閑話② 人類側も参戦?
閑話② 人類側も参戦?
『こいつら共闘すんの?』
その疑問への答えは、すぐに出た。
白蟻の群れが押し寄せる。
キッドとサクラ(仮)は、言葉を交わすより早く同時に動いた。
キッドが一体を殴り飛ばす。その背後へ回り込んだ白蟻を、サクラ(仮)が蹴り倒した。
今度はサクラ(仮)の横から迫った一体へ、キッドの拳が飛ぶ。
『共闘したああああ!』
『マジで組んだぞ』
『さっきまで殴り合ってたよな!?』
『切り替え早すぎるw』
『敵の敵は味方理論』
『ていうか連携良すぎない?』
『だから何でそんな息合ってんだよ』
『即席コンビの動きじゃないだろこれ』
だが、白蟻は減らない。
一体倒せば、その後ろからまた一体。さらにその後ろからも押し寄せてくる。
『多すぎない?』
『何匹いるんだよ』
『二人でも押されてきたぞ』
そこで、サクラ(仮)が叫んだ。
『だったら、さっさと使え!』
『何を?』
『持ってるんだろ!』
『……あ』
『あ、じゃねえよw』
『忘れてたのか!?』
キッドがメモリーへ手を伸ばす。
まずは脚。
『ノミ!』
『ノミきた』
『脚は分かる』
『跳躍力だな』
『高速移動にも使えるのか』
続いて、もう一つ。
今度は頭部。
『ヒクイドリ!』
『…………』
『頭?』
『なんで頭にヒクイドリ?』
『ヒクイドリって脚じゃないの?』
『いや足もうノミだけど』
『そういう問題か?』
そしてサクラ(仮)が、視聴者全員の疑問を代弁する。
『足は分かる』
『うん』
『頭は?』
『格好いいだろ』
『wwwwww』
『理由それだけかよ!』
『サクラ(仮)と同じこと思った』
『やっぱ本人が格好いいと思ってたw』
『こんな時に何考えてんだよ』
『でもちょっと分かる』
『分かるな』
『こんな時に、まだそんなことを考えてるのか』
『大事だろ』
『格好いいとか、そういう問題じゃないだろう!』
『完全にツッコミ役w』
『仲良すぎだろ』
白蟻が迫る。
キッドが地面を蹴った。
その瞬間、速度が一気に跳ね上がる。
『速っ!』
『ノミすげえ』
『白蟻の間走り抜けてるぞ』
蹴りで一体。
その勢いのまま二体目。
正面から飛び込んできた白蟻には、頭部から強烈な一撃を叩き込む。
『うわ』
『ヒクイドリ強っ』
『普通に吹っ飛んだ』
『格好いいだけじゃなかった』
『キッド今絶対ドヤってる』
直後。
『ほら、格好いいだろ!』
『言ったwww』
『だから戦えw』
『サクラ(仮)大変そう』
◇
それでも白蟻は押し寄せる。
キッドが左右から来た二体を捌こうとした、その時。
頭上を大きな影が横切った。
『ん?』
『上』
『サクラ(仮)!』
翼が広がる。
サクラ(仮)の身体が一気に宙へ舞い上がった。
『飛んだああああ!!』
『やっぱ飛べるんじゃねえか!』
『さっき何で飛ばなかったんだよ!』
『空手縛り確定じゃん』
『本当に能力使ってなかったのか』
上空で身体を翻し、そのまま急降下する。
勢いを乗せた拳が白蟻を捉えた。
同時に、毒針が直接突き刺さる。
『今の何?』
『針刺した?』
『蜂の毒針か』
『飛ばすんじゃなくて直接刺すのか』
『急降下→パンチ→毒針とか怖すぎる』
『空手に蜂の毒針足すなw』
白蟻が崩れ落ちる。
サクラ(仮)はそのまま再び上空へ。
『これさ』
『何』
『さっきの一騎打ちで使ってなかったんだよな?』
『そうなる』
『キッドよく生きてたな』
『いやキッドもメモリー使ってなかった』
『お互い能力なしでやってたのか』
『何でそんな暗黙の了解成立してんだよ』
