32話 成長
天さんの山小屋を出てからはちょっと洒落にならん事になってしまった。あっちの世界で猪ノ鼻峠を越えた時は、なんとな~く人が通った道か獣道かわからないけど長年踏み固められた跡があった。ところが今どきこんなとこを通る人なんておらん!天さんなんて飛ぶかジャンプだし。そんなわけで僕らは杉とシダとコケだらけの前もよく見えん草むらを、杖で地面を叩き地盤を確認しながら進んでいる。
「なあ、これ杖より鉈がいったの」
「国道近くで鉈振り回してたら捕まるよ」
「通報するような人すら住んでへんぞこの辺」
「さすがに国道は車走っとるやろ?」
「車も高速できてからはそっちメインで交通量かなり減ったらしいよ」
「あわよくば汽車じゃなくてヒッチハイク狙っとったんやけど」
「こんな葉っぱまみれの二人なんて乗せてくれないよ、きっと」
うん、もうなんか色んな汁がついて身体が緑。何度も転んでお尻もドロドロ。基本、湿ってるからね。コケも滑るし。コダマが「ココ」言いながら首振っててもおかしくないロケーションよ。
「ま、もうちょっとで国道までいけるよ。ほら、あっちにガードレール見える」
ホントだ、かなり先にガードレールが見える。なんか帰ってきたなって実感がわいてきた。よっしゃ、気合入れて行くぞぉ!
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「とか言うとる間に国道着いたの。おお!Googleマップ動いとる。なんか感動」
「うわ~電源入れたらLINE通知が恐ろしいくらい入って止まらんよ。怖い」チャランチャランうるさいのぁ。
「え?俺……なんか宣伝のメールばっかりやけど。このリア充がっ!」
「違うよ、部活の後輩とか同級生とかそんなんばっかりだよ」
「見せてみぃや!」
とウミのスマホを取り上げる……女子の名前ばっかりやんけ!クソがっ!
「ソラ君は会社の人やご家族にも連絡してから行ったから。僕は突然だったし心配かけたんだよきっと」
「俺、心配してくれる人会社の人と家族しかおらんてか?」
「いや、そういう意味じゃないってば」
などと言いつつ国道を横断しガードレールの裂け目からさらに下りていく。
「なぁ、なんで駅に行くのにまた崖みたいな斜面下りるの?」
「昔は国道沿いに人は住んでなかったんだよ。昔は駅の周辺に集落があったとか。今はほとんど人は住んでないみたいだけどね。ってうわ!終電が早すぎる!」
「え?19時とか?」
「13時53分!」
マジか!ダッシュじゃ!これ逃したら明日の朝一の免許センター、ヤバい。ここで一泊やん。
「とりあえずもう道は気にせず行こう!」
とウミはまっすぐ駆け降りる、というか滑り落ちる。義経の鵯越ってこんなんやったんかな。同じように滑り落ちる。ホームに到着してぜえぜえ言ってるところにワンマンカーがコトコト言いながらやってきた。無人駅だから切符買わんでいいのが楽。
汽車はゆっくりと谷合の単線の線路を走っていく。反対側から別の汽車が来たら駅で停まってすれ違うというのんびりした旅だ。旅ちゃうけど。
「久々に乗ったわ。こっちじゃ車必須の生活やからのぉ」
しかし田んぼばっかりやなぁ……あっちの世界でも、もっと田んぼ作れたら食べもんに困らんのに、と子泣きじじいの事を思い出した。麦畑もあるし、ホントに豊かな土地だ。
「ねえ、ソラ君。こっちから小麦とか野菜の種とかをあっちに……」とウミが言う。それは僕も考えてたけど。
「うん、でもそれはやめとこ」
「やめとこ?」
「おう。だって天さんもユイもあっちもこっちも行けて、コーナンのヘビーユーザーやん?買おうと思ったら今までいくらでも買えたはずやろ?飢餓の村の件だって知ってるだろうし。でもそれはしてないやん。こっちの種子じゃ育たんとか制約があるんかもしれんし、神さんのルールがあるんかもしれん。俺らも最初に極力干渉しないって決めたやん?ま、干渉しまくってるけど」
「そうだったね。確かにいらんお節介かもね。アデヤさんもいるし」
「アデヤさんはまぁ知らんけど、向こうでできる事を俺らはしようや」
「了解!」
そう言ってる間に汽車は社長と約束した琴平駅に着いた。やっば、おしゃれな洋風の平屋の駅舎の前に龍が乗った霊柩車がロータリー正面にベタ付けしとる。社長が外で待ってるけど喪服に白手袋で、普通の人が見たらめっちゃ不吉や。
「おもろいからしばらく見とくか?」と社長の死角に隠れてウミをそそのかす。
「いや、待たせたら悪いよ。社長さんでしょ?」
と言って、現金で料金を払って改札を抜けていく。真面目か!
