↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビーストギア  作者: 時根脱才 
アリア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/117

閑話③ 同じメモリー、違う怪人

閑話③ 同じメモリー、違う怪人


『次、絶対やばいことになる』


 その予想は、数秒もしないうちに現実になった。


『ふざけんな……!』


 キッドが地面を蹴る。


 一気に距離を詰めると、黒い影へカンガルーの力を乗せた拳を叩き込んだ。


『行った!』


『完全にブチ切れてる』


『黒いの押されたぞ』


『キッド強っ』


 黒い影が腕で受ける。


 だが、キッドは止まらない。


 ノミの脚力で一気に横へ回り込み、拳を放つ。かわされた先へヒクイドリの一撃を重ね、さらにカンガルーの突き。


『怒ってるキッド強くない?』


『でも、なんか雑じゃね?』


『分かる』


『サクラ(仮)と戦ってた時と全然違う』


『強いけど、相手見てない感じする』


 その時、離れた場所から声が飛んだ。


『キッド! 怒りに身を任せるな!』


『謎ヒーロー来た』


『また保護者やってる』


『言ってることは正しい』


『キッド聞いてねえぞ』


『今は、こいつをぶっ飛ばす!』


『やっぱ聞いてない』


 キッドはさらに攻める。


 黒い影は何度か攻撃を受け流した末、大きく距離を取った。


『なるほど』


『このままじゃ、少し分が悪いか』


『黒いの認めた』


『キッド押してるじゃん』


 黒い影が腰へ手を伸ばす。


『じゃあ、こっちも対等に戦おうか』


 その手に握られたものを見て、コメント欄の流れが変わった。


『え』


『待って』


『それメモリー!?』


『黒い方も持ってるの!?』


『キッド専用じゃなかったのか?』


 黒い影がメモリーを自らの装置へ差し込む。


 蓋が閉じた。


 次の瞬間、その姿が大きく変わった。


 背中から広がる巨大な翼。


 猛禽類を思わせる頭部。


 腕と脚には鋭い鉤爪。


 先ほどまで人型だった黒い影が、ワシを思わせる鳥型の怪人へと変貌していく。


『……え?』


『鳥になった』


『ワシ?』


 キッドの声も重なった。


『……ワシ?』


『やっぱワシだ』


『同じメモリー使ってるよな?』


『でも変わり方が全然違わない?』


『キッドは動物の能力を装備してる感じなのに』


『黒い方、普通に鳥型怪人になったぞ』


『同じメモリーなのに何で?』


『装置が違う?』


『使ってる奴が違うから?』


『そもそも黒いの人間なの?』


 同じように見えるメモリー。


 それなのに、現れた姿はまるで違う。


 視聴者たちの間に、新たな疑問が一気に広がっていった。


     ◇


『そのメモリー……』


 キッドの声が低くなる。


『お前が盗んだのか』


『盗んだ?』


『何の話?』


『キッドのメモリー盗まれてたの?』


『ワシ持ってたってこと?』


『じゃあ黒い奴が持ってるの、キッドのやつ?』


 黒い怪人が首を傾げる。


『何の話だ?』


『とぼけんな!』


『知らないな』


『絶対怪しい』


『いや、本当に知らない可能性もあるだろ』


『同じワシのメモリーが複数あるとか』


『そもそも誰が作ってんだよ、メモリー』


『そこから分かってないんだよな』


 キッドが飛び込む。


 だが。


『遅い』


 黒いワシ怪人が、一気に上空へ舞い上がった。


『速っ!』


『飛んだ』


『完全に空中戦タイプだ』


 キッドもノミの力で跳躍する。


 届かない。


 黒い怪人は空中で軌道を変え、キッドの背後へ回り込む。


 鉤爪。


 キッドの身体が地面へ叩き落とされた。


『うわっ』


『空中だと黒い方が強い』


『キッド追えてないぞ』


 そこで。


『……鬼ヤンマは?』


『あ』


『そうじゃん』


『キッド鬼ヤンマ持ってたよな?』


『前に飛んでたじゃん』


『使えよ!』


 視聴者が次々と書き込む。


 だが、キッドは再びノミの力で跳んだ。


『いや何でまた跳ぶんだよ』


『鬼ヤンマ!』


『思い出せ!』


 謎のヒーローも叫ぶ。


『相手に合わせろ!』


『分かってる!』


『分かってない!』


『メモリーを使え!』


『うるせぇ!』


『…………』


『視聴者と謎ヒーローが同じこと言ってる』


『笑えないぞこれ』


『マジで冷静じゃない』