今度は、キッドの背後へ白蟻が回る。
視聴者が書き込むより先に、サクラ(仮)が急降下した。
拳。
そして毒針。
白蟻が倒れる。
『サクラ(仮)がキッドの後ろ全部見てる』
『地上担当と空中担当になった』
『キッドも降りてくる場所ちゃんと空けてる』
『即席コンビじゃねえよこれ』
『もう仲間でいいだろ』
『サンキュー!』
『借りだ!』
『また数えてる!』
『まだ勝負継続扱いなの!?』
『白蟻倒しながらポイント制にすんなw』
『共闘中なのに一騎打ち終わってないの草』
◇
その時。
映像の端に、別の人影が映り込んだ。
『待って』
『誰?』
『人間?』
『警察っぽくない?』
『武器持ってるぞ』
一人ではない。
数人の人間が、そのまま白蟻へ向かっていく。
『え』
『まさか』
『人間側も戦うの?』
『ついに警察も参戦!?』
『対怪人部隊できたのか!?』
先頭の女性が、細身の剣を構えた。
『剣?』
『レイピア!?』
『何でレイピアなんだよ』
別の男は、小手とレガースを装着したまま白蟻へ踏み込む。
拳。
蹴り。
『こっちは空手!?』
『また空手増えたぞ』
『今日空手多くない?』
さらに、銃剣のような武器を扱う男。
遠距離から狙撃する男。
そして――。
明らかに一人だけ体格の違う男が、白蟻へ突っ込んだ。
『あいつ何!?』
『でかっ』
『パワードスーツ?』
『白蟻掴んだぞ』
『投げたああああ!?』
『プロレス始まったwww』
しばらく各自の戦い方を見ていたコメント欄だったが、やがて誰かが気づいた。
『ちょっと待て』
『何』
『装備バラバラすぎない?』
『剣』
『空手』
『銃』
『狙撃』
『レスラー』
『RPGのパーティーじゃねえか』
『wwwww』
『完全にRPGパーティー』
『剣士、格闘家、ガンナー、スナイパー、タンク』
『職業バラバラすぎる』
『武器統一する気ゼロw』
『一人だけ白蟻投げてんの何なんだよ』
『タンク兼戦士だろ』
『パーティーバランスだけは良くて草』
ところが、笑っていたコメント欄も少しずつ変わっていく。
レイピアの女性が指示を飛ばす。
空手の男が白蟻の態勢を崩す。
そこへパワードスーツの男が入り、投げる。
倒れた白蟻へ銃撃。
死角から迫る個体は、遠距離からの狙撃が止める。
『……あれ?』
『普通に連携してない?』
『バラバラなのに噛み合ってる』
『役割分担できてるぞ』
『見た目RPGなのに強い』
『人間でも白蟻なら戦えるんだ』
『ついに人類側にも戦力できたのか』
配信を見ている誰も、彼らの名前も部隊名も知らない。
それでも。
人間が、人間の姿のまま怪人と戦っている。
その事実だけで、コメント欄の熱は一段上がった。
◇
一方。
キッドたちの前には、まだ白蟻が残っていた。
『数多すぎ』
『さすがにきついか』
『RPGパーティー頑張れ』
『もう名称それで固定なの?』
そこへ。
また一人、戦場へ現れた。
『あ』
『こいつ!』
『前にもいた奴だ!』
『キッド助けてた謎の人』
『また出たよ』
『本当に誰なんだよ』
謎のヒーローが、何かをキッドへ投げる。
『使え!』
『何投げた?』
『メモリーじゃね?』
キッドが受け取った。
『カンガルー?』
コメント欄も、まったく同じところで止まる。
『カンガルー?』
『脚だろ』
『でも脚もうノミじゃん』
『交換するの?』
『二番に入れろって言ってる』
キッドが指示通りセットする。
変化したのは――腕だった。
『……そっち?』
『手!?』
『カンガルーでパンチ!?』
