↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビーストギア  作者: 時根脱才 
アリア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/119

閑話① サクラ(仮)

閑話① サクラ(仮)


 その日の配信は、いつもと少し違っていた。


 怪人が現れる。  キッドが戦う。


 そこまでは、これまでと同じだった。


 けれど、画面に映った怪人を見た瞬間から、コメント欄には妙な熱が生まれていた。


『今回の怪人、なんか女っぽくない?』


『羽あるぞ』


『蝶?』


『いや蜂っぽいのも混ざってる』


『何モチーフなんだよ』


『また盛ったなあ』


『羽の怪人でいいだろ』


『雑すぎるw』


 好き勝手な呼び名が飛び交う中、怪人が構えた。


 そこでコメントの流れが変わった。


『待って』


『こいつ空手使うの?』


『構えめっちゃ綺麗じゃね?』


『経験者っぽい』


『怪人にも空手ってあるんだな』


『怪人空手とは』


 対するキッドも構える。


 二人は向かい合い、そのまま一騎打ちへ入った。


     ◇


『キッドいけ!』


『今回の相手強そう』


『羽あるなら飛ぶんじゃね?』


『気をつけろー!』


 最初こそ、いつもの配信と変わらなかった。


 けれど、拳が何度か交わされたところで、視聴者たちも違和感に気づき始める。


『……あれ?』


『なんか変じゃない?』


『何が?』


『こいつら動き読みすぎじゃね?』


『また避けた』


『キッドも読んだ』


『今のフェイントにも反応してたぞ』


『初見でこんなことできる?』


 怪人が踏み込む。


 キッドは半歩だけずれた。


 拳が空を切る。


 その隙へキッドが反撃するが、怪人はすでに身体を引いている。


『これ初対面じゃないと思う』


『なんで?』


『互いに次の動き知りすぎ』


『格闘技詳しい人?』


『空手やってる。少なくとも怪人側はかなり慣れてる』


『キッドもいつもより読み合ってる感じする』


『怪人と知り合いなの?』


『そんなわけある?』


『じゃあ何でこんな息合ってんだよ』


『元同門説』


『怪人と同門って何だよw』


 冗談だったはずの書き込みも、戦いが続くほど冗談に見えなくなっていく。


 怪人が仕掛ければ、キッドが読む。


 キッドが誘えば、怪人は乗らない。


 その裏を狙えば、さらに先を読まれる。


『何手先まで読んでんだよ』


『将棋やってんじゃねえんだぞ』


『空手で将棋すんなw』


『今の絶対避ける方向分かってただろ』


『でもキッドもそれ読んでたぞ』


『何なんだこいつら』


 そして。


 キッドの声が、配信に乗った。


『サクラ!』


 一瞬だけ、コメントの流れが止まる。


『??????』


『サクラ?』


『誰?』


『名前出たぞ』


『怪人の名前?』


 すぐさま、怪人が叫んだ。


『私はサクラじゃない!』


『否定したw』


『じゃあ誰だよw』


『キッド完全にサクラって呼んでるじゃん』


『人違い?』


『こんだけ戦えて人違いだったら怖いわ』


『知り合い説さらに濃くなった』


『サクラって普通に人間の名前っぽくね?』


『おいやめろ』


『何が?』


『怪人の正体が人間とか言い出すなよ』


『さすがに飛躍しすぎ』


 その書き込みも、大量のコメントに押し流されていった。


     ◇


 戦いは続く。


 ところが、いつの間にかコメント欄からキッドを心配する声が減っていた。


 理由は単純だった。


 二人とも、妙に楽しそうなのだ。


『……なあ』


『何』


『こいつら笑ってない?』


『笑ってる』


『キッドめっちゃ楽しそう』


『怪人側もだろ』


『お前ら敵同士だよな?』


 さらに。


『やっぱお前と組手するのが一番楽しいわ!』


『組手って言ったぞw』


『やっぱ知り合いじゃねえか!』


『完全に昔からのライバル』


『もう怪人退治じゃない』


『ただの組手配信になってる』


『俺たちは何を見せられてるんだ』


『同窓会』


『怪人との同窓会やめろw』


 当然のように、怪人から声が返ってくる。


『私はサクラじゃない!』


『はいはいサクラさん』


『もうサクラでいいだろ』


『本人が違うって言ってるだろ!』


『否定すればするほどサクラに見える』


『サクラ(仮)』


『それだ』