『サクラ(仮)と戦ってた時と別人だろ』


     ◇


 ワシ怪人の鉤爪が、キッドの肩をかすめる。


 キッドは怒りのまま拳を振るう。


 当たらない。


『返せ!』


『だから知らないと言っている』


『だったら何で持ってんだよ!』


『完全に頭に血上ってる』


『黒いのの話聞いてないじゃん』


『まあ黒いのも信用できないけど』


 そして。


 最初に異変へ気づいたのは、一人の視聴者だった。


『待って』


『何?』


『キッドの頭、あんな形だった?』


『……ん?』


 ヒクイドリを思わせる頭部。


 だが、さっきまでとは違う。


 装甲の意匠だったはずのものが、まるで生き物そのものへ近づくように変わり始めている。


『腕もでかくなってない?』


『脚も変』


『何これ』


『新形態?』


『パワーアップ?』


 戦いが続く。


 それと同時に、変化も止まらない。


 腕にはカンガルーの特徴が強く現れ、脚はノミを思わせる異形へと変わっていく。


『いや』


『これパワーアップじゃなくない?』


『キッド、怪人っぽくなってない?』


『……待て』


『さっきの黒い奴と似てない?』


『え?』


『黒い方もメモリー入れたら動物そのものみたいになっただろ』


『キッドもそうなってきてる』


『じゃあ同じじゃん』


『何が違うんだよ』


 ついさっきまで。


 キッドと黒い怪人は、違う存在に見えていた。


 同じメモリーを使っていても、片方はヒーローで、片方は怪人。


 そう思っていた。


 けれど。


 画面の中のキッドは、少しずつその境界を失っていく。


『いけない!』


 謎のヒーローの声が響いた。


『メモリーに飲まれる!』


『メモリーに飲まれる!?』


『何それ』


『初耳なんだけど』


『メモリー危険なの?』


『使いすぎると怪人になるってこと?』


『いや、怒ってるのが関係あるんじゃない?』


『じゃあ黒い方は最初から飲まれてるの?』


『装置の違いじゃね?』


『分からん』


『待って』


『じゃあサクラ(仮)は?』


 その一言で、コメントの流れがまた変わった。


『気づいたら怪人になってたって言ってたよな』


『人間が怪人になること自体はあり得る?』


『じゃあ今までの怪人も元人間なんじゃ……』


『まだ決めつけるな』


『でも今、キッドが目の前で怪人になってるぞ』


『これ笑えないやつだ』


     ◇


『随分、醜くなったな』


 黒いワシ怪人が笑う。


『煽るな!』


『今それ言うな!』


『こいつ性格悪すぎだろ』


『黙れ!』


 キッドが飛びかかる。


 異形化は、さらに進んだ。


 ヒクイドリの頭。


 カンガルーの腕。


 ノミの脚。


 いつものヒーローらしい輪郭が、急速に崩れていく。


『やばい』


『もう怪人じゃん』


『止めろ!』


『謎ヒーロー何とかして!』


『止まれ、キッド!』


 その声すら届かない。


 あと少し。


 完全に別の何かになろうとした、その時。


『サクラがお前のそんな姿を望んでるか!』


『!?!?!?』


『今』


『サクラって言った!?』


『誰!?』


『あの空手の人!』


『RPGパーティーの格闘家だ!』


『なんでサクラの名前知ってるの!?』


『サクラ(仮)本当にサクラだったの?』


『キッドだけじゃなくこの人も知ってる?』


『待って』


『キッド』


『サクラ(仮)』


『空手の隊員』


『全員空手じゃん』


『元同門説マジだった?』


『同じ道場とか?』


 コメントが一気に流れる。


 だが、画面の中のキッドは止まっていた。


『……効いた?』


『キッド止まったぞ』


 異形になっていた腕から、少しずつ変化が引いていく。


 脚も。


 頭も。


 徐々に元の姿を取り戻していった。


『戻ってる!』


『サクラの名前で戻った』


『何なんだこの関係』


『サクラ(仮)重要人物すぎる』


『あの空手の人マジで何者なんだよ』


     ◇


 元の姿へ戻ったキッドを見て、黒いワシ怪人が鼻で笑った。


『結局、お前だって怪人じゃねえか』


『…………』


『違う』


 キッドが攻撃をかわす。


『俺は怪人じゃねえ』


 身体を入れ替え、拳を返す。


『俺は――』


 カンガルーの突きが、黒い怪人を大きく押し返した。


『お前ら怪人の敵だ!』


『キッド!!!』


『戻った!』


『言い切った!』


『でもさっきの姿は何だったんだ』