「あ、社長、久しぶり!迎えありがとう!向こうの世界でめっちゃ仕事してるで」
「お前、相変わらず元気そうやの。でもちょっと見んまに顔が精悍になったかの?」
「まぁ何度か死にかけてるからね。とりあえず会社戻ろう!あ、ウミも送ってやって」
「霊柩車で葬式も無いのに総本山に行けるかの」
「あ、社長さん、赤門筋の入り口でいいです。すぐですから」
「ほな赤門筋にGO!」
「お前、社長に運転させるんか?」
「聞くけど、数か月ぶりに異世界から帰ってきた男に、乗りなれない左ハンドルの車高の高い不安定なリムジンを運転させる勇気ある?」
社長は無言で運転席へ。僕とウミはVIPなシートに座り込む。
「あ!……ケツ泥まみれやった!」
そう、あまりに身体中が汚いから汽車ではガラガラだったけど二人とも立って戻ったのだった。油断してた。
「後で掃除しとけ」と社長はボソッと言った。
さてその後ウミを赤門筋で下して、会社に戻る。ここも久しぶりだわ。戻ると店長の淵さんが迎えてくれた。相変わらずでかいのぉ。
「お前、えらい事しとるらしいの?なんぞおもろい話ないんか?」
ねぎらいそれだけかい。声がでかいので中から田中さんやら事務員さんもぞろぞろ出てくる。僕って人気者?
「おもろい話は無いけど、写真はあるで?見てみる?」
そう言ってスマホを取り出し、写真フォルダーを探す。あったあった。
「これ、カッパとのツーショット!」
自信たっぷりにウミが撮ってくれたサブロウと肩を組んでVサインしてるのを見せた。みんなそれを見て言葉を失った。そして淵さんが開口一番。
「お前、これ東京スポーツに載ってたやつやんけ!」
え?違うしな。これリアル生カッパなんやけど。
「確かに、東スポで昔話題になったやつやの。ネタ枠の記事やん」と田中さんも。
いやいやいや……この微妙な皮膚のぬめぬめ感、テクスチャー伝わらんかなぁ~。
「うう……天狗もおるんや……」と言ったけど、みんなハイハイと言いつつ散っていった。悲しい。
待て待て、リアル幽霊犬のサチがおるぞ。サチになんか芸をさせたら信用するはず!そう思いメガネをかけてサチを探す……おらんがな。あいつ、今日はウミに引っ付いていったな、クソ。僕が主人じゃなかったのかよ。
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赤門筋をまっすぐ西に歩くと久しぶりの実家に着いた。街のどこからでも見える五重塔は国内3番目の高さだと父から聞いた。あの大きさで3番目って、残りの2つはどれだけ大きいのだろう。
久しぶりに裏門をくぐって家に帰ると、社長さんから話は通っていたみたいで母が待っていてくれた。
「まぁ、ウミ!」と口を押さえて絶句した。感動の再会だ。
「ホントに汚い!なんで身体中緑色なのよ。玄関で早く服脱いで洗濯機に入れて。もうそのままお風呂入りなさい。着替え用意しとくから」
あれ?なんか部活で汗まみれで帰った時と同じリアクションだけど……。
「は~い」と答えていつものように洗面所に向かう。
「よく無事で……」と小声で母が呟いた。
僕は「ただいま」とようやく言った。
「もうすぐお父さんも帰ってくるからちゃんとしておくのよ」と言われた。そうだな、ちゃんと気持ちを伝えないと。
久々の実家。こんな中途半端な時間なのにお風呂にお湯を貯めてくれている。やはり母親はありがたいなとつくづく思う。風呂の鏡を見て伸びた髪の毛に驚く。ああ、道理で前が見えにくかったはずだ。ここを出てからこんなに時間が経ってたんだなと、前髪の長さで理解した。風呂上がりに前髪を少し切った。ま、別に髪の毛なんてどうでもいいし。あっちに行ってから見かけがどうこうとか全く気にしなくなった。基本、一緒にいるのはソラ君とユイとサチだけだしね。あ、あとは時々天さんとたま~にきつい視線が気になるアデヤさんか。色々あって面白い暮らしではあるな。
「おお、帰ったか、ウミ」
髪の毛を切って片付けていたら父が帰ってきて声をかけてきた。いつも通りだ。
「色々ご迷惑をおかけしています」と頭を下げる。
「なんやそれ。久々に親子の対面がそれかい。もっと抱き着いて来てもええんやで」と笑う。
僕はそんなキャラじゃないし。