『サクラ(仮)でいこう』


『勝手に決めんなw』


 本人の知らないところで、ネット上では一つの呼び名が定着し始めていた。


     ◇


 一方、戦いそのものを冷静に見ている視聴者もいた。


『怪人側、力任せじゃないな』


『キッドの間合いに合わせて距離変えてる』


『フェイントにもほぼ引っかかってない』


『キッドも怪人の癖知ってるようにしか見えない』


『やっぱ同門じゃね?』


『でもそれより気になることある』


『何?』


『羽』


『あ』


『使ってないな』


『こんだけ立派なのあるのに飛ばない』


『飾り?』


『動いてるから飾りじゃないだろ』


『蜂っぽいなら毒針とかありそう』


『それも使ってない』


『能力縛ってんの?』


 そこで、別の誰かが気づく。


『キッドもメモリー使ってなくない?』


『……マジだ』


『どっちも能力使ってない?』


『空手だけでやってんのか』


『何で???』


『縛りプレイ?』


『だから怪人戦で縛りプレイすんなw』


『マジで何なんだよこの二人』


 画面の中では、視聴者たちの疑問など知る由もなく、二人の攻防がさらに激しくなっていく。


 拳が交差する。


 蹴りが空を切る。


 間合いを詰めれば離れ、離れればまた詰める。


 互いに相手の動きを読み、その読みすら読んでいた。


『今のやば』


『キッドが避けるの分かって次入れてた』


『でもサクラ(仮)も返し読んでたぞ』


『だから空手で将棋すんなって』


『これどっちが強いんだ?』


『ほぼ互角じゃね』


『今までの怪人と明らかに違う』


 そんな中。


『でもさ』


『何』


『キッドも本気で倒そうとしてなくない?』


『サクラ(仮)もじゃね?』


『……何で?』


『殺し合いじゃないから?』


『じゃあ何しに来たんだよ』


『キッドと戦うためとか』


『わざわざ?』


『果たし状でも送ったのかよw』


『昭和かよw』


 真相を知る者がいれば、笑えないほど正確な書き込みだった。


 けれど、それもすぐにコメントの海へ沈んでいった。


     ◇


 やがて、二人が距離を取った。


 互いに構える。


『そろそろ決まりそう』


『どっち勝つ?』


『キッドだろ』


『いやサクラ(仮)普通に強いぞ』


『だからサクラじゃないって本人言ってるだろ』


『(仮)つけたからセーフ』


『何がセーフなんだよ』


 キッドが腰を落とす。


 怪人も構えた。


 コメントの速度が一気に上がる。


『来るぞ』


『次で決まる?』


『キッドいけ!』


『サクラ(仮)も頑張れ』


『怪人応援すんなw』


『だってもう敵に見えねえんだもん』


 その時だった。


『ん?』


 画面の端で、白い何かが動いた。


『待って』


『後ろ』


『なんかいるぞ』


『一匹じゃない』


『え』


『増えた』


『増えてる増えてる』


『これ前に出た奴じゃね?』


『白蟻?』


『めっちゃいるんだけど!?』


 一体。


 二体。


 三体。


 さらに、その後ろからも。


 白蟻たちが次々と姿を現した。


『うわああああ』


『邪魔入った!』


『空気読め白蟻!』


『今いいところだっただろ!』


『怪人に空気読めって言ってる俺ら何なんだよ』


 キッドが白蟻へ視線を向ける。


 サクラ(仮)も、同じ方向を見る。


『誰が来いと言った!』


 コメント欄が、また一瞬止まった。


『……え?』


『今なんて?』


『羽の怪人もキレてる』


『こいつら仲間じゃないの?』


『白蟻来るの知らなかったっぽい』


『どういう勢力図なんだよ』


『敵の敵?』


『いや待て待て』


 画面の中。


 さっきまで殴り合っていたキッドとサクラ(仮)が、並んで同じ方向を向く。


『…………』


『ちょっと待って』


『これ』


『まさか』


 そして。


『こいつら共闘すんの?』


※本作は、作者とChatGPT(AI)による合作作品です。物語の企画・原案・世界観・キャラクター設定・物語構成・展開の方向性など、作品の根幹となる部分は作者が制作しています。それらの原案や設定、作者との相談・修正・指示をもとに、ChatGPTが文章化、表現の調整、推敲などを担当しています。作者とAIが互いに案を出し、検討と修正を重ねながら、一つの物語として完成させています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。