『今はそれ考えてる場合じゃない』


『いや、あとで絶対考えろ』


 黒いワシ怪人が再び上空へ舞い上がる。


 今度は、キッドがすぐには追わなかった。


『お』


『止まった』


『考えてる?』


 空を見る。


 自分のベルトを見る。


 そして。


『そっちが飛ぶなら』


 一本のメモリーを取り出す。


『こっちも飛べばいいだけだろ』


『鬼ヤンマ!!!』


『やっと思い出したあああ!』


『俺らさっきから言ってたぞw』


『視聴者の声届いた?』


『届いてないだろw』


『冷静になるって大事だな』


 鬼ヤンマの力が加わる。


 キッドの身体が空へ上がった。


『飛んだ!』


『今度は追えてる!』


『ワシVS鬼ヤンマ』


『猛禽類VS昆虫』


『字面だけ見ると勝負になるのかこれ』


『鬼ヤンマ、飛行性能かなり高いぞ』


『急旋回強いから空中戦向き』


『また生物詳しい人いるw』


 黒い怪人が旋回する。


 キッドも追う。


 急降下。


 上昇。


 方向転換。


 今度は引き離されない。


『さっきと全然違う』


『普通についていってる』


『やっぱキッドが弱かったんじゃないんだ』


『怒りすぎて使えるメモリー使ってなかっただけか』


『メンタル大事すぎる』


     ◇


 空中で何度も交差する。


 少しずつ、キッドが押し返し始める。


『いける!』


『黒いの余裕なくなってきた』


『さっきまでと逆だ』


 キッドの拳が入る。


 黒いワシ怪人が大きく弾かれた。


 そして。


『……ちっ』


『?』


 黒い怪人の動きが止まる。


『……時間切れか』


『は?』


『時間切れ?』


『何の!?』


『ワシメモリーの時間?』


『変身時間?』


『黒い奴そのものに制限ある?』


『説明してくれ!』


 だが、黒い怪人は何も説明しない。


『今日はここまでだ』


『は?』


『また会おう』


『逃げた!』


『待て!』


『時間切れの意味だけ言ってけ!』


『謎増やして帰るな!』


 黒い怪人はそのまま距離を取り、やがて画面から姿を消した。


     ◇


『終わった……』


『今日長かった』


『情報量多すぎ』


『疲れた』


『見るだけで疲れる配信って何だよ』


 キッドが地上へ降りる。


 その時、一つのコメントが流れた。


『サクラ(仮)は?』


『あ』


『そうだ』


 キッドも思い出したように振り返る。


『サクラ!』


 走る。


 だが。


『……え?』


『いない』


『待って』


『ここだよな?』


『さっきここに倒れてたよな?』


『誰か運んだ?』


『そんな映像あった?』


『ない』


 さらに。


『あれ』


『何?』


『謎ヒーローもいなくね?』


『……本当だ』


『いつ消えた!?』


『サクラ(仮)と一緒?』


『謎ヒーローが連れてった?』


『証拠ないだろ』


『今日何個謎増えるんだよ』


     ◇


 戦いが終わっても、コメント欄は止まらなかった。


『今日分かったことまとめるぞ』


『頼む』


『黒い奴もメモリーを使う』


『でもキッドと違って鳥型怪人になった』


『キッドも怒ると動物そのものみたいになって怪人化する』


『メモリーに飲まれるとかいう現象がある』


『サクラ(仮)は元人間っぽい』


『RPGパーティーの空手の人がサクラの名前知ってる』


『黒い奴には時間切れがある』


『サクラ(仮)と謎ヒーローが消えた』


『あと警察にRPGパーティーがいる』


『それだけ情報の種類違うだろw』


『いや大事だろ』


『で』


『結局さ』


『同じメモリー使ってるのに』


『キッドと黒い奴、何が違うんだ?』


『…………』


『情報増えたのに前より分からなくなった』


『倍くらい謎増えてる』


『倍で済んでる?』


 そして。


 最後に、一つのコメントが流れた。


『誰か一回、最初から説明してくれ』


※本作は、作者とChatGPT(AI)による合作作品です。物語の企画・原案・世界観・キャラクター設定・物語構成・展開の方向性など、作品の根幹となる部分は作者が制作しています。それらの原案や設定、作者との相談・修正・指示をもとに、ChatGPTが文章化、表現の調整、推敲などを担当しています。作者とAIが互いに案を出し、検討と修正を重ねながら、一つの物語として完成させています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。