「学校の事で相談があります」
「おお、わしも気になっとった。お前どうするんや?」
「いつ戻れるかわからないので一応休学手続きをしていただければと」
「大学はどうすんなら?」
「今はそこまで考えられません。今もっと大事な事をあっちでやっていて、それが無事終われば考えたいと思います」
「このままこっちに残って学校行って大学行きゃええが」
「それは……できません」と伝える。僕だけの問題じゃないし。
「お前がせないかんのか?大体のとこはソラ君経由で社長さんから聞いとるが」
「僕……とソラ君じゃないとできない事ですから」
「空海様として、か?」
唐突に言われて驚いた。
「びっくりするない。社長さんに聞いたんじゃ。もうなんかようわからんけど、お前ら繋がりで箸蔵さんの天狗様と飲み友達になったとか言うて、その時に天狗様からお前らの前世で親友だったとか」
天さん、酒飲むとベラベラ喋るんだな。
「わしも社長から聞いてびっくりしたわ。昔からお前は他の兄弟とは違うとは思っておったけど、そこまでとはの。ちょっと拝ませてもろてええか?」
「なんで僕に手を合わせてるの。僕は僕だよ。僕のできる事もたかが知れているけど、そこはソラ君に引っ張ってもらってなんとかなってる。僕はもっと色々あっちで勉強がしたい。だから学校は……」
「わかっとるって。本気でここにおらそうとは思てない。立派にやり遂げて帰ってこい。実は休学届もとっくに出しとる。社長から事情聞いた時にの。天狗様からもいつかは2人を戻すってお墨付きをもらっとるって言うとった」
「ありがとう、お父さん」
「ほんでお前、向こうでどんな事しとるんや?何があるんや?」
「寺の……いや、色んな宗派の寺や教会や祠の封印を解いてまわってます」
「封印?寺とかの?こっちの世界みたいなのがあるんか?向こうにも」
「あると言うか同じというか、同じだったと言うか……あ、これ見てください」
僕はスマホの写真フォルダーを開けて写真を見せた。
「こっ……これは!?」
父は絶句した。そこには善通院と思われる場所にある瓦礫の山。僕が最初に迷い込んで一夜を明かした場所だ。
「そうです。善通院だったところみたいです。こんな風に寺は壊され、本尊も破壊され信仰を封じられています。僕たちはそこを巡ってまた信仰の種をまいています。まだまだ高知に入ったばかりですが。おまけにあちこち寄り道しては妖怪を助けたり、霊を成仏させたり、めちゃくちゃです。なので時間がどれだけかかるか全くわからずで」
「さすがわしの子や!空海様の生まれ変わりや!お前は後悔せんようにソラ君と思いっきり好きな事して来い。帰ったら大学でも高野山でも、世界中巡るでもなんでもええ。宗教もひとつやない。色んな思いを感じて来い。その結果、真言に戻るならそれでええ。お前が他の国の宗教でこれや!と思うもんがあったらそれでもええ。お前の自由や。気張ってやれ!」と父は言った。
「ありがとう。僕は……このままだったらソラ教の信者になりそうだけど」ちょっと笑いながら言った。
「なんぞそれ、ハッハッハ」と豪快に笑われた。
「久しぶりの家や、ゆっくりしたらええ。部屋もそのまんまや。メシができるまで一休みしとけ」
「ありがとう!じゃあ部屋で心配かけた友達とかに連絡しとくよ」
そう言って僕はその場を後にした。
「ウミ、逞しくなったのぉ。それはそうとあいつ、なんか足元にごっついわしの力じゃどうしようもない霊みたいなのがからみついてたけどあれ大丈夫なんか?」
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「ウミ!実家はどやった?」
社長の車で善通院に乗り付けて外で待つウミに声をかけた。
「布団でちゃんと寝るの久しぶりで逆に背中が痛いよ。ソラ君は?」
「ん?自分の部屋戻ったけどなんか一人なん久しぶりで寂しいから、とりあえず会社行って宿直室で田中さんの横で寝たわ。サチもなんかおらんかったしの」
「あ、サチは昨日ずっと僕についてきてたね。たまには気分転換のつもりかな?」
「俺はばっちり朝から免許センター行って更新できたわ。これで数年は更新なしでいけそうや」
誇らしげに免許証を見せる。次戻るのはマイナナンバーカード更新の時かな?