『蹴りじゃないの!?』
白蟻が迫る。
キッドが拳を引き、真正面から突きを放った。
一体。
その後ろにいた二体までまとめて吹き飛ぶ。
『うわあああ』
『強っ!?』
『パンチで三体飛んだぞ』
『カンガルーってそんなパンチ強いの?』
『カンガルーの前肢、普通に強いぞ』
『詳しい人来た』
『蹴りのイメージしかない』
『後ろ脚が有名すぎるだけ。上半身もかなり発達してる』
『前肢で相手を掴んだり殴ったりもする』
『爪もあるしな』
『あと尻尾もめちゃくちゃ強い』
『尻尾?』
『身体を支えられるくらい発達してる。蹴る時の支点にもなる』
『まともに食らったら人間なんか普通に吹っ飛ぶぞ』
『マジかよ』
『またビーストギアで動物知識増えた』
『カンガルー舐めてたわ』
そこへ、キッド本人の声が重なった。
『カンガルーって……こんなパンチすんの?』
『本人知らなかったwww』
『お前も知らないのかよ!』
『解説ニキ以下で草』
『後で調べろ』
『謎ヒーロー正論w』
『後で調べろwww』
『使わせる前に教えてやれよ』
◇
カンガルーが加わると、戦況は一気に変わった。
ノミで詰める。
カンガルーで突く。
ヒクイドリで打つ。
上空からは、サクラ(仮)が急降下して拳と毒針。
別方向では、人間側の部隊が白蟻を確実に減らしていく。
『いけるぞ!』
『白蟻減ってる!』
『今日味方多いな!』
『キッド+サクラ(仮)+RPGパーティー』
『字面ひどすぎるw』
『でも普通に強い』
『今日の戦力充実しすぎ』
最後の一体。
キッドの突きで白蟻の身体が浮く。
すでに上空にはサクラ(仮)。
急降下。
拳。
毒針。
白蟻が地面へ落ちた。
『勝った!』
『終わったあああ!』
『サクラ(仮)ナイス!』
『完全に味方扱いされてるw』
『RPGパーティーもやるじゃん』
『人間側すげえ』
ようやく終わった。
誰もが、そう思った。
だが。
◇
サクラ(仮)がキッドへ向き直る。
『もう全部さらした』
『今度は全力でいく』
『え』
『まだやるの!?』
『忘れてなかったw』
『白蟻戦は休憩扱いなの?』
『能力ありで第二ラウンド!?』
『さっきより危ないだろ』
キッドも構えた。
『いいよ。受けてやる』
『お前も乗るなw』
『誰か止めろ』
『RPGパーティー止めてくれ』
だが、誰も止めない。
サクラ(仮)が飛ぶ。
キッドが地面を蹴る。
今度は、互いに力を隠さない。
『うわ速っ』
『さっきと別物じゃん』
『毒針怖すぎ』
『キッドのパンチも当たったらやばいだろ』
『これ本当に大丈夫か?』
何度も、紙一重の攻防が続く。
『危なっ!』
『お前、殺す気か!』
『そもそも真剣勝負だろう』
『……あ』
『そりゃそうか』
『納得すんなw』
『いや笑えないぞ』
『本当に当てにいってる』
やがて、二人が距離を取った。
『次で決めるか』
『望むところだ』
『来るぞ』
『今度こそ決着』
『どっちだ』
二人が同時に動く。
キッドの拳。
サクラ(仮)の攻撃。
その瞬間。
サクラ(仮)が止まった。
『え?』
『今』
『避けなかった?』
『サクラ(仮)止まったぞ』
キッドの拳も、胸元の寸前で止まる。
『キッドも止めた』
『何が起きた』
『今わざと当たりにいった?』
『……なぜ』
『なぜじゃねえよ』
『お前、今わざと受けに来ただろ』
『ふざけんなよ』
コメント欄から、少しずつ冗談が消えていった。
『やっぱわざとだった?』
『何で?』
『何かおかしい』
サクラ(仮)が話し始める。
気づいた時には、この身体だった。
