳を握る。


打てる。


そう思った瞬間、拳が止まった。


「サクラ……」


もし本当にサクラなら、何か理由があるのかもしれない。


操られているのかもしれない。


ほんの一瞬生まれた迷い。


その隙を、アリアは見逃さなかった。


蹴りが腹部へ突き刺さる。


「ぐっ!」


身体が折れたところへ、さらに一撃。


キッドは地面を転がった。


「俺を……狙ってる?」


偶然ではない。


攻撃する相手を間違えたわけでもない。


アリアは明確な意思を持って、キッドを攻撃している。


◇


その時。


背後から、何かがひび割れるような音がした。


ミシッ。


キッドが振り返る。


モズキャッチャーの身体を覆う装甲。


先ほどまでキッドとアリアが何度も攻撃を叩き込んだ場所に、大きな亀裂が走っている。


再び音が鳴り、亀裂がさらに広がった。


それを見たキッドの表情が、わずかに明るくなる。


「やっぱり……効いてたんだ」


あれだけ攻撃した。


拳も、蹴りも、アリアとの連携も。


その積み重ねによって、モズキャッチャーはここまで傷ついた。


そう思った。


だが、次の瞬間。


肩を覆っていた硬い外皮が剥がれ、地面へ落ちた。


「……え?」


続いて胸。


腕。


背中。


身体を覆っていたものが、次々と剥がれ落ちていく。


「何……してる?」


キッドには一瞬、モズキャッチャーの身体そのものが崩れているように見えた。


だが、違う。


剥がれ落ちた外皮の下から、傷ついていない別の身体が現れている。


キッドの目が大きく見開かれた。


◇


最後の外装が地面へ落ちた。


そこに立っていたのは、先ほどまでとは姿の違うモズキャッチャーだった。


一回り細くなった身体。


だが、その表面には、ほとんど傷がない。


キッドは言葉を失った。


「……嘘だろ」


足元を見る。


自分が壊したものが、そこに転がっている。


ひび割れ。


拳で砕いた跡。


蹴りで破壊した部分。


自分が与えたと思っていたダメージのすべてが、本体ではなく地面へ落ちた外装に刻まれていた。


「待てよ……」


モズキャッチャーを見る。


もう一度、足元に散らばる外皮を見る。


「今まで俺が壊してたの……これだけ?」


ようやく理解した。


自分はモズキャッチャーを追い詰めてなどいなかった。


あと少しで倒せると思っていた。


違う。


自分たちが必死になって削っていたのは、外側を覆っていた厚い装甲だけ。


その奥にいる本体には、ほとんど攻撃が届いていなかった。


「そんな……」


キッドの拳が震える。


さっきまで確かに感じていた勝利への手応えが、一瞬で消え失せた。


◇


モズキャッチャーが一歩踏み出す。


キッドも慌てて構えた。


次の瞬間。


「速っ――」


視界から消えた。


そう錯覚するほど速い。


外装を失ったことで身体が軽くなり、先ほどまでとは明らかに動きが違っている。


気づいた時には、すでにキッドの横。


「しまっ――!」


とっさに腕で受ける。


衝撃。


キッドの身体が吹き飛ばされた。


「ぐっ!」


どうにか着地して顔を上げる。


だが、もう目の前まで来ている。


「冗談だろ!」


慌てて後ろへ跳ぶ。


厚い外装をまとっていた時とは、まるで違う。


防御のための重さを捨てたことで、今度は速度まで手に入れている。


◇


キッドは大きく距離を取った。


「でも……」


外装が落ちた。


なら、あの吸引も。


一瞬だけ期待する。


その直後。


低い音が響いた。


「……!」


身体が前へ引かれる。


「それも残ってんのかよ!」


吸引能力は消えていない。


重心を崩されたキッドへ、横からアリアが迫る。


「っ!」


腕で受ける。


だが、モズキャッチャーへ引っ張られているため、足元が定まらない。


アリアの一撃に押し切られ、身体が横へ飛ばされる。


そこへ、今度はモズキャッチャー。


「ぐあっ!」


着地する暇すら与えられず、再び吹き飛ばされた。


◇


キッドは地面へ手をつき、荒い息を吐いた。


「ちょっと待てよ……」


頭の中で状況を整理する。


自分は、すでに何度も攻撃を受けている。


体力もかなり削られた。


それなのに、モズキャッチャーの本体にはほとんど傷がない。


アリアも、ほぼ消耗していない。


二対一。


しかも、まともに傷ついているのは自分だけ。