おっとご住職とウミのお母さんも見送りに出てた。
「いつもお世話になっております。ウミ君にはとても助けてもらってます。立場逆転してまして」
「何をおっしゃる。うちの息子は『ソラ教の信者になろうか』言うてましたわ、ハッハッハ」と豪快に笑う。なんぞソラ教て。
「ご家族には連絡したの?」とお母さん。
「あ、電話したんですけど、相変わらずの留守電で『息子、元気、またの』ってメッセージ入れときました」
マジでどうなっとんやうちの親。
「信頼されてるのね」
違うと思います!
「じゃあ父さん、母さん、行ってくる」とウミ。
「気を付けての。渡したもん、ちゃんと使えよ」とご住職。
「ありがとう。岡豊城で使わせてもらうよ」
なんかアイテムゲットしたんか?
そして僕たちはまた社長の車で、今度は駅じゃなくて天さんの家の近くまで送ってもらう事にしたのだった。
国道までとか甘いこと言うので、無視して山道…みたいなところを登らせた。さすがはクラウン、パワーが違う。ぬかるみでもものともしない。
「お前、これホンマに道なんか?草ばっかりでよう見えんが」僕にも見えんから。
「あ、スタックした…」ウミが呟く。
う~ん、JAF来てくれんよなぁ、道路ちゃうし。社長捨てて歩いて上がるか、しゃーない。
「呼んだ?」
とタイミングよく天さん登場。うお、今日はノーマル天狗バージョンや。ビビった。よいしょと一人で持ち上げて車をくるりと、もと来た方向に回転させてくれた。
「ルンバの術!」
というしょうもないネーミングにしらける僕たち。
「もうこれ以上は車は無理やから。バックで山道戻ることになるぞ。まぁ社長、気を付けて帰りや」と天さん。
「社長ありがとうな、マジで。今度もここまで迎えに来てな」と別れを告げる。そろそろと下りていくクラウンが間抜けでよろしい。よく登ってきたなぁ、こんなとこまで。ランクルでもしんどいと思うけど。
「天さんありがとう、助かった。久しぶりにその姿見たけどやっぱりホンマに天狗さんなんやな」
「当たり前じゃ。ここらはわしの縄張りぞ。なんか様子がおかしいと思ったら見回りにくるわい。まさかここまで車で入ってくるアホがおるとは思わなんだが。見たら社長の車やし焦るわ」
「ホンマになぁ、普通のセダンでこんな道なき道を上がるなんて無茶やで」
「ソラ君、鬼やな」
ふふ、社長は結婚式場の連中が怖がってろくに話しかけもしない分、葬祭部門の僕らが雑に扱うのが嬉しいのだよ。知らんけど。
「一通りやる事やって2人とも区切り着いたから、またあっちで頑張るわ!」
「おう、お前ら2人ともすっきりした顔しとる。モヤモヤも無くなったみたいやの」
「うん、免許証は無事更新、ウミも休学扱いになっとったし、もう心配するもんもないわ」
「よっしゃ、よかったよかった」
そんな話をしつつ天さんの後をついて山小屋へ向かった。というかなんぞこの道。昨日下りた時こんな道なかったぞ!どうなってんねん。
「ふふ、そこは天狗様の隠蔽術よ」とおちゃらける天さん。昨日、国道おりるまでに死ぬ思いしたのに!