どうしてこうなったのかも分からない。
この先、もっと怪人になっていくのか。
自分が自分でなくなるのか。
そして。
『もし、このまま取り返しのつかないものになるなら』
『お前に止めてほしかった』
コメントの流れが、明らかに遅くなった。
『…………』
『え』
『これ』
『本当に元人間なの?』
『さっきの考察当たってた?』
『気づいたらこの身体って』
『笑えなくなってきた』
『だから呼んだ』
『最後に戦うなら、お前がよかった』
『果たし状って言ってた奴いたよな』
『マジだったの?』
『あのコメント当たりだったのかよ』
『これ、そういう一騎打ちだったのか……』
キッドは、サクラ(仮)の願いを拒んだ。
『嫌だ』
『勝手に決めんな』
『怪人になったら終わりって、誰が決めたんだよ』
『キッド……』
『そうだよ』
『まだ決まってない』
『助ける方法探せ』
キッドが、心当たりがあると話す。
完全に人間へ戻せる保証はない。
それでも、何かできるかもしれない。
『だから、一緒に来いよ』
画面の中。
キッドが手を差し出す。
『行け』
『手取れ』
『頼む』
『サクラ(仮)』
『助かってくれ』
サクラ(仮)の手が、ゆっくりと伸びていく。
『あと少し』
『いけ』
『そのまま』
互いの指が触れようとした。
その瞬間。
黒い影が画面を横切った。
『!?!?!?』
『え』
『何』
轟音。
サクラ(仮)の身体が宙を舞った。
『サクラ(仮)!!!』
『何だ今の!?』
『誰!?』
『どこから来た!?』
『大丈夫か!?』
地面へ叩きつけられたサクラ(仮)が動かない。
その近くに、黒い何かが立っていた。
『何だこいつ』
『また新しい怪人?』
『黒い』
『キッドにちょっと似てない?』
『でも雰囲気やばいぞ』
黒い影が、倒れたサクラ(仮)を見下ろす。
『敵にわざわざ予告して』
『そのうえ、自分から殺されに行く』
『は?』
『こいつ事情知ってる?』
『サクラ(仮)の仲間?』
『完全な失敗作だな』
『…………』
『失敗作?』
『何言ってんだこいつ』
『サクラ(仮)のこと知ってるのか?』
キッドの声が低くなる。
『……お前』
黒い影は、さらに続けた。
『こんなものを助けるつもりだったのか?』
『人間でもない』
『怪人にもなりきれない』
『そんなものを生きながらえさせて、どうする?』
コメント欄が、一気に荒れた。
『は?』
『ふざけんな』
『こいつ何様だよ』
『サクラ(仮)をもの扱いすんな』
『失敗作って何なんだよ』
『誰が作ったって話だよそれ』
『待て』
『今の言い方』
『作られたってこと?』
キッドの拳が、ゆっくりと握られていく。
『……取り消せ』
『おい』
『キッドやばい』
『声が違う』
『何を?』
『今言ったことだよ』
黒い影が笑った。
『事実だろ』
その瞬間。
キッドの空気が変わった。
『ふざけんな……!』
『…………』
『これ』
『マジで怒ってる』
『黒いの逃げた方がいい』
『いや逃げないだろ』
最後に、一つのコメントが流れた。
『次、絶対やばいことになる』
※本作は、作者とChatGPT(AI)による合作作品です。物語の企画・原案・世界観・キャラクター設定・物語構成・展開の方向性など、作品の根幹となる部分は作者が制作しています。それらの原案や設定、作者との相談・修正・指示をもとに、ChatGPTが文章化、表現の調整、推敲などを担当しています。作者とAIが互いに案を出し、検討と修正を重ねながら、一つの物語として完成させています。