「……最悪じゃねえか」


それでも立ち上がり、アリアを見る。


「サクラ! 何があったんだよ!」


返事はない。


「操られてるのか?」


アリアは無言のまま踏み込んでくる。


キッドは攻撃をかわし、反撃できる体勢に入った。


それでも、拳が止まる。


「くそっ……!」


その迷いを狙うように、モズキャッチャーが吸引を始めた。


「うわっ!」


強制的に引き込まれ、そのまま捕獲腕に掴まれる。


「離せ!」


モズキャッチャーはキッドを大きく振り回し、地面へ叩きつけた。


「ぐあっ!」


身体が跳ねる。


痛みで息が詰まった。


◇


少し離れた場所では、CASHが残ったシロアリ怪人を相手に戦い続けていた。


「あと何体!」


東が叫ぶ。


川出が周囲を確認する。


「前方三! 右に二!」


「さっさと片づけるわよ!」


南浦が撃つ。


一発で一体が倒れる。


北山が前へ出て注意を引き、ニシが横から回り込む。


その時、掃除機機能付きの個体から低い音が響いた。


「吸引来ます!」


川出の声と同時に全員が位置を変える。


すでに対応方法は分かっている。


以前のように戦線を崩されることはない。


それでも数が多く、すべてを片づけるには時間がかかる。


その時。


遠くから大きな衝撃音が響いた。


東が振り返る。


「……キッド?」


さらに、もう一度。


東の表情が険しくなる。


「急いで!」


「分かってる!」


南浦が叫ぶ。


CASHにも、まだキッドの援護へ向かう余裕はなかった。


◇


キッドは再び立ち上がった。


「サクラ!」


返事はない。


「俺だぞ! 何か言えよ!」


アリアは何も答えず、踏み込んでくる。


キッドが攻撃を受け止める。


そこへモズキャッチャーの吸引。


重心が崩れたところへ、アリアの蹴りが入った。


「ぐっ!」


身体が横へ流れる。


続けてモズキャッチャーが迫る。


キッドは反射的に拳を放つが、吸引によって間合いを潰され、威力が乗らない。


「またか!」


直後に反撃を受け、吹き飛ばされた。


それでも起き上がる。


またアリアが来る。


「くそっ!」


防御。


反撃しようとして、やはり止まる。


「サクラなんだろ……?」


アリアは、何も答えない。


◇


その時。


キッドの中に、小さな違和感が生まれた。


何も喋らない。


一度も。


自分を助けた時も、一緒に戦った時も、名前を呼んだ時も。


そして、今も。


ただ黙ったまま、こちらの動きに合わせている。


「……待て」


キッドの表情が変わる。


改めて、目の前のアリアを見る。


サクラ。


本当に、そうなのか?


頭に浮かんだのは、別の人間の姿を写し取る怪人。


そして今回、大量に盗まれていた鏡。


「……まさか」


アリアがキッドを見る。


キッドの目が細くなった。


「お前……」


その瞬間。


アリアが一気に間合いを詰める。


「っ!」


強烈な一撃。


キッドの身体が大きく吹き飛ばされた。


◇


地面を転がる。


今度は、すぐには起き上がれなかった。


「ぐ……」


腕をつき、どうにか身体を起こそうとする。


足に力が入らない。


それでも立つ。


「まだ……」


前には、本来の身体を現したモズキャッチャー。


横には、無言のアリア。


二体を相手に、逃げ道はない。


CASHも来ない。


キッドは拳を握った。


「……最悪だな」


荒い呼吸を整える。


足が震えている。


それでも構えた。


「でも……まだ終わってねえ」


二体が同時に動く。


キッドも迎え撃とうと踏み込んだ。


その瞬間。


横から何者かが飛び込んでくる。


強烈な蹴り。


「――!」


アリアの身体が大きく吹き飛び、壁へ激突した。


キッドが目を見開く。


「……え?」


新たな人影が、キッドと二体の怪人の間へ着地した。


見覚えがある。


以前、突然現れ、キッドの前で戦った女性ヒーロー。


彼女は吹き飛ばしたアリアを一度確認すると、キッドへ顔を向けた。


「相変わらず甘いな」


キッドは何も言えず、ただその姿を見つめていた。

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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