その道を通るとウソみたいにあっさり山小屋へ到着。さてさてまた安穏寺さんとこ行こうかのぉ~と思いつつ扉を開ける。あれ?なんか若くて綺麗なお姉さんがおる!金髪セミロングヘアに体にフィットしたドレス姿の美女だ。この期に及んで新キャラ登場?ウミもポカーンとしてる。おや、サチは駆け寄ってジャンプしてる。
「天さん、どなたですか?元カノ……アデヤさんの妹さんとか?」
と聞くと思いっきり綺麗なハイキック。なんか見たことある……白いパンツが?
「何見てんのよ!バカ!スケベ!」
あれ……やっぱり。
「ユイ、なんで大きくなったの?」と冷静なウミ。お前、パンツ見えても動じんのぉ。
「……」あれ?
「ユイ、なんで大っきなったん?」
「……」無視?
「あ~ユイ~、あなたは~なんで急に大きくなったのですかぁ?」言い直してみた。
「聞こえてるわよ!外国人に聞くみたいに言わなくても!バカ」
「言葉通じなくなったのかと思って焦った。髪の毛の色も変わったし」
「変わらない方が楽だったのよ」
「うん?」
「みんな私の前からいなくなるから」
「あ~昨日言うとった話?」
「昨日ユイはお前らが出て行った後しばらく部屋にこもっとったんやが、出てきたらこうなっとった。多分、もう成長してもいいと自分で思えたんだろう」と天さんはニヤニヤしている。
「仲間なんでしょ!私も」ユイが横を向いて言う。
ああ、そんな事言うたな、僕もウミも。それが原因か。今まではずっと中立とか言ってたけど。
「なんかあなた達と一緒に歳をとるのも悪くないと思ったわけ!わかった?」
「わかった!けどわからん!」
「バカなの?」
「でもユイは神様だから歳をとるのが人間より遅いのは間違いないよね?俺らの方が先に死ぬけどええの?」
「そん時は、また新しいペットを飼うわよ!」
ペットかいな。まぁ昨日例え話で使ったんは僕やから文句も言えん。
「へっへっへ、兄さん、神になる方法聞きたくない?」
また天さんがささやく。
う~む、ユイも大人になった……というかまぁ15歳の少女が18歳くらいになったくらいだけど、あと髪の毛も金髪でアデヤさんみたいになっただけだけど……いや、僕のどストライクと言っても過言ではないでしょう!はい、めっちゃ好みですけど……。
「一応、検討します!」
前みたいに拒絶できるか、こんなもん。
「前と意見が変っとるのぉ~」
天さんのニヤニヤがとまらない。クソっ。なんとか言ってくれ、ユイ!って下向いてモジモジしてるんかいっ!ウミ、ウミ。
「よ~しよしよし~」
って幽霊犬をもふもふしとる。お前はこのユイの成長を見てもなんとも思わんのか、人でなしっ!
「僕は多分、結婚しないと思うし長生きも求めないよ。人として生まれ人として死ぬ。それで十分。その間に何ができるかだね。やりたい事ができず時間が足らなかったら天さんにちょっとだけ相談するかも」
「おう、任せとけ!」と天さん。
免許更新に来て図らずも俺ら3人、心の成長って意味ではレベルアップしたかもね。
「勝手に私までレベルアップしたとか思わないでよ。私は普通にしただけよ」
「普通でそんなに可愛くななるなら、レベルアップしたらどうなるんや?」
「うるさい!ソラ」うおっ!蹴りが来る?と思ったら横向いて照れてる。
「ソラ君、からかっちゃダメだよ」
「え?めっちゃ本心やけど?」なんか変なこと言ったかな?
「あなた達!なんなの?」
「ユイの仲間!」と2人で声を揃えて言ってユイに親指を立てて見せる。天さんもワンテンポ遅れてサムズアップ。
「バカ…」と嬉しそうにユイが呟く。ユイが仲間、嬉しいな。
さぁ次は岡豊の城だ!待っとれ、安穏寺さん。土産もあるで~。
*(第33話へ続く